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ウイルス 染色体異常

HIV-1に感染した細胞では染色体の切断や異数体が観察できるみたいですが、この現象によってどのようなことが起こると考えられるのですか? レトロウイルスではLTRの転写活性作用により癌化が起こることは知られていますが、染色体の異常によって癌化が起こることもあるのでしょうか?? また、よく染色体異常に関する論文が書かれていますが、染色体異常について研究することはどのような意義があるのでしょう??染色体異常のhot spotを見つけても、何も対処することはできないように思えます。

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  • Namakusa
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回答No.2

染色体異常と癌の関連性についてだけお答えします。 生物の体を構成する全ての細胞は、わずかな例外を除いて、過不足なく一定数の染色体を保持しています。染色体は、生物の遺伝情報を含んでいるので、一部の染色体の増減は、細胞全体がもつ遺伝子量の変化をもたらし、それは細胞の増殖分化に多大な影響を及ぼします。 癌細胞では、染色体数が増加している細胞が頻度高く観察され、分裂ごとに染色体数が異なるという「染色体の不安定性」を示します。この特徴は、悪性度の高い、すなわち転移しやすい細胞ほど顕著にみられます(Trends Genet.,24,457-466(2008))。染色体の異常によって癌化がおこるのかは、今のところはっきりと分かっていませんが、山のようにある癌化の原因の1つに考えられています。 染色体異常について研究することは、細胞癌化の理解を深めると同時に、染色体異常の原因遺伝子を探ることでそれを癌細胞の性質を知るための診断用のバイオマーカーとして使うという応用方面での期待もできます。 また、染色体異常に関する研究は、染色体異常のhot spotを探す?ものばかりではありません。染色体異常の原因もまた数多くあります。一例をあげるなら、微小管による染色体分配機構(紡錘体チェックポイント)の破綻が原因となって、染色体異常を示す場合があり、そのチェックポイントに関わる遺伝子を癌細胞の診断マーカーとして使用する試みもあります。実際、癌細胞では、微小管の構造に異常(その結果、染色体異常になる)があるものが頻度高く観察され、、それらの制御遺伝子に変異がある症状も報告されています(Nature.,392,223-224(1998))。 ではでは。

ontheplanb
質問者

お礼

とても参考になりました。上記の論文も読んでみようと思います! ありがとうございました。

その他の回答 (2)

  • Namakusa
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回答No.3

#2です。補足です。 >染色体異常のhot spotを探す?と書きましたが、 染色体の組み換えを研究している人が用いる「hot spot」という用語を連想して勘違いして一部回答していました。 組織の中で、染色体異常細胞が密にある部位という意味で「hot spot」と使われているのですね。 ただ、それだけです。 ではでは。

  • kt1965
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回答No.1

回答します。 HIV-Iは、HIVウィルス種の中でも、かなり古い部類に入るウィルスだと考えられています。基本的には、ウィルス種の進化というか、特徴を示す遺伝子などによって分類されるものであると考えてもらえれば幸いです。感染に関しては、染色体の切断や異数体が生じるのは、次の段落で書いているようにレトロウィルスの特徴の一つでもあります。なぜならば、ウィルスに感染した、自分自身の複製を作るために、細胞内の材料などを使えるように、真核細胞にDNAを転写する。それによって、ウィルスの複製が起こる。 染色体異常によって、癌化が生じるかも知れませんし、癌化が生じないかも知れません。染色体の切断箇所やその他によって、細胞自体の複製遺伝子が異常増殖したものが、「癌」であるというのが現在までの通説です。 染色体異常に関する論文の意義は、多分未知の疾病の治療に資するためであると考えられています。遺伝子治療が公認されて、早10年近くになります。染色体異常を直すことが可能になることで、未知の疾病を早めに発見して治療に役立てる。まずは、そちらが先にあって、それらをリスクとして保険などの保険料に上乗せするというのは後からの話だったのではないか?と思っています。 実際問題として、生き物は年を取るにつれて、少しずつですが、染色体から酵素やたんぱく質を構成して自らの体を作る能力が衰えます。寿命の遺伝子というものもありますが、実際問題として、活性酸素やその他生命にとって有害な物質などによって、僅かずつですが、能力が衰えます。それは、免疫そのものの限界でもあり、かつまた、遺伝子という仕組みがもたらす自然の姿でもあるからなのです。 では。

ontheplanb
質問者

お礼

癌化→染色体異常、ではなく、染色体異常→癌化、 のようですね。とても参考になりました。ありがとうございます。

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