- ベストアンサー
力学的運動量とエネルギーの違い
運動量とエネルギーの違いがイマイチ分からなくて困ってます。 たとえば、なめらかな平面で小球どうしが非弾性衝突した場合、力学的エネルギーは保存されませんが、運動量は保存されますよね? 非弾性衝突でエネルギーの一部が熱に変わるというのであれば、なぜ運動量が保存されるのでしょうか? 同様に外力が加わらない限り運動量が保存されるのであれば、なぜ力学的エネルギーはなぜ保存されないのでしょうか? しょぼい質問で申し訳ございませんがどなたか教えてください。一晩考えましたが、分かりませんでした。
- みんなの回答 (3)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
まず、運動量はベクトル(方向のある量)で、エネルギーはスカラー(方向のない量)です。運動エネルギーがk1の物体とk2の物体があるとき、両者を合わせた運動エネルギーはk1+k2 ですが、これは単純に数値としての和です。運動量P1と運動量P2の物体があるとき、両者を合わせた運動量はP1+P2ですが、ここでP1+P2は「ベクトルの和」として計算します。 以下、ベクトルは大文字、スカラーは小文字で表示することにします。 --------------------------- 1個の質点(質量m)を考えます。この質点は速度V(速さv = |V|)で運動しているとします。このとき、運動量Pは、 P = mV 運動エネルギー k は k = (mv^2)/2 = (m V^2)/2 ※ V^2 は 内積 V・V = |V|^2 を表わします。以下に出てくるベクトルの2乗も同様です。 したがって、 k = (P^2)/(2m) つまり、運動量の絶対値が増えるときは運動エネルギーが増えます。運動量の絶対値が一定のとき(方向は変わってもよい)は運動エネルギーも一定です。 ----------------------------- つぎに複数の質点(質量m1,m2,…)を考えます(これを質点系といいます)。これらの速度をV1,V2,…とします。質点系では、重心というものが考えられます。重心とは、各質点の位置ベクトルをR1,R2,…とし、質点系全体の質量を m としたとき(m = m1 + m2 + …)に、 R = (m1 R1 + m2 R2 + …)/ m で表される位置のことです。上の式を時間で微分すると、重心の速度 V は、 V = (m1 V1 + m2 V2 + …) / m 各質点の運動量を P1, P2, …とすると、 P1 = m1V1, P2 = m2V2 などですから、質点系の運動量の和 P は、 P = P1 + P2 + … = m V つまり、 質点系の運動量の和 P は、重心に全質量が集まっていると考えた場合の運動量に等しくなります。 --------------------------------- 続いて、質点系の運動エネルギーを考えます。 各質点の速度から重心の速度を引いた(ベクトルの減算)ものをV'1, V'2 などと表わします。 V1 = V + V'1, V2 = V + V'2, … V'1, V'2 などは、各質点の重心に対する相対運動を表わします。 ここで、上の重心の速度の式から、つぎの等式が成り立ちます。 m1 V'1 + m2 V'2 + … = 0 質点系の運動エネルギーの和 k は k = (1/2){ m1 (V + V'1)^2 + m2 (V + V'2)^2 + …} すなわち、 k = (1/2) m V^2 + V・(m1 V'1 + m2 V'2 + …) + (1/2)(m1 V'1^2 + m2 V'2^2 + …) V・(m1 V'1 + m2 V'2 + …) = 0、つまり第2項は0なので k = (1/2) m V^2 + (1/2)(m1 V'1^2 + m2 V'2^2 + …) ここで、k0 = (1/2) m V^2 とおき、重心の運動エネルギーと呼ぶことにします。 また、k' = (1/2)(m1 V'1^2 + m2 V'2^2 + …)とおき、相対運動のエネルギーと呼ぶことにします。 k = k0 + k' つまり、質点系の全運動エネルギーは、重心の運動エネルギーと、重心に対する相対運動のエネルギーの和です。 ご質問で、疑問に思われている点は、このk'が鍵をにぎっています。 ここで、 k0 = (P^2)/(2m) なので、k0 と P は関係します。つまり、質点系の運動量の絶対値が増加すれば重心の運動エネルギーが増加し、質点系の運動量が一定のときは重心の運動エネルギーも一定です。 ところが、相対運動のエネルギー k' は P と全く無関係であることに注意してください。k'は、Pと無関係に増減させることができます。 ご質問の非弾性衝突の例では、Pは一定(すなわち k0 も一定)だが、k' が減少するので、運度エネルギー k 全体も減少するのです。
その他の回答 (2)
- stardust112
- ベストアンサー率0% (0/3)
運動量の説明は難しいので理解できなければそれでもいいです。 n個の質点系を考えるとi番目の質点の運動方程式は Fi↑=Mi*dVi↑/dt↑ ですからこれらn個をすべて足すと F1↑+F2↑+F3↑+…+Fn↑=d(M1*V1↑+M2*V2↑+M3*V3↑+…+Mn*Vn↑)/dt となります。 ここでこの質点系の内力(質点同士の及ぼす力)は互いに作用反作用の法則で打ち消しあいますから結局残るのは外力のみなので f(外力)=d(M1*V1↑+M2*V2↑+M3*V3↑+…+Mn*Vn↑)/dt となります。 ここで外力が0のときは d(M1*V1↑+M2*V2↑+M3*V3↑+…+Mn*Vn↑)/dt=0 つまり微分して0となるものは M1*V1↑+M2*V2↑+M3*V3↑+…+Mn*Vn↑=一定(定数) これは運動量保存則ですね。 この式があらわしているのは外力が働いていない系では運動量は保存します、ということ。 エネルギーはここでは関係していません。 ではいよいよエネルギーです。 まずあなたの考えた衝突を出してみます。 式は運動量保存と衝突の式ですね。 (1)M1*v1+M2*v2=M1*V1+M2*V2 (2)e=-(V1-V2)/(v1-v2) そしてこの衝突で失われるエネルギーΔEは ΔE=(1/2*M1*v2^2+1/2*M2*v1^2)-(1/2*M1*V2^2+1/2*M2*V1^2) =M1M2(v1-v2)^2*(1-e^2)/2(M1+M2) となります。計算は煩雑なので省略しましたが自分で確かめてくださいね。 さてもうわかりましたか? 弾性衝突ならばe=1なのでΔE=0となり、力学的エネルギーは保存されます。 また非弾性衝突ならeは1ではないのでΔEは0ではない、つまり力学的エネルギーは保存されません。 エネルギーの関係と外力がないというのは無関係であることが理解してもらえたでしょうか?
