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ドーパミンの出過ぎと補充についての疑問
- ドーパミンの脳内化学物質が出過ぎると、性欲や食欲などの本能的なものは制御されずに問題が生じる可能性があります。
- 芸術や学問を楽しみながら取り組んでいる人は、ドーパミンの分泌が抑制されずに持続することがあるとの報告もあります。
- しかし、長く好きなことを続けるとドーパミンが欠乏する可能性もあり、適度に休息を取る必要があると考えられています。また、テレビゲームの過剰なプレイはドーパミンの使い果たしや情緒不安定につながることもあるとされています。
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こんにちは。 「DA(ドーパミン)」も物質ですから、使い過ぎると出なくなります。薬物などで大量放出させますと枯渇が起こり、そのあとは意欲を失って脱力状態となります。 報酬刺激によって分泌されるDAは報酬系回路に作用して報酬反応を亢進させます。ですが、このままですと報酬回路は暴走し、DAは枯渇してしまいます。「GABA(ギャバ)抑制」は、これを防ぐためにあります。 報酬刺激は扁桃体に入力され、即坐核から腹側被蓋野に興奮信号を送ります。これにより腹側被蓋から分泌されるDAが報酬系回路を構成する「側坐核・偏桃体・海馬」などに送り返され、その活動を修飾します。このうち、GABA神経といいますのは「即坐核」から「腹側被蓋野」に接続されていますので、側坐核が興奮すれば腹側被蓋野のDA分泌が抑制されることになります。つまり、DAの分泌が報酬反応を増幅させるならばGABAがDAの分泌を抑えようとするわけです。これにより、報酬系回路の暴走やDAの枯渇が防がれます。 ですから、報酬系回路におけるGABA抑制の働きに就きましてはこれまでの質問者さんのご認識が概ね一般的な解釈であり、GABAの抑制なしでDAが分泌され続けるというのが少々不正確な表現なのではないかと思います。 薬物中毒や「ランナーズ・ハイ」などでは、GABA抑制の解除による恍惚状態が体験されると言われています。 モルヒネなどの麻薬類はGABAの抑制機能を「脱抑制」してDAの分泌を強制解除してしまうわけですが、スポーツなどの肉体的ストレスによって分泌される「BE(β―エンドルフィン)」にもこれと同じ作用があります。このため、極度の運動に携わるスポーツ選手の脳内にはDAの大量分泌による突然の幸福感が発生することがあります。 ですが、この「ランナーズ・ハイ」といいますのはこのように「報酬のない幸福感」という至って特殊な現象であり、少なくともこれに関わるBEといいますのは、基本的には「肉体的要因」によって分泌されるものです。ですから、幾ら読書や芸術が幾ら楽しいからといいましても、これによってGABA抑制が解除されてしまうということはまずないはずです。 日本には勇ましくも過激なお祭りがたくさんありますし、黒人ゴスペル教会の集会などでは感極まった信者そのまま天国まで日帰り旅行をしてしまうというのが出るそうです。ただこの場合、本人は天国だと思っているかも知れませんが、実際には救急車に乗せられています。 「祭りのあとの寂しさ」や「遊び疲れた倦怠感」、このような体験は誰にでもあると思います。では、本気でおみこしを担ぎ、朝から晩まで走り回っていたらどうなるでしょうか。「疲れてはいるのだけれど、止めたくない!」、このようなとき、BEは分泌されています。ですから、そのまま続けていればやがてDAの大量分泌によって至高の恍惚感に達するわけですが、そこまで体力が持つかどうかどうかは分りません。 「DAの枯渇」とはどのような状態かといいますと、GABAの抑制解除の他に、ニコチンといいますのは腹側被蓋野に直接作用してDAの大量分泌を促します。このため、「ニコチン依存症」では慢性的なDAの枯渇に陥るわけですが、これにはやはりはっきりとした倦怠感が伴います。 それが日常生活でどのくらい消費されるものかはちょっと分りませんし、長時間のコンピューター・ゲームによる報酬系回路の機能低下にもDAの枯渇によるものと神経疲労によるものがあるはずです。 報酬回路の本来の役割とは、それは幸福感を発生させることではなく、これによって自分が何をしたいのかを決めることです。ならば、一日中パソコンの前に座っていて、ああ、疲れた、そろそろ休もうか、このような判断が下せるならばまだ大丈夫です。ですが、考えが纏まらなくなり、休みたいとかご飯を食べたいとか、自分が何をしたいのかが分らなくなってしまったときには、果たして報酬系回路がマヒしているか、あるいはDAが枯渇したということになるのかも知れません。 