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社会心理学と教育社会心理学の分類について

社会心理学という大きな範囲の中に教育社会心理学というものがあると考えて いいのでしょうか。 また、中学や高校の教員を目指すにあたり、社会心理学をどのように生かせるか アドバイスなどを頂けると嬉しいです。

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  • vzb04330
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回答No.1

臨床心理士で、大学の教員です。 伝統的な分類にしたがえば、まずは、教育心理学と、社会心理学とは、別のカテゴリに区分されていました。 ただし、教育心理学は、学会の名称にも使われ、また、教育学部教育心理学科などのように、大学の学科や、専攻課程の名称にもなっています。 教育心理学というカテゴリは、「人間形成に関する原理と方法について心理学的手法によって解明する学問」と定義されます。 歴史的には、教育心理学は一般心理学の知見を教育の領域に適用する応用の学問として成立してきており、応用心理学の一つとして位置づけられることが多かったといえます。 しかし、最近では、教育心理学の目的として理論的側面と実践的側面の両面が独自な内容をともなって存在するようになり、教育心理学は、今日言う心理学として、一つの0独立した学問領域として見なす考え方が主流になってきています。 具体的に教育心理学の領域に含まれ、研究対象となっている個別の心理学の分野としては、発達、教授・学習、人格・適応、測定・評価が、そのおもな4領域でした。 しかし、最近は、集団・人間関係や、臨床・障害などに関する研究・教育領域も盛んになっています。 このうち、集団・人間関係については、社会心理学が取り扱ってきた分野ですが、教育心理学の範疇では、これらを「教育社会心理学」と呼ぶことが増えてきたようです。 ちなみに、臨床・障害については、臨床心理学、心理臨床学の教育・研究として発展しており、臨床心理士資格の認定につながっています。 一方、社会心理学は、「個人とその社会的状況との間の相互的な影響過程を科学的に研究する学問の一分野」とされます。 その具体的な研究の対象は、多様ですが、およそ次のような内容となっています: 1)個人の心理過程……自己、帰属過程、態度と態度変容、対人認知など 2)対人的過程……攻撃、援助、説得、対人魅力、対人コミュニケーション、対人関係など 3)集団内行動……集団の構造・機能、社会的勢力、リーダーシップなど 4)集団間行動……偏見、差別、協力と競争、取り引き、交渉など 5)社会の水準(societal level)に関する行動……集合行動(流言など)、普及過程、消費・購買行動など 学校教育においては、このところ、「こころのケア」など、個々の子どもに関心を向けた、臨床心理学的な側面に注目されることが多いのですが、私の考えでは、その前に、むしろこうした社会心理学に含まれるような、個人と社会との関わりの中で生じるさまざまな心理現象について、その生起プロセス、問題となってしまったような場合での対処スキルなどにもっと関心が持たれ、知識やスキルを広く知っていただいた方が、小・中・高校の先生方の日常的な学級運営には、有用であるように思われます。 ご質問の趣旨からは若干ずれて、私見を述べてしまいましたが、お役に立てば幸いです。

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