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債権の準占有者や即時取得と外観法理

債権の準占有者や即時取得は本人の帰責性を要件としないことから外観 法理ではないと思っておりましたが、外観法理としている資料もあり、 どのように整理したらよいのでしょうか?

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  • ted2010
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回答No.1

こんにちは 僕自身あまり「外観法理」なるものについて詳しくないので、 「債権の準占有者」、「即時取得」が外観法理に分類すべきものか、 否かについては、良くわかりません (そもそも「外観法理」と一口に言っても、条文上でてくる文言ではなく、 学者ごとに色々と定義・説明されているものであるし、各条文毎に相違があるので、 おおざっぱに一つにまとめようと思えば同じ分類になるし、 もう少し細かくしようと思えば、違う分類になるのでは・・・? といったくらいの理解です) ただし・・・質問文をお読みした限り、 「外観法理は本人の帰責性が必要」 とご理解しているように思われますが、 確かに94条2項は本人の帰責性が必要(通説)とされていますが、 他の条文については、必ずしもそうではないです 例えば、一般的に民法110条は外観法理として分類されていると思いますが、 本人の過失の要否については、判例・学説、歴史的に非常に対立があります 民法起草者はこの点について、言及していませんが、 判例は当初過失を必要としていました(大判明36.7.7/大判明39.2.22)が、 その後大審院は過失を要件とする過失主義から、 作為・不作為を要件とする原因主義へとその態度を緩和し、 「過失を要件とするものでない」(最判昭34.2.5) と明らかにされました しかし、さらにその後 今や高度に発達した資本主義の現実の中で、 銀行取引や企業取引を中心に経済的強者あるいは、プロが本人の犠牲において 表権代理を通して安易に保護されてはならないという価値観の下、 動的安全保護から静的安全保護に振り子を戻すべきという判断が加えられ、 「権限ありと信ずべき理由が本人の作為不作為に基づくものであるか否か・・・ 正当の理由の認定に当たって考慮されるべき事情」「本人の有責性の 軽重は、必然的に正当理由の成否に関連してくる」 「当該越権行為自体との関連における本人側の事情をとらえるが必要」 とされ、また「裁判所は正当の理由を見る時に、用語はともかく、 かなり具体的に、・・・本人の側のシチュエーションというものをかなり考慮に いれている」(学説)とされています 少しポイントがずれた回答になってしまいましたが、 何らかの参考になれば幸いです (参考文献 別冊ジュリスト 民法判例百選I 第5版 p.64-65)

a1b
質問者

お礼

補足で別個に質問させていただいたことに関する、私の印象は次のよう なものです。 私の資料では、基本的に94条2項も表見代理も権利外観法理(取引の 安全)ということで、禁反言は出てこないですね。 94条2項については、英米法の禁反言と同様の機能もっていると言及 している資料がありますが、やはり権利外観法理という立場ですもの ね。 また109条について、解釈上、94条2項と異なり相手方の悪意有過 失の立証責任を転換していますが、禁反言を持ち出さずに説明していま す。 制度設計の点でも、109条だけ禁反言で110条、112条は権利外 観法理というのも沿革からいっても無理があるように思えます。 民法が大陸法をそのルーツとしていることもあってか、基本的には権利 外観法理ということでよいみたいですね。 戦後はアメリカ(英米法)の影響や、信義則が明文化されたことで、禁 反言で説明される余地が出てきたということでしょうか?

a1b
質問者

補足

いつも、懇切丁寧かつ論理明快な回答有難うございます。 んんん・・・民法は色々あるのですね。 既に20点満点の回答をいただいているのですが、関連しまして一点教 えて下さい。 94条2項について、権利外観法理であり、禁反言と同様の機能をもつ といわれます。 また、表見代理のうち110条、112条は権利外観法理であるが、1 09条は禁反言であるそうです。 両者は本人の帰責性と相手方の保護要件に対する考え方を異にするこ と、また沿革(大陸法と英米法)が違うと聞いております。 民法はこの両者が入り乱れているのでしょうか? つまり、個々の条文について、禁反言か権利外観法理かの争いがあるの でしょうか? そもそも日本民法はフランス民法とドイツ民法の影響を受けているはず ではなかったのでしょうか? なんでまた禁反言が出てくるのでしょうか?