お礼
ご回答ありがとうございます。 運動量と運動エネルギーは次元の違うものなので、別々に考えて計算するとたしかに運動エネルギーは失われていて、外力がないという事はエネルギー保存に関係ないことは分かります。 ただ、やはり運動量という概念と運動エネルギーという概念をきちんと理解していないからだと思います、非弾性衝突で熱でエネルギーが失われているのに、質点の移動速度は変わらない。そういったこともどうしてか腑に落ちません。(実際は、質点の移動速度が同じでもNo.1さんの説明のとおり、相対運動のエネルギーは失っているので当然なのでしょうが) 私の中では運動エネルギーは、位置エネルギーや熱エネルギーなど、エネルギーの一種で、それの持つエネルギーは、他のエネルギーと比較し、(mV^2)/2であらわされると思ってます。では、No.2の方のようにそれを微分すると運動量になり、質点型の速度Vと質量mの席であらわす・・・・といっても、それがどういうものか説明できません。当然、次元が違うので別物というのは理解できるのですが、やはり運動量の概念は難しいのでしょうか?とりあえず、今は運動量はmVであらわされて、外力が働かない状態で衝突し前後を比較すると保存されているのが分かる・・・・といった理解が妥当かもしれません。 いろいろ書いていただき本当に感謝しています。 余談ですが、ベクトルはよく本ではイタリック体でかかれてますが、パソコンではNo.1さんのように大文字で表現されたり、No.3さんのように矢印をつけたり、創意工夫がすばらしかったです。ありがとうございます。
- mattyan
- ベストアンサー率23% (27/113)
運動エネルギーと運動量の違いですね。 運動エネルギーは、1/2MV^2でしたね。 一方運動量は、MVです。 運動量を微分したものが、運動エネルギーになります。 (反対だったか?ちょっとうろ覚え) というわけで、微分積分が分かれば、運動エネルギーと運動量の違いが理解できます。 私は、理系でしたが、(しかも物理) だけど、微分積分も力学も苦手でした。 ので、違っていたらごめんなさい。
お礼
ご回答ありがとうございます。 運動エネルギーは(mV^2)/ 2ですね。 運動量はmVとあらわされるので、運動量をVで積分したものが運動エネルギーになります。 「力学で、速度を時間tで積分すると変位になる」みたいなことを言われると当たり前じゃんとか思うのですが、「運動量を速度で積分すると運動エネルギーになる」・・・確かに式はそうだけど・・・みたいになります。まだ、私が理解できていない証拠ですね。 数学(特に微積分)と物理って深い関係がありますよね。微分を発明したニュートンやライプニッツも物理学者ですし・・・。高校程度の微分もままならない自分ですが、時間ができたら微分のほうもきちんと勉強したいです。 ご回答ありがとうございました。
お礼
ご回答いただきありがとうございます。 早速読まさせていただきました。 大変体系的にかかれており、分かりやすいご説明ありがとうございます。 しかしなんか、不思議な感じですね。 重心の運動エネルギーは保存されるので、運動量は質点で捉えることができるから、当然、運動量も保存されるが、力学的エネルギーには重心に対する相対運動があり、保存されない・・・・。計算してくださったことは良く分かるのですが、まだ感覚的に良く分からないので、この回答を携帯電話のメールに転送して熟読したいと思います。 鋼球のような完全弾性衝突に近いものでも、あるいは完全非弾性衝突でも熱で失われたエネルギーは違うのに、質点の移動速度は変わらない。計算ではそうなのですが、まだ運動量・エネルギーというものの概念を把握できてないかもしれません。不思議です。 昔、落下速度は重量に比例しないのを理解できなかった人たちのような苦しみなのでしょう、恥ずかしながら。 まずはご返事まで。 本当にありがとうございます。熟読いたします。