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回答No.1

本件は、相続人の一部の者である原告らが、被相続人から生前贈与等を受けた被告らに対し、遺留分減殺請求権に基づいて、生前贈与等にかかる不動産の所有権持分の移転登記を求めたのに対し、被告らが右不動産の時効取得を主張して争った事案である。  XらとY1はいずれも被相続人Aの子であり、Y2はY1の子である。Aは、平成二年一月二四日死亡した。Aは、本件不動産を所有していたところ、昭和五一年一一月、Y1、その妻のBおよびY2に対して、本件不動産を順次贈与(本件贈与)した。Bは、昭和五五年一○月三〇日死亡し、同人が贈与を受けた不動産は、Y2が相続した。  Aは、本件贈与がされた当時満七七歳に達する高齢であり、昭和三六年にその経営していた会社が破産した後は、Y1の援助で生活し、本件不動産以外にはみるべき財産がなく、YらおよびBは、本件贈与当時それらの事実を知っていた。  Xらは、本件贈与がXらの遺留分を侵害するものであるとして、平成二年一二月一九日、Yらに対し、遺留分減殺請求をした。これに対し、Yらは、本件贈与から一○年間が経過したことにより本件不動産を時効取得したから、本件贈与に対して減殺請求をすることはできないと主張した。 本件判例では、「被相続人がした贈与が遺留分減殺の対象としての要件を満たす場合には、遺留分権利者の減殺請求により、贈与は遺留分を侵害する限度において失効し、受贈者が取得した権利は右の限度で当然に右遺留分権利者に帰属するに至るものであり、受贈者が、右贈与に基づいて目的物の占有を取得し、民法一六二条所定の期間、平穏かつ公然にこれを継続し、取得時効を援用したとしても、それによって、遺留分権利者への権利の帰属が妨げられるものではないと解するのが相当である。」と結論付け、 その理由として「けだし、民法は、遺留分減殺によって法的安定が害されることに対し一定の配慮をしながら(一〇三〇条前段、一〇三五条、一〇四二条等)、遺留分減殺の対象としての要件を満たす贈与については、それが減殺請求の何年前にされたものであるかを問わず、減殺の対象となるものとしていること、前記のような占有を継続した受贈者が贈与の目的物を時効取得し、減殺請求によっても受贈者が取得した権利が遺留分権利者に帰属することがないとするならば、遺留分を侵害する贈与がされてから被相続人が死亡するまでに時効期間が経過した場合には、遺留分権利者は、取得時効を中断する法的手段のないまま、遺留分に相当する権利を取得できない結果となる」点をあげている。