債務不存在確認訴訟においては、裁判所が債務の一部の存在を認めて、その金額以上の債務の存在を確認することは申立の範囲内に属する。これは、通説の認めるところである。
すると、一定金額をこえて債務の存在しないことを求める旨の確認訴訟においては、当然、その基本となる債権額から右一定金額を控除した残額の不存在確認を求める旨ということになる。
ところが、本件一・二審では、これと異なり、右一定金額自体が確認訴訟の訴訟物と解したようである。
従来の通説に従うと、不当であることは明らかであるといつてよかろう。
消極的確認訴訟についての裁判例が少ない折柄、当然の結論かも知れないが、注目すべき判決といえだろう。(調査官解説抜粋)
この判例は数字がごちゃごちゃしているが、結局、重要な点は「一定金額をこえて債務の存在しないことを求める旨の確認訴訟においては、当然、その基本となる債権額から右一定金額を控除した残額の不存在確認を求める旨」が訴訟物であるので、自認されている一定金額の判断はしてはいけないということである。