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羅生門の文学的意義ってどう
老婆の着物を剥ぎ取ることは、一体どのような意味を持つのでしょうか? 羅生門の文学的価値はどこにあるんでしょうか? 初心者なので判り易くお願いします。
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質問者が選んだベストアンサー
まず、「羅生門」の大きなテーマは「エゴイズム」なのでしょうね。 質問者様は、下人の「赤い大きなにきび」の描写が最初から最後まで出ていたことに気付かれたでしょうか? 下人は、まだ「大きなにきび」ができる若者の年代だと言うことが分かります。 下人は、「ながいこと」「下人として」生きてきました。つまり、小さい頃から「下人として」生きてきたので、臆病で卑屈で世間知らずの若者(思春期の少年?)だったのではないでしょうか。 それが、老婆が死人の髪を抜き取る理由として、「エゴイズム」に満ちた、しかし下人にとっては「存外平凡なのに失望した」ような言い訳を言います。 そんな老婆を見て、下人には、門の下で雨やみを待っていたときとは違った、「盗人になる勇気」が生まれてきます。 これには、「ただものではない」とある意味、とんでもない事態を期待していた、下人の好奇心を、老婆の平凡な行動で、そがれてしまったという「怒り」もあったことでしょう。 そして、下人もまた「エゴイズム」(生きるための悪は許される)という、自分勝手な論理が成り立つと思ってしまいます。 純粋が故に、下人はあっという間に「盗人」に変身できてしまったとも言えるでしょうね。 さて、ご質問にあった、「老婆の着物を剥ぎ取ることは、一体どのような意味を持つのでしょうか?」ということですが、私もその点は気になっていた所です。 だって、老婆は「かつら」にするために、死人の髪を抜いて手に持っていたわけですから、下人はその髪を盗んでも良いわけですからね。 着物をはぎ取られた老婆は、老婆は、羅生門の「裸の死人」と同様に裸にされてしまって、老婆の描写から推測すると、醜悪な裸の姿にさせられます。その醜悪さは、老婆の醜悪な弁明(エゴイズムに満ちた醜悪さ)を曝すことにつながり、着物をはぎ取り裸にして、羅生門から出ることが困難にされた老婆は、ある意味下人から「処罰」を受けたという見方も出来ると思います。 もちろん、その醜悪さは、下人自身の心の醜悪さにも通じてきます。 老婆は「白髪」を逆さまにして「黒洞々」たる夜の闇を覗き込みます。みごな色彩の描写です。そして、我々読者も「老婆の視点」に立って下人を眺めていることに気が付きます。 下人がおそるおそる「のぞきこんだ」のに、わずかの間に下人は「のぞきこまれる」立場に変わっています。 もちろん、「下人の行方」は、洞穴のように暗いものである(悪の道に進む)ということを読者も感じているのですよね。
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宿題でしょうか。 質問者さまが読んでいるテキストでは 最終行はどうなっていますか。 《下人は、既に、雨を冒して、京都の町へ強盗を働きに 急いでゐた》 でしょうか、それとも、彼(芥川)自身が書き直した 〈下人の行方は、誰も知らない〉 でしょうか。おそらく、後者でしょうね。 宿題であれば、文学的価値などと 大上段に構えないで、そうした違いに就いて 質問者さまが感じるところ、考えるところを 書いてみても、オモシロいのではないでしょうか。 とりあえず、図書館で借りて、 書き直す前の作品をコピーしてみませんか。 比較しながら全文を精読してみませんか。 それで、もう1つの質問に関しても、解決の ヒントが得られるでしょう。 Good Luck!
>老婆の着物を剥ぎ取ることは、一体どのような意味を持つのでしょうか? 「下人の心に、盗人になる勇気がわいてきた」って、本文に書いてありませんでしたか? そういう意味です。 >羅生門の文学的価値はどこにあるんでしょうか? 年端も行かない高校一年生に読ませて理解させようってんですから、そんなに高いもんじゃないですよ。「芥川の文学的価値」っていうなら話は違いますけどね。
お礼
有難うございました。 エゴイズムは、人さまざまですね。 老婆は、技があるから髪の毛でも有意義な材料になるのですね。 下人は、技もへったくらいもないから着物をとるしかなかったのですか? 人間社会はどの時代も、その人のわざ如何でいろんな目標が違ってくるって訳でしょうか。