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上座部仏教について

来年度受験予定の高校2年生です。 世界史でどうしてもわからないところを質問させてください。 古代インドの上座部仏教についてです。 ある文献で「ヘレニズム文化の影響を受けて多神教となった大乗仏教と違い・・・」といった記述があったのですが、上座部仏教は一神教という事になるのでしょうか? よろしくお願いします。

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  • ベストアンサー
  • nacam
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回答No.3

上座仏教は、他の方の言われるように、小乗仏教のことを言います。 上座仏教と大乗仏教の差は、個人の救済を目的とする上座仏教に対して人類全体の救済を考えるのが大乗仏教になります。 このことを逆に言いますと、「信仰は個人の考え方によるもの」とする上座仏教に対して、人類全ての救済のたるには、全ての人々が仏教に帰依するひつようがあると考えるのが大乗仏教ということになります。 そのため、上座仏教には、布教という概念はなく、あくまで個人の考え方しだいという事になります。 大乗仏教は、北インドのマウリア朝で生まれた考え方であり、その根底には、ゾロアスター教による考え方が強く引き継がれています。 特に阿弥陀系、弥勒系の信仰は、ゾロアスター教の考え方がそのまま受け継がれることになります。 そのゾロアスター教の考え方に、ギリシャ式の神像を造る事が加わり、それがインドに再び戻り、大乗仏教が生まれることになるのです。 ゾロアスター教は、本来一神教として生まれたのですが、ペルシャ帝国の末期ころから、しだいに多神教的宗教に変質しており、ヘレニズムの考え方の中で、完全に多神教へと変質していました。 そのため、大乗仏教も、ゾロアスター教のように、一神教的多神教へと変質してゆきます。 大乗仏教の最高位の大日如来は、ゾロアスター教の最高神アフラマズダーが元になっています。 そのため、大乗仏教では、釈迦如来は、大日如来よりも下位におかれることになります。 それに大して上座仏教では、中心となるのは、あくまで釈迦如来となります。 大乗仏教に存在する沢山の天(吉祥天や毘沙門天など)は、ゾロアスター教の光の神々が、阿修羅は、ゾロアスター教のアンラマンユなどの悪神から生まれ、上座仏教よりも多神教的な世界をつくりだしています。 それに大して上座仏教においては、人それぞれが仏であるとの考え方をしますので、多神教的要素は、大乗仏教に比べ少ないのですが、かといって一神教かといいますと、それもあたりません。 上座仏教における釈迦は、絶対神でもなんでもなく、ただ理想とする存在、自分がそこに到達するための目標でしかないのです。 ですから、大乗仏教を多神教とするのは正しいのですが、上座仏教は、多神教でも一神教でももない存在ということになるのです。

8yukicchi8
質問者

お礼

丁寧に説明してくださってありがとうございました。 学校の勉強では「この宗教は多神教」「この宗教は一神教」的な性格付けで機械的に学ぶことが多いので、どうしてもそうした考え方にとらわれすぎていたようです。 ゾロアスターと仏教の関係などは全く習わなかったので、すごく興味を持ちました。 時間があればもっと掘り下げて勉強してみたいです。 本当にありがとうございました。

その他の回答 (2)

  • SPS700
  • ベストアンサー率46% (15297/33016)
回答No.2

 なかなか回答がないので無知を顧みず、出ようかと思った時に#1さんのタイムリーな、しかも的を得たご回答に安心しました。  上座部仏教(テラヴァーダ)と大乗仏教(マハヤーナ)の差は#1さんのおっしゃる通り信仰の在り方(推理小説で言うMO)の問題で、信仰対象が単数か複数か(一神教か多神教か)の問題ではありません。  これ自体、専門の知識がなくても、常識で判断できる程度のものですが、高校で読む文献にこういう初歩の間違いがあるのは、それを奨めた者の責任だと思います。  多分多神教は一神教に「進歩する前の」形態だと考えた素人の書いた文献でしょうが、気をつけてください。

8yukicchi8
質問者

お礼

No.1の方のご回答もあわせて色々と理解できました。 >これ自体、専門の知識がなくても、常識で判断できる程度のものですが >多分多神教は一神教に「進歩する前の」形態だと考えた素人の書いた文献 といった常識的な部分を私自身がまだあまり良くわかっていません。 少しずつ勉強していきたいです。 どうもありがとうございました。

  • tadagenji
  • ベストアンサー率23% (508/2193)
回答No.1

上座部仏教とは、小乗仏教のことで大乗仏教側から保守派に対する悪口を使わないための言葉です。  別名、部派仏教ともいいます。 元は、仏教内部の保守派(小乗仏教)と革新派(大乗仏教)の違いです。 お釈迦さまの仏教は、個人の救済を目的にしたもので、その個人が悟りを開かなければどうにもならないもので、出家しなければなりません。 これは、誰にでもできることではなく、大衆を救うことには役立ちません。  そこで大衆を救う仏教があるべきという考えが大乗仏教と言うようになった。   そして小乗仏教=保守派の長老達のことを上座に座っている人達の意味で上座部仏教と呼びます。  この上座部は、分裂を繰り返し20以上の部派に別れたので、部派仏教ともいいます。 以上のことから、多神教とか一神教とかは関係有りません。  仏教は非常に自由な考え方をする多神教です。  同じ宗教でありながら正反対の考えも包含する自由さを持っています。 ヘレニズム自体は、ユダヤ教、キリスト教と同じくクリエーターという一神教です。 最後に、他の宗教は、なになに教と言いますが、仏教は、仏法というのが正式です。 神からの教えではなく守るべき道という意味です。

8yukicchi8
質問者

お礼

丁寧に説明下さってありがとうございます。 大乗仏教との関わりもより深く知ることができて、助かりました。 >ヘレニズム自体は、ユダヤ教、キリスト教と同じくクリエーターという一神教です。 という部分だけ少しわからなかったので、また調べてみたいと思います。 どうもありがとうございました。

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