- ベストアンサー
米国の政治学者ジョン・ロールズが「普遍的リベラリズム」から「政治的リベ
米国の政治学者ジョン・ロールズが「普遍的リベラリズム」から「政治的リベラリズム」にシフトしたことが、 世界の政治思想のトレンドの大きな変更点だったようなことが本に書かれていたのですが、もう少し具体的に言うとどういう思想の変化だったのでしょうか? 「理念も大切だが、それ以上に事実性が大切だ」という思考に大きく傾斜していった・・・ とも書いてありました。どういう意味なんでしょう?詳しい方、教えていただけると助かります。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
ロールズの正義論の骨格が、以下の正義の二原理に要約されます。 正義の二原理 【第1原理】各人は、基本的自由に対する平等の権利をもつべきである。その基本的自由は、他の人々の同様な自由と両立しうる限りにおいて、最大限広範囲にわたる自由でなければならない。 【第2原理】社会的・経済的不平等は、次の二条件を満たすものでなければならない。 (一)それらの不平等が最も不遇な立場にある人の期待便益を最大化すること (二)公正な機会の均等という条件のもとで、すべての人に開かれている職務や地位に付随するものでしかないこと 一見して分かるように、普遍的な自由とか、普遍的な平等とかをもとめるのでなく、可能な限り、現実的に達成可能な正義を目標においていますね。そこら辺りを、 >ジョン・ロールズが「普遍的リベラリズム」から「政治的リベラリズム」にシフトした と言った表現になったのではないでしょうか。 >世界の政治思想のトレンドの大きな変更点 但し、ロールズの主張が、世界の政治思想に、どれだけ影響を与えたか、与えなかったに関しては、私にはお答えする能力も時間もありません。 ちなみに、読み方によっては、自分の能力すら、自分のものではない、とも。 「人間が様々の自然的差異をもって生まれついてくることが偶然(contingent)であるという認識は、少なくともロールズの言う意味においては、事実認識であるかに見えて実は倫理的決断である…。すなわち、天与の才能に居直って、それを当然の事実とうけとめるか、それともそれは当然ではない(換言すれば、自分には本来それが与えられる理由がないから自分はそれに居直れない)とうけとめるかは、単なる所与から出てくることではなく、その人の人生観に由来することがらである…」。「全くの偶然事(contingency)」を「まったく理由のない出来事…、したがって自分がそれを受けるに値しない(undeserved)出来事」とするところに「ロールズの全思想の核心」がある。 (『倫理の復権──ロールズ・ソクラテス・レヴィナス』岩田靖夫) 蛇足ですが、 現実の社会は、学問から、都合の良い所だけを、さらっと抜き取るんですね、掏りみたいに。
お礼
大変興味深く読ませていただきました!いつか時間があったらロールズ関連の本もじっくり読んでみたいと思います。ありがとうございました!