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格子点数と原子数
結晶について学んでおります。 まず、格子点数と原子数の違いが分かりません。 それで、diamondの単位格子の格子点数、原子数を求めようとしたときに、はたと困りました。 まず、diamondのブラベー格子がFである、そのことから、理解ができませんでした。 diamondは、fccを1/4,1/4,1/4ずらしたものの組み合わせだということは知っています。そこからdiamondのブラベー格子がFであるとなるのでしょうか。 ごめんなさい。。書いてて混乱してきました。。意味がとれない部分もあると思いますが、教えてください。
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まず結晶格子とは、空間の三方向に等間隔で並んだ点の集まりのことです。 そしてどんな複雑な結晶構造でも、「結晶格子×単位構造」からできています。 このことを少しずつ説明してみたいと思います。 単純立方格子(primitive cubic; cP)は一番わかりやすいと思いますが、ジャングルジムのように 立方体をたくさん詰め込んだような形をしています。ただし、格子とはあくまでも立方体の頂点の 部分だけの集合なので、フレームの部分は含みません。この頂点一つ一つのことを格子点と言います。 8個の格子点を結んでできる、対面が平行な六面体のことを単位胞または単位格子といいます。 単位胞は繰り返しのユニットとなります。先ほど格子はフレームを含まないと言いましたが、 それはこの結び方(単位胞の決め方)が自由であるということです。星座みたいなものだと思って下さい。 べつに菱餅のような形に結んでもいいんですが、ふつうはもっとわかりやすい(対称性の高い)立方体 などの形になるように結びます。 「単純立方格子の単位胞(立方体)にはいくつの格子点が含まれるか」という問題には 1と答えます。なぜ8ではないかというと、立方体の頂点に全て格子点があると考えると、 繰り返し並べた時に別々の立方体から来た8個の格子点が一カ所にかぶってしまうからです。 ですからそれぞれの立方体について8つの頂点のうちたとえば左下手前のものだけをその立方体に 所属する格子点と考えれば1になるわけです。そこを原点O(0,0,0)にとります。 単純立方格子をとる結晶構造のうちもっともシンプルなのは単純立方構造(simple cubic; sc)です。 これは単位胞の頂点の位置だけに一種類の原子を置いた構造で、ポロニウムのα相がこの構造です。 「格子」と「構造」はどう違うのかと思われるかもしれませんね。実際には同一視されている解説が ほとんどですが、格子はまだ原子(やイオン)を置く前の、単なる位置の基準点の集合です。 単位胞の中に原子を置いて初めて構造になります。これが「結晶格子×単位構造=結晶構造」の意味です。 scの場合は「単純立方構造の単位胞にはいくつの原子が含まれるか」の答も1となります。 他には塩化セシウム型構造が単純立方格子です。これはセシウムイオン(Cs+)を単純立方格子の 原点(0,0,0)に置いたとき、塩化物イオン(Cl-)が立方体の中央(1/2,1/2,1/2)にくる構造です。 Cs+(0,0,0)とCl-(1/2,1/2,1/2)のペアが単位構造であり、それが各単位胞の中にあるということです。 別の見方をすればCs+だけでできた単純立方構造とCl-だけでできた単純立方構造を(1/2,1/2,1/2)だけ ずらして重ねたと考えることもできます。しかし、あくまでも塩化セシウム構造としての単位胞は どちらか片方だけですから、単位胞内の格子点数は1のままで原子数は2となります。 やっとダイアモンド構造に近づいてきました。ダイアモンド格子は面心立方格子(cF)をとります。 単純立方格子と比べると立方体の中にあらかじめ O(0,0,0)、A(0,1/2,1/2)、B(1/2,0,1/2)、C(1/2,1/2,0) の4か所に格子点があります。他の点、たとえば(1/2,1/2,1)の格子点はひとつとなりの立方体 に所属するものと考えます。あらかじめ格子点が4つあるというのはどういう事かと言うと、 うまく単位胞を選ぶと立方体の1/4の体積のものが作れて、その中の格子点数は1になります。 このような単位胞は基本単位胞といい、たとえばOA、OB、OCを三辺とする菱形六面体がそのひとつ です。しかしそれでは形が分かりにくいのでふつうは体積4倍の立方体の単位胞を考える代わりに 格子点数が4になっているのです。 面心立方構造(fcc)は面心立方格子の格子点にだけ原子を置いたもので、単位胞内の 格子点数は4、原子数も4です。一方、ダイヤモンド構造は炭素原子を O(0,0,0)、O'(1/4,1/4,1/4) A(0,1/2,1/2)、A'(1/4,3/4,3/4) B(1/2,0,1/2)、B'(3/4,1/4,3/4) C(1/2,1/2,0)、C'(3/4,3/4,1/4) の8カ所に置いた構造です。これは原点に付随する(0,0,0)(1/4,1/4,1/4)の2つの炭素原子を 単位構造として、A、B、Cの3格子点にもコピーしたものと考えることができます。fccを (1/4,1/4,1/4)だけ平行移動して重ねたものと捉えても構いませんが、ダイヤモンド構造として の単位胞はあくまでも(0,0,0)を原点とするものだけですから、格子点数4、原子数8となります。 以上長くなってしまいましたがわからなければまたおっしゃって下さい。
お礼
なるほど、自分には、単位構造(原始群?)でとらえるということがあまり出来てなかった気がします。 もう一度よく考えてみます。 (考えてまた分からないことが出てくるかもしれないので、回答締め切りはしばらくたってからにします) どうもありがとうございました。