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なぜNHK大河ドラマは「正統とされる」史観ばかり描かれているのか?
- NHK大河ドラマ龍馬伝がもうすぐ終わります。今年もあっという間でした。ドラマ自体は一度も見ていませんが、NHKはよく見るので、最終回の大宣伝で知らされます。
- NHK大河ドラマは40年以上も続いており、なぜか「正統とされる」史観ばかりが描かれています。斬新な切り口で物語が描かれることもありますが、大筋は変わっていないように思います。
- 近年の急速な歴史の研究の進展と保守的なドラマの人気の背反関係についても触れられます。架空の人物を主人公にしてでも、生々しい歴史上の出来事を伝えることが戦争のむなしさを伝える手段になるのではないかという意見もあります。
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大学時代、歴史学科に所属していて、今でも一線で活躍されている教授とも交流があります。 まぁ、私のはその先生方から通しての事なので、歴史学界全ての意見を代表しているかは疑わしいでので、参考程度にとどめていたただければと思います。 NHK大河ドラマは、まともな歴史学者からは「フィクションすぎる」として敬遠されがちらしいですよ。 まぁ、敬遠するといってもその態度は様々で、NHKが間違った歴史を流布してると憤る方から、歴史学者としてみれば誤っている事が気になるが大河ドラマは娯楽としては面白いっていう方。そんなものには興味関心を示さず、自分の研究に没頭する方など様々だそうです。 でも、多勢で一致しているのは「大河ドラマは娯楽もの(フィクション)」だということだそうで。 こうした敬遠というのは、何もドラマに限ったことではなく、時代小説や漫画、アニメなんかにも言えることですけどね。 そもそも、歴史(history)は、ほとんど物語(story)であり、フィクションを含まない歴史なんてあり得ません。 とはいえ、曲りなりにも「学問(科学)」を称している以上、証拠が必要であり、それが史料となるわけです。 ただ、証拠といっても客観的なものは少なく、それ故どう評価するかが難しいのがこの学科の悩みどころでしょうね。 こうした「歴史の特性」を知っていれば上手く付き合えるんだろうと思いますけど、残念ながらそういう人が少ないのが今の日本の現状でしょうね。 むしろ問題は、歴史を学術的に興味を持つ人以外の多くの人は、「教科書になってるから『真実』の歴史だ」とか、「有名な学者が言ってるからそれが『真実』なんだ」とか、「時代小説なんかは、しっかり時代考証されているから『真実』なんだ」と思いこんでる人が多いことでしょうね。 大学では、「歴史学概説」なんていうカリキュラムがしっかり組まれて、「教科書の歴史、テレビ・小説などの歴史」は一切忘れることから入っていたそうですが、最近の大学は「人気が無いからやらない」ようになってきてるんだそうです。 で、「龍馬が人気あるから講義しろ」とか「ナポレオンは有名だからやれ」とか、大学自体が「歴史(学)」を教えなくなってきているらしです。 大学からしてこれですから、NHKも視聴率とれないと「私たちが払った視聴料返せ~!」みたいに言われるので、民放と変わらず商業主義的になってるんでしょうね。 また、歴史というのはどうしても(政治的)思想・イデオロギーをまとわざるを得ない分野でもあります。 そもそも、歴史というのがそうした目的を持って描かれてきたという歴史がありますので、この柵から逃れられないんですけど。 で、そうした思想・イデオロギーの問題は、時間的に近いことからどうしても近現代史では顕著に表れます。 だから、学校の教科書が「自虐史観だ!」とか「つくる会の教科書は保守によりすぎてる!」なんて論争がされるんですよ。 NHKは「公共放送」ですから、「政治的にどっちかによってはならない」という考えが民放より強く、結果として近現代史は避けられるんだと思いますよ。 まぁ、それでもNHKスペシャルなんかのドキュメンタリーでは、「研究成果の一つ」が紹介されたりしますけど。 結論としては、NHK側が改善するよりも、受取手である視聴者が「歴史なんてほとんどフィクション」という意識を持つ事の方が重要だとおもいますよ。 そうしないと、「自虐史観」だの「皇国史観」だのある一種のイデオロギーに染められになりかねませんしね。 「これが本当だ!」と思いこむより、常に「ふ~ん、そういう説もあるんだ」程度に軽く受け取れる方が遥かにマシです。 まぁ、興味を全く持たないよりも持つ方が大事ですけど。
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No.3です。 私もNo.4さん同様、「水戸黄門、銭形平次」だと思ったんですよ、まさに。 実際一度書いたんです。書いている途中で消してしまったけど。 余談ですが、「大河ドラマ的だな」と思ったのがイギリスの小説『ブーリン家の姉妹』です。 これも「結末は分かっている」「登場人物もだいたい実在の人が多い」「歴史の流れ的には合っている」だけど作り話満載で、「史実を無視している」と言う人もいる。 さらにそれが映画化されるとまた変わってしまい、「おいおい、どうしてだよ!!」 『ベルサイユのばら』みたいなもんですかね。 韓国時代劇『チャングムの誓い』、あれも嘘っぱちです。楽しめる嘘っぱち。 忠臣蔵もある程度そうでしょうか。 忠臣蔵。江戸時代から延々とやってるでしょう。アレンジしながら。 大河ドラマというのはそういう路線のものであって、ETV特集とかNHKスペシャルとは違うのです。