とは言いましても、如何に意識朦朧、疲労困憊の状態でもちゃんと休めば回復するわけですから、通常の生活でつい面白くてやり過ぎた程度でしたら何も深刻な事態になることはありません。ですが問題なのは、それが「仕事尽くめ」や「ゲーム三昧」のような偏った生活になりますと、「伝達物質の機能不調」による分泌不足や過剰分泌などを往々にして招くことになります。 「情緒不安定」といいますのは感情の起伏が必要以上に大きくなったりすることですが、「5-HT(セロトニン)」といいますのは緊張や意欲を司る「NA(ノルアドレナリン)」や「DA(ドーパミン)」による中枢系の興奮を速やかに安静状態に戻すため、脳内では常に必要量が供給される抑制性の伝達物質です。ですから、仮にDAが尽きるまでゲームに熱中したとしましても、DAの分泌が止まるならば脳は5-HTの抑制作用によってそのまま安静状態に戻されますので、ここで情緒不安定になるということはありません。ですが、このような生活が幾日も続き、分泌量や受容体の数がだんだん減らされてゆきますと、やがて5-HTはその機能を果せなくなり、これが慢性的な情緒不安定やうつ病の原因になるとお医者さんは警告しています。
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- ruehas
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こんにちは。 #4です。ご無沙汰でした。相変わらす熱心にやっておられますね。 >「DAが止まるならば、脳は5-HTの抑制作用によってそのまま安静状態に戻される」とのころの「DAが止まる」ということはどういうことでしょうか。 これは、報酬系回路でDAの分泌が終了するという意味で書きました。 DAといいますのは、我々が報酬入力に対して能動的な行動を選択するために分泌される物質ですから、目的が達成される、あるいは報酬がなくなってしまうなど、その役目や必要がなくなれば分泌は自然に終了します。当然、何らかの理由でDAが枯渇してしまったならば同じことになります。 DAの分泌が止まれば「偏桃体、海馬、眼窩前頭」など報酬系回路を構成する組織には一斉に5―HTの抑制が掛かりますので、我々の脳は報酬反応が発生する前の通常安静状態に戻されますが、DAが分泌されている間は活性状態が継続されます。 >それから「分泌量や受容体の数がだんだん減らされてゆきますと」の「分泌量や受容体の数」、これはDAでしょうか、5-HTでしょうか。受容体の数が減る原因も教えてください。 DAではなく、「5-HTの減少」が情緒不安定やうつ病の原因になります。 ただ、たいへん申し訳ないのですが、「受容体数の減少」はゴメンなさい「私の早とちり」でした。 因みに、5―HTなど、神経伝達物質の分泌量が減りますと、受け取る側の受容体といいますのはそれを補うために数が増えます。逆様でしたね。果たして、これがシナプスで起こる受容体の可塑的変化の基本的な性質であることをうっかり見落としていました。 5-HTの減少は、ゲーム尽くめのような不規則な生活習慣により5-HTの分泌細胞が機能低下、あるいは萎縮するためとされています。そして近年では、5-HTの分泌低下によって、それを受け取る神経細胞も萎縮、あるいは減衰するのではないかといった考え方が付け加えられようとしています。受容体の数が減るのではなく、受け取る側の細胞に元気がなくなってしまうということです。失礼しました。
お礼
ruehasさん、「熱心にやっている」のお言葉、ありがとうございます。 元気が出てまいります。感謝です。 DAの枯渇により、5-HTは平静状態に戻すための活動を開始するということ理解できました。 しかし、余りにも、不規則な生活をし過ぎると、5-HTと関連する神経細胞が疲弊し、精神的安定を取り戻すにの支障をきたすということも理解できました。 いつもいつも、尊い知識でお教えくださり、ありがとうございます。 物事を理解するのに、情緒的に受けとめるよりも、より科学的に理解できると、なおいっそうガッテンという気持ちになります。 ありがとうございました。
- DoubtOwl
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集中力や興奮状態は神経伝達物質だけで決められるものではないと思いますよ。 他の生理現象すべてにいえることですが。 身体的な疲労もあるでしょうし、ドーパミンに慣れるということもあるかもしれません。 生理現象は複雑に絡み合ってできているので何か一つをとって結論付けることはできず、とても複雑で、またそこが面白いですね。
お礼
