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古典力学における運動量保存について
お尋ねします。 古典力学(質点・剛体・流体の運動)の範囲でのことですが、 1.質量保存 2.運動量保存 3.運動エネルギー保存 の3つの保存が考え方としてあると思います。1については、ほぼどのような場合でも成立するわけですね。2,3について考えます。 エネルギー保存が成り立たなくても、運動量保存が成立する、という問題はよく見かけます。バットとボールの衝突などは運動エネルギー損失があっても運動量が保存されるとして理論展開をします。ではエネルギー保存が成立するけれども運動量が保存されないという場合はあるでしょうか。無い様に思います。ということはベン図で書くと、運動量保存の集合(マル)の中に運動エネルギー保存の集合(マル)が書かれることになりますが、それでいいのでしょうか。 もし、それが成立するならば、運動エネルギーが保存されるならば、必ず運動量が保存されるということですからそのことが数学的に証明されなければならないのではないでしょうか。 また、古典力学の範囲において運動量が保存されない、というのはどのような状態でしょうか。実例などがあれば教えて頂きたいのですが。 よろしくお願いします。
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- yokkun831
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運動量-力積関係もエネルギー原理も、もともとが運動方程式の積分によって得られるのですから、積分を省略しないですむのであれば運動方程式(および作用反作用則)から運動を予測することができます。 重要なことは、積分によって失われてしまう情報があるということです。このことが逆に、運動方程式の積分に現れる運動量とエネルギーがそれぞれにもつ有効性がどこにあるかを教えてくれます。 運動量保存則においては結果的にある物体から他の物体への運動量の移動を考えればよく、力積を実際に積分する必要がなくなります。つまりどんな力をどれだけの時間にわたって及ぼし合ったかという時間的なプロセスについては積分によって失われたといえます。ですから、逆に運動量保存則はどんな力がどれだけの時間作用したかという力積を実際に積分することが困難である場合に力を発揮することになります。たとえば、物体間の衝突現象などは作用し合う力も時間とともに変化し、またその時間も一般に短くて力積を直接求めることは大変困難です。しかし、作用反作用則の成立は保証済みなので両物体が受ける力積が大きさ等しく逆向きであることはわかっています。したがって力積の積分を介することなく系内で運動量が移動したということのみで衝突後の運動は予測できることになります。 一方、エネルギー原理(運動エネルギー-仕事関係)において積分の結果失われた情報は、どういう力をどういう運動経路に渡って受けたかということです。仕事は力と変位の内積の積分ですから、力と変位という方向をもつベクトルとしての情報は失われ、同時に運動経路の情報も積分によって失われてしまうことになります。したがって、どういう力をどういう運動経路に渡って受けたかという積分が困難であったりする場合に、エネルギー保存則が力を発揮することになります。とりわけ、保存力においては仕事が経路に依存せず始点と終点だけで決まるので、すでに積分によって得られた位置エネルギーの形式がわかっていれば、力を経路に渡って積分するという操作が省略できることになるのです。 まとめると、原理的に見れば 運動量保存は、力積の積分の省略が有効である場合。 エネルギー保存は、仕事の積分の省略が有効である場合。 に力を発揮するといえるでしょう。 具体的な問題に対する適用という点では、もう少しテクニカルな議論になるでしょう。あくまで原理的な考え方を整理してみました。
- ohkinu1972
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良くお世話になっている"EMANの物理学"に同じような話題がありました。 http://homepage2.nifty.com/eman/dynamics/compare.html 私自身は十分には理解できていませんが・・・。
- yokkun831
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>もともと運動方程式(≒運動量方程式)という1つの式から運動量保存・エネルギー保存が誘導されるものではないでしょうか。私はそこの交通整理ができておりません。 次の関係が理解されると,見通しがよくなると思います。 ――――――――――――――(結果←原因) (1) 運動方程式 m dv/dt = F (加速度←力) (2) 力積-運動量関係 Δ(mv) = ∫Fdt(運動量変化←力積) (3) エネルギー原理 Δ(1/2 mv^2) = ∫Fdx(運動エネルギー変化←仕事) (2)(3)は,(1)運動方程式をそれぞれ(2)時間,(3)位置座標で積分して得られます。 物体相互に及ぼしあう力積は,作用反作用則により逆向きで等しいので,外力がない場合に系全体の運動量が保存されるわけです。 また,力が保存力のみである場合に(3)の仕事は位置エネルギーの減少分に当たるので力学的エネルギーが保存されることになります。
- rabbit_cat
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とりあえず、 運動量保存は、ニュートンの3つの法則から簡単に導き出せるんで、ニュートンの3つの法則が成り立つ範囲なら常に成り立ちますね。 したがって、古典力学というのが、ニュートンの法則が成り立つという意味なら、運動量は常に保存されます。 一方で、ニュートンの法則からは、運動エネルギーが保存されるなんていう式は、まったく導き出せません。なんで、ニュートンの法則がなりたっても、運動エネルギーが保存されない場合は考えられます。 で、運動エネルギーが保存されるのは、考えている系に働くすべての力が、保存力である場合です。 保存力というのは、ある2つの時点間にその力がした仕事が、最初と最後の状態のみによって決まって、その間の経路(あるいは状態遷移にかかった時間など)によらない、ような力です。 ニュートンの3法則に加えて、この「全ての力が保存力」という仮定を追加すれば、運動エネルギーが保存されるというのを導けます。