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- eroero1919
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いやあ、大河もなかなか変わったものですよ。やはり「変わったなー」と思ったのが天地人です。 まず主人公からして大胆。そもそも直江兼続は陪臣、つまり家臣の家臣という人です。秀吉だの家康だのの天下人はもちろん政宗のような大名でもありません。しかもその名は戦国好きでもない限り知らない人です。 そしてストーリーも大胆。それまで骨太で重厚なストーリー展開を好んでいた大河から一転、軽くて親しみやすい女性受けするストーリーとなりました。そのせいか、「歴女ブーム」を起こすことにも成功しています。今まで歴史好きというとおっさんの分野だったのですが、そこに女性という新しいターゲットを作り出したのです。 そのおかげで、「史実」に関してはかなり大胆に脚色も加えられています。 直江兼続の最も有名なエピソードとして、領内で殺人が起きて殺された一族が訴えるので兼続は間に入って殺した一族から賠償金を支払うことになった話があります。 このとき、殺された一族は調子に乗って金は要らない、命を返せと無理難題を要求を突きつけます。まあ賠償額の値上げを狙ったらしいんですが、この無理難題に対して兼続は殺された一族のある者を呼び寄せ、「閻魔大王殿。お初にお目にかかります。そちらに先に行っている者がいるかと思いますが、一族の者が返してくれと強く願い出ております。つきましては、使いの者をよこしますのでぜひ命を返していただきたい。恐々謹言」という手紙を書いて渡し、「これを持って閻魔大王のところへ行ってまいれ」と命じて殺してしまいました。 このいかにも戦国武将らしい勇猛な話は、優男路線であった天地人にはそぐわなかったらしく、ドラマではばっさり切られて採用されませんでした。 大河ドラマは多くの人が見る人気番組である上に、NHKは強制的に徴収する受信料で成り立っています。そうなるとあまりに大胆すぎる解釈や前衛的な演出はできないということになります。歌舞伎なんかが勝手に変えられないのと同じです。またドラマである以上、「ドラマとしての面白さ」は必須です。 質問者さんが望むような番組は、他の方の回答にもあるようにノンフィクションドキュメンタリーなんかが該当すると思います。 なお、こういったノンフィクションドキュメンタリーの金字塔として、NHKドラマではなく映画ですが、「東京裁判」というものがあります。文字通り東京裁判を綴った合計6時間にも渡る大作です。 これを6時間寝ることなく最後まで見続けたら、いやじつにたいしたものですよ。ひたすら裁判の様子が6時間続くんですから・笑。あるがままに史実を伝えています。
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- oska
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>「正統とされている」史観でばかり物語が描かれているのはなぜなんでしょうか? 龍馬の場合、多くがフィクションですよ。 時代考証は行っているようですが、人物関係(特に交流)は多くがフィクションです。 >満州・樺太の引き上げとか、終戦後の闇市で実際おこっていたことなど 戦後の興行をメインにすると、ヤクザ(暴力団)を主役クラスに抜擢しなければなりません。 ヤクザと深い関係を持っている(持っていた)大物芸能人は、現在でも活躍している方もいます。 例えば神戸を本拠とする暴力団3代目は、多くの芸能プロダクションと交流がありました。 今でも、このプロダクションは存在してTV/ラジオなどに影響力があります。 闇市にしても、同様です。 NHKとしては、100%無理です。 >原爆に関しては失礼な言い方かもしれませんが 原爆では、旧日本陸軍と理化学研究所○○研究室(○○は、個人名)での「国産原爆研究」があります。 戦争末期には既に完成していたようで、ドイツのUボート2隻がウラン・プルトニュームを積んで日本に向かっていました。 Uボートを拿捕した米軍は、目的を知って非常に驚いた様です。 「ゼロ(ゼロ式戦闘機)に搭載できる、小型原爆が日本にあるようだ」とね。 これは、ドラマでなくドキュメントです。 仮名にしても、見る人が見れば実名が分かりますよね。 NHKとしては、100%無理です。 >生々しい歴史上の出来事を、あるがままにつたえることが戦争のむなしさなどを伝えることになるんではないか その通りですが、大河ドラマは「ドラマ」です。 