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古文書について
古文書の正文と案文の違いってなんでしょうか? 前者が相手に送られたもの、後者が控え。ですか? また、2つはどうやって区別するのでしょうか?
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恐らくは大学で日本史学の課程に入学したての方からの質問でしょう。 御質問の内容には幾つかの疑問点が含まれています。 「古文書の正文と案文の違いってなんでしょうか?前者が相手に送られたもの、後者が控え。ですか?」として「差出人と名宛人の一対一の関係」を想定する手紙の遣り取りを古文書であるが如くの表現をされていますが、古文書の往還運動は必ずしも個対個の関係を示す性質の資料ではありません。そこには古代文書の型式である符・移・牒・解などの役所間での書式もあれば中世の武家様文書の形式に見られる下文と御教書そして下知状の様に政治文書としての性質を示す文書もあります(組織対組織の構成員の関係)。 古文書学でいう「正文」と「案文」の違いは (1)文書を制作する過程からの分類と(2)文書の伝来と効力に基づく分類 の2つがあります(この違いはお判りですよね?)。 (1)は御指摘のとおり、清書(正文)と下書き(草案・土代)の関係ですので殊更な説明は必要ないでしょう。 これに対し(2)は少々複雑な要素があります。以下は佐藤進一氏の『古文書学入門』からの整理抜粋です。 「案文」には厳密に分類すれば2種類がある。すなわち「文書内容そのものから派生する効力」に即して作られる文字どおりの「案文」と正文の単なる写本としての「写(ウツシ)」である。 このうち前者が如何なるケースの下に作られたかの問題がある。 (A)法令の伝達 (B)訴訟の証拠文書 (C)所領の分割移転・部分譲渡の証拠書類 (D)後日の控 (E)紛失状の作製 この中(A)は伝達手段として文字どおりのメディアの性質を示す。これに対し(B)は現在の司法手続きで言うところの被告人陳述書にあたる性質の側面、(C)は所有している土地の一部分を他に譲与・売買・寄進する際の土地権利書的性質(D)重要な文書に関しては紛失の可能性を予め考慮しての予備保存的性質(E)文書が紛失し、或いはその内容が失効したことを宣言すると共にそれに代わる案文を作製しこれに政治的社会的権威の確認を求める。所謂「お墨付き」的性質、のそれぞれに依拠して作製されたと考えられています。 ですから、「案文=副本」と単純に割り切って古文書を読むことは危険です。そこに記された内容を基準として判断することが求められます。 第二の質問ですが、これも実例が幾通りかあって一概に「○○だから××」とパターン的に分類することは危険です。また正文と案文の記載が全く同一のモノであることからも設問として立てることには意味があるとは思われません。 以上、雑多な説明で申し訳ありませんが、ご理解いただけましたでしょうか?。
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- tanuki4u
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鎌倉時代に関する本を読んでいたら下記のような説明があった。 鎌倉幕府から各地の守護へ 正文が来る 守護から各御家人へ 正文の写として 案文が書かれ送られる、その案文に守護からの補足説明として添文が付けられる
お礼
参考にさせていただきます。ありがとうございました。
お礼
単純に控えだからというだけではないんですね… すごく勉強になりました。ありがとうございました。