お礼
回答有難うございます。 エネルギーが保存される、という言ったとき、それが意味することは、本当にエネルギーは保存されるのではなく、エネルギーが何らかのプロセスで散逸していく過程を式で表現でき、散逸量の具体的な値を算出できる、ということも含みます。貯金通帳の預金額が一定ということではなく、減っていくプロセスがしっかり評価できれば預金額が減っても不思議ではなくなります。そのような意味での保存なのです。それは保存されていると解釈してのことです。 流体力学では運動方程式(結局はニュートンの運動方程式に他ならない)からそれに流速を乗じてエネルギー方程式が算出されます。その中には摩擦損失なども含まれています。
- g-space
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基本的なこととして、保存則では「閉じた系」を考えています。まずこれを押さえておいてください。ご質問を見ると、このことがおわかりになっていないように思われます。 閉じた力学系で成り立つ保存則は、 1.質量保存則 2.運動量保存則 3.角運動量保存則 4.力学的エネルギー保存則 で、1と4はスカラー量、2と3はベクトル量です。ベクトル量を成分表示するならば、式としては8本(独立)になります。 以上を前置きとします。 > 3.運動エネルギー保存 このような保存則はありません。古典力学においては「力学的エネルギー保存」です。 > エネルギー保存が成り立たなくても、運動量保存が成立する、という問題はよく見かけます。バットとボールの衝突などは運動エネルギー損失があっても運動量が保存されるとして理論展開をします。 ここでいう「エネルギー保存」は「力学的エネルギー保存」ですね。力学的エネルギーの損失はあっても、「全エネルギー」は保存されます。バットとボールの衝突のような現象の場合は、内部運動のエネルギー(熱エネルギー)まで考えればエネルギー保存則が成立します。 エネルギー(全エネルギー)の保存も、運動量の保存も、系が閉じている限り必ず成り立ちます。また、エネルギーはスカラー量、運動量はベクトル量であることだけでも、物理的に全く異なる量ですから、集合というくくりでどちらかがどちらかに含まれるとか重なるとか、いかなる考え方をしても的外れです。 最後に、運動量が保存されない場合は、系が閉じていない場合です。
お礼
回答有難うございます。ご指摘の通りです。熱エネルギーへの変換は全く考慮しておりません。ずっとラフな議論です。しかしそのレベルで答えを定めることはできるものです。(冒頭、古典力学と書いておりますが、いわゆる力学の教科書がそうであるように熱力学、統計力学は含まないというのが質問の前提です。当然量子力学も。) x方向へ移動している2つの玉という問題ではどうなるでしょうか。1次元なのでベクトルとスカラーの区別がありません。(反対向きのベクトルは負ですが、スカラーも負がありうるとして。) 流体力学でもベルヌイの定理(エネルギー保存)云々のような取り扱いをすることがあります。 そのようなレベルでの運動量保存、(力学的)エネルギー保存、質量保存での問題です。ここまで来ますと、力学的エネルギー保存と運動量保存は大変似た式となります。何らかの関係はあるように思うのです。もともと運動方程式(≒運動量方程式)という1つの式から運動量保存・エネルギー保存が誘導されるものではないでしょうか。私はそこの交通整理ができておりません。こういうときはこの式を使うという風な理解しかありません。そこをお尋ねしているということです。
- rnakamra
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エネルギーは次のようにいろいろな形を取ることができ、そのうちの一つの形の成分が保存しないことは普通にあります。 ・運動エネルギー ・位置エネルギー ・電気的なエネルギー ・熱 ・光 ・音 他 ただし、それらのエネルギーの総和は保存されます。 運動量についてはどうでしょうか。 運動量を変化させるためには力積を加える必要があります。 しかし、作用・反作用の法則から、必ず力を加えている側に逆向きの力積がかかることになり、結果大きさは同じで逆向きの運動量変化が発生します。 運動量は運動量の形にしかならないのです。 そのため、系全体で見た運動量は保存されます。 もちろん、別の系から力積を加えれば運動量は変化しますが。 ただ、次のようなことはあるので御注意ください。 それは、観察している系が変わると運動量は変化してしまうということです
お礼
回答有難うございます。 "運動量は運動量の形にしかならない.."。うーん、なるほど。考えさせられます。 運動量の方程式は、力積=力×時間=運動量変化であり、時間が1のとき、すなわち単位時間あたりの運動量変化=いわば慣性力(質量×加速度)となり、力=慣性力という運動方程式となります。すなわち運動量の方程式は運動方程式と同じ物理的内容をもつことになります。 そこが特別なのかなと思いますが...。
お礼
回答有難うございます。式の原理がクリアになりました。 この時点で私の理解が停滞するのは、(1)(2)(3)が同じ内容を示した式になっていないかということです。ということは、ある状況が設定されたとき、どれを使って解くのかという問題があります。もし同じ内容を示すのであれば解を求めるときに用いる式の選択の根拠は何かが明らかにされる必要があると思うのですが。力の種類ということでしょうか。 どれを使って解いてもよい、というのであればその中で解きやすいものを選んだということでも説明はできると思いますが。