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ファンデルワールス力について

エタンとクロロエタンはどっちのほうがファンデルワールス力が大きいですか また、シス1,2ージクロロエチレンとトランス1,2ージクロロエチレンではどっちのほうがファンデルワールス力が大きいですか またそうなる理由が知りたいです

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  • htms42
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回答No.1

ファンデルワールス力の大きさはという問いにはあいまいさがあります。 1.「ファンデルワールス力」という言葉自体があいまいに使われています。 分子間力一般の意味に使われている場合と無極性分子の間に働く分子間力の意味の場合です。 無極性分子では双極子モーメントが存在しません。双極子-双極子の相互作用がありませんので分子間力はぐんと小さくなります。それでも凝縮相が存在しますからかなりの引力が存在しています。単体の水素や酸素、窒素は常温で気体です。臨界温度は順番に33K、155K,126Kです。常温では圧縮しても液体にはなりません。分子間力がものすごく弱いということを表しています。これらの分子には極性がありません。分子間力は誘起双極子モーメントによって生じるとされています。これが狭い意味のファンデルワールス力です。これが本来のものであるのではと私は思っています。以下では分子間力とファンデルワールス力とを使い分けることにします。 誘起双極子による相互作用はどの分子の場合にも存在します。 隣りに来た分子の影響で分子内の電子の分布が変化するのですから電子の総数が誘起双極子モーメントの大きさに関係してきます。電子の総数は分子量につながってきます。分子量の大きな分子はファンデルワールス力の影響が強くなると言えそうです。 永久双極子があれば分子間力はファンデルワールス力と双極子-双極子相互作用の合わさったものになります。分子量の余り大きくない分子の場合は後者の方が格段に強くなります。通常、ファンデルワールス力の存在は無視してしまいます。 2.「ファンデルワールス力の大きさ」は分かりません。 同じ物質の分子間力であっても位置関係が変われば力は変化します。 分子を構成する全ての原子が力の存在に寄与しています。 分かるのは働いている力の全体が影響しているような現象から推測することができるだけです。 分子間力が全く働いていなければ気体は液体になることがありません。気体から液体に移る変化が起こりやすいか否かは分子間力が大きいか小さいかを表していると考えられます。従って気体⇔液体の状態変化に関係する温度が1つの目安になるでしょう。臨界温度はその目安になります。臨界温度というのが馴染みがなければ沸点でも代用できるでしょう。液体というのは分子がある程度自由に動くことができる状態です。分子の形として存在する細かいデコボコの影響は小さくなっています。沸点に関係するのは少し離れたところから見ている細かいデコボコを少しならしてしまったところで働く力の平均的な大きさだろうということです。固体になると動くことができませんのでもっと細かい接触状態が問題になります。あるところで距離が近くなると別のところでどうしても隙間が出来てしまうというようなことも影響してきます。ファンデルワールス力は距離が大きくなると急激に小さくなります。分子の中にある原子全てが分子間力に同等に効いているとは言えなくなります。融点は分子間力の大小を考える時のいい目安にはならないことがあります。 ジクロロエチレンの2つの異性体で沸点、融点を比べてみて下さい。 http://ja.wikipedia.org/wiki/1,2-%E3%82%B8%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%AD%E3%82%A8%E3%83%81%E3%83%AC%E3%83%B3 沸点にはかなりの違いがありますが融点には差がありません。 (融点、沸点、臨界温度は化学便覧で調べるとすべて載っていると思います。) ご質問の物質の比較、 極性のある分子とない分子を比べています。 分子量に大きな違いがなければ双極子モーメントの大きな分子の分子間力の方が大きいです。 沸点でははっきりと違いが出ています。 エタンとクロロエタン  分子量       エタン<クロロエタン  双極子モーメント  エタン<クロロエタン 1、1-ジクロロエチレンと1、2-ジクロロエチレン  分子量       同じ     双極子モーメント  1、1-ジクロロエチレン>1、2-ジクロロエチレン 双極子モーメントの大きさが沸点をほとんど決めてしまっています。 ファンデルワールス力も働いているでしょうがなにも分かりません。