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酔客ぶつかりホーム転落=電車待ち男性、ひかれ死亡
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- 過失致死罪が成立するかどうか
- 過失犯の実行行為と飲酒の関係について
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以下はあくまでも私見ですが・・。 過失の実行行為というお話をされているので、 結果回避義務違反行為を実行行為と捉える 新過失論的な考えで質問なさっていると思われます。 そこで結果回避義務違反行為は何かと考えると 判例・通説では、抽象的な一般人の注意能力を標準とした客観的注意義務に違反した場合 と考えられているようです。 (責任過失は別) 質問者様は「ふらついてぶつかった」、「立ち上がったらふらついてぶつかった」 という本件における具体的な行動が行為といえるかから考えていらっしゃいますが、 まずは、何が注意義務違反行為かというところから 実行行為を考えるのではないでしょうか。 判例では、一般人の観点から予見可能性を考えて、 加害者に予見義務違反、回避義務違反があったかをかんがえるため 本文の実行行為(客観的注意義務違反)は 一般人から考えれば「ホームでは人を突き落としてしまう可能性がある。酩酊すれば行動をうまく制御できなくなる可能性がある。すなわち、ホームで酩酊すれば人を突き落としてしまう可能性がある」という予見可能性はありますし(予見可能性あり) 当然、被疑者はその可能性を認識しえたにもかかわらず、 自身の制御を失わない程度の酒酔いにとどめなかったこと 酩酊した場合には人を落とさないように、人との距離をとる等、 細心の注意を払わないでいたため 結果、被害者にぶつかり落下させ、その者を死亡させた(予見義務、結果回避義務違反)、 という過失があるといえます。 これが立ち上がるときにふらついたのか、ふらついてぶつかったに関わりなく、 (もちろん、裁判上事実として問題になるでしょうが・・・。) 法的判断たる実行行為は上記のような注意義務違反なのですから たとえ、事実がどのようにぶつかったにしても過失はある(実行行為はある) ということになると思います。 そう考えないと、酔っぱらいが人を過失で死亡させた場合、 立ち上がりふらいついたのか、ただふらいついていたのかで 実行行為なし(構成要件該当性なし)となって、犯罪不成立となって不合理ではないでしょうか。 最後の質問の部分は一般人の観点から考察すれば、予見可能性はあると思います。 理由は、ホームという場所の危険性と、酩酊した場合の人の挙動の制御の難しさです。 酩酊した本人の立場から予見可能性を考えるのではなく、一般人の観点から考える 必要があると思います。
お礼
詳しい回答ありがとうございます。 実務のように注意義務違反を中心に考えるにしても、注意義務違反がどのような作為又は不作為でなされたのか特定する必要はやはりあるのではないでしょうか。 普通判決でも「これこれの注意義務があるのに漫然~して結果を引き起こした」みたいにある特定の作為や不作為を指摘するはずです。これがないと予見可能性を要求する時点も決まらないと思うのです。 過失の個数論のことはすっかり失念していましたが、ご回答からは飲酒とホームでの行為(距離をとらない不作為など含めて)の全てを過失実行行為とする見解と見受けられます。 この場合やはり実務は飲酒の時点で致死の予見可能性があるといってしまうのでしょうかね。 判決が出ないとわかりませんが、飲酒が実行行為になる他の事例、例えば飲酒運転での事故とかと比べるとかなり抽象的な予見可能性になる気がします。私は一般人ですが、たまに深酒するときにこんなこと予見しませんよ・・・気をつけないと。 ちなみに旧過失論は故意犯と過失犯の実行行為は同じだと考えるはずですよ。なぜなら両者を責任段階でのみ区別するからです。