戦争を語るには、どうしても「戦争責任者」を無視する事は出来ません。 極東軍事裁判では、誰も戦争責任で処罰されていません。 あくまで「人道上の罪」「戦争回避出来なかった罪」です。 ドイツでは、ヒトラーは自殺しました。イタリアでは、ムッソリーニが処刑されました。 日本では、誰も戦争責任を取っていません。 8月15日正午、玉音放送がありましたよね。 事前に放送が決まっていても、当日朝にも特攻機が飛び立っています。 仮名にしても、見る人が見れば実名が分かりますよね。 NHKとしては、100%無理です。 では、日本への無差別絨毯爆撃を命じたアメリカ軍司令官が悪いのか? 彼には、戦後「日本政府は、勲章を授与」しています。 日本政府は、彼を英雄だと認めています。 まぁ、NHK大河ドラマは「娯楽ドラマ番組」です。 質問者さまが思う番組は、ノンフィクションのドキュメンタリー番組が相応しいと思いますね。 (例えが悪いですが)大河ドラマは水戸黄門・銭形平次・遠山の金さんなのです。
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大河ドラマはむしろ、「史実と違いすぎ!」と歴史好きな人々からはしばしば苦言を言われていますよ。特に最近なのかわかりませんけど、美化し過ぎとか、史実に流れが合ってないとか、重要な事柄を省き過ぎとか。ホームドラマみたいとか現代化し過ぎとか(篤姫、天地人など)。 『龍馬伝』も、史実を踏まえながらもかなり想像と創作を入れていると脚本家が語っています。 今までと違う龍馬を創りたかったとのこと。 私はさっぱり幕末に疎いし司馬遼太郎の小説も読んでいませんが、今回の幕末物(龍馬伝)は生まれて初めてついて行けました(でもよく分からない部分があるんだけど)。 つまり面白かったということです(突っ込みどころはありながら)。 で、少し史実をフォローしてみましたが、ドラマではかなり変えてある部分もあるし、まったくの作り話もあると分かりました。 だからあれは正統的な史実とはいえません。 架空の人物を主人公にするのはNHK「大河」の路線には合わないのではないでしょうか。「実在の人物を用いて架空も入れる」のが大河ではないかと。 話の大筋は変わってなくていいんです。「結末は分かっているのに面白い」のが歴史ドラマであり、小説なのだと思います。時代劇としての期待されるパターンもありますし。 これは好みの問題ですから、質問者さんがこういうのが嫌いならそれは仕方ありません。でも好きな人々もいるんです。 戦争関係のドラマは別の機会に結構やってますし、『坂の上の雲』(明治、日露戦争)もやってますし、大河ドラマ枠でやらなくてもいいのでは・・・・。 原爆は何度でもやっておかないと記憶も記録も薄れてしまうのでやるべきだと思います。あなたや私は何度もドラマで見ていても、それより若い世代は見ていないのですから。 ただ、もっと南方戦線だとか中国戦線だとかも「ありのまま」やって欲しいですね。ありのまま過ぎると悲惨過ぎちゃうかもしれませんけど。 そういう戦線の証言を元兵士が語り出したのも最近ですね。No.2さんがおっしゃるように関係者各位に配慮していたのかもしれないし、辛過ぎて何十年も経たなければ口に出せなかったのかもしれません。
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近い時代に関しては難しいでしょう。 >満州・樺太の引き上げとか、終戦後の闇市で実際おこっていたことなど 年齢から言えば、私をモデルにしたとおぼしき人物が出てくる可能性があります。 かっこよく描かれれば問題ないですが、極悪人・卑怯未練な人物として描かれれば、私だって言い分はあり 「生きるためにはやむ得なかった、そういう厳しい時代だったんだ!!」と・・・。 それが真実としても、各々事情はあり、直接その人物は死んでいても、子どもや孫と言った、直接顔を合わせたことのある家族は生きていますから、おもしろくないし、場合によっては社会的信用が傷つけられる可能性も出てきます。 訴訟問題にもなりかねず、現実「満州100人切り」事件などは、やったとされる元軍人の家族が名誉回復のためにねつ造だとして訴訟を起こしています。 こういったリスクや家族の感情を思えば、当人や当人の子どもが生きている内にはやるべきではないと思う。 もう1点、記憶が生々しいと、ヒーローとして描かれた人物でも、それは表の顔で実はと、大河ドラマを見た関係者が名乗りをあげたら、面倒なことになる可能性もある。 今時だと、肖像権の絡みも出てくるので、現実的には無理です。
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残念ながらそう話は簡単にはいかないものなんですよ。 大河は昔明治~昭和くらいを舞台としたのを3つくらいやったことがあるんですが、いずれも低視聴率に終わった苦い経験があるのです。 しかも歴史物に戻したらあっさりと視聴率が回復したのです。 こういう事実を直接味わったことがあるので、大河は歴史物偏重になってしまっているのです。
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