法律の専門家ではありませんが、参考になればと思い、経験を踏まえて回答します。
先ず、契約書がなくても、会社の勘定元帳などに、
〔借方〕普通預金3,000,000/〔貸方〕借入金3,000,000
摘要:A社長から借り入れ
というように書かれていれば、会社がA氏に返済すべき債務(300万円)を負っている事実は否定できないと思われます。
しかし他方では疑問もあります。返済期限の約束がない300万円は、果たして債務といえるのか。A氏が社長在任中に会社へ300万円を贈与したのではないのかという疑問です。会社の都合次第でいつ返しても良い、10年先でも100年先でも良いのであれば、返さなくても良いという意味にもなるからです。
商法第522条では、金融機関の貸金債権の時効は、返済期日から5年と定めています。これは銀行やサラ金の場合です。民法第167条では、一般貸金債権は返済期日から10年と定めています。ですから質問者の場合は一応、10年を目安とすれば良いのではないでしょうか。
つまりA氏が、社長交代から10年間一度も返済請求をしなければ、請求権が消滅するのです。10年経たないうちに会社がA氏に何らかの働き掛けをするとA氏から返還請求を受け、時効の進行が中断するという事態を招きかねません。早くいえばヤブヘビです。
むろん、その場合でも、返済期限の約束がないのですから、「会社は相変わらず苦しいので・・」と言い訳をして返済を先送りすることは可能ですが。
お礼
丁寧な回答ありがとうございました。 大変参考になりました。