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一人称の表記について:「わたし」と「私」
前々から疑問に思っていたのが、小説の中で、一人称の表記で、「わたし」とする場合と「私」とする場合では、イメージが違うと思うんですね。 「翻訳夜話」という本の中でもいわれていたことなのですが、英語だと「I」だけれど日本語に訳す時「俺」か「僕」かで人物の印象が変わる、というようなことが多々あると思うんですが、 「私」と「わたし」ではその印象にどのような違いがあると思いますか? 私は感じだと多少客観的な感じがあり、ひらがなだと主観的な感じがするんですが、そういった曖昧な意見でいいので、皆さんの考えを聞かせてください。 よろしくおねがいします。
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一般論からすれば、「私」の方がオフィシャルで、「わたし」は、柔らかく、日本風というか、ひらがな文化というものを連想させます。字数制限のある文章を書くときは、わたしは、「私」を使うことがあります。 しかし、基本的な感じは、以上だとして、これは、「私/わたし・わたくし」「我/われ」「僕/ぼく」「君/きみ」「貴方・貴女/あなた」「私達/わたし達/私たち/わたしたち」「我々/われわれ」「彼/かれ」「彼等/彼ら/かれら」……などとの相関というか、どういう風にこれらの代名詞を使うかによって、色々な文学的意味が表現できます。 「私・きみ」の組み合わせや「わたし・君」の組み合わせにすると、違った印象というか、効果が出てきます。 全部を漢字にすると、かなり引き締まった感じになります。他方、全部をひらがなにすると、やわらかい感じと、冗長な感じがします。混ぜると、「わたし」とか「きみ」とか「貴