DoubtOwlさん、さっそく、お教えくださいまして、ありがとうございます。 たしかに、集中力や興奮状態は、ドーパミンだけの作用ではないことが分かります。 身体的疲労やドーパミンの慣れということも理解できます。 複雑に絡み合っているということ、 よく理解できました。 ありがとうございました。
- DoubtOwl
- ベストアンサー率50% (63/124)
ドーパミンはL-ドーパから作られ、L-ドーパはフェニルアラニンやチロシン(アミノ酸です)から作られるそうです。 アミノ酸は生物の基本ですから尽きることはそうそうないと思います。 分泌されたドーパミンなどの神経伝達物質は不活性化、再吸収、再利用などされるようですのでその点からも尽きることはないでしょうね。
補足
DoubtOwlさん、早速。ご回答ありがとうございます。 ドーパミンはアミノ酸から作られるから、尽きることはないということ、なるほどとおもいます。 そこで、質問があるのですが、 テレビゲームを面白がってしている子どもは、ドーパミンが出ているはずです。 一日に何時間もしている子のドーパミンは、減ることなく分泌され、再吸収、再利用されているのですか。ドーパミンは使われている間に、消耗して他のモノに変化しないのですか。 私はゲームはしませんが、勉強に置き換えると、勉強は好きですが、やってるときはワクワクしています。多分、ドーパミンが出ているのだろうと思います。 しかし、時間が経つうちに、疲れて飽きてきます。いくら好きでも、集中力はなくなってきます。ということは、ドーパミンは消費されて、減少していると考えられるのでは思うのですが。
抗うつ剤の作用機序はご存知でしょうか? 神経伝達物質の「再吸収阻害」です。 ということは分泌された神経伝達物質はニューロン末端に再吸収されるのです。 また、御質問者様は神経伝達物質が「ジャブジャブ出る」というように思われているフシがありますが、これらは「パルス」的に出、その回数が多いとその作用が増強されると考える方が現実に近いと思います。
お礼
doc_sundayさん、早速のご回答ありがとうございました。 「ジャブジャブ出る」というように思われているフシがありますが、これらは「パルス」のところ、よく理解できました。 パルス的にでると、興奮してしまうので、ドーパミンの消費がより激しくなるというのが出来てとてもよかったです。 ありがとうございました。感謝します。
補足
doc_sundayさん さっそく、ご回答ありがとうございます。 質問があるので、よろしくお願いします。 ドーパミンが再吸収阻害剤で、何回もシナプスのところで使われるということかと思います。 しかし、実際に、好きな勉強を意欲をもってしているときは、ドーパミンは出ているのでしょう。でも、いくら好きでも疲れて、飽きてくるのは、ドーパミンが不足しているのではないでしょうか。 doc_sundayさんの言われるように、ドーパミンが再吸収阻害で、何回も使われて不足することはないとすると、勉強に飽きることはないのでは思うのです。 ニューロン末端のシナプスところにあるドーパミンは、使っている間に、他のものに変化して役割を終えるのではないでしょうか。
お礼
ruehasさん、お久しぶりでございます。 いつも、スッと理解できます、ご回答をくださりありがとうございます。 これでDAのこと、よく理解できました。 性欲や食欲には、GABAの抑制が働くというのは知っていたのですが、 研究や勉強などにもGABAが働くというこも理解できました。 そのGABAの抑制機能を不全にするのが、肉体的苦痛、ストレスを緩和するために出るBE、あるいは、面白くて出過ぎるBEなどによると理解しました。 ですから、終わった後にぐったりするということも理解できました。 そして、「報酬回路の本来の役割とは、それは幸福感を発生させることではなく、これによって自分が何をしたいのかを決めることです」の言葉には、人類が生きてきた歴史を感じさせていただきます。 私の知識のなさで理解できないところがあります。それは 「仮にDAが尽きるまでゲームに熱中したとしましても、DAの分泌が止まるならば脳は5-HTの抑制作用によってそのまま安静状態に戻されますので、ここで情緒不安定になるということはありません。ですが、このような生活が幾日も続き、分泌量や受容体の数がだんだん減らされてゆきますと、やがて5-HTはその機能を果せなくなり、これが慢性的な情緒不安定やうつ病の原因になるとお医者さんは警告しています。」のところの「DAが止まるならば、脳は5-HTの抑制作用によってそのまま安静状態に戻される」とのころの「DAが止まる」ということはどういうことでしょうか。それから「分泌量や受容体の数がだんだん減らされてゆきますと」の「分泌量や受容体の数」、これはDAでしょうか、5-HTでしょうか。受容体の数が減る原因も教えてください。よろしくお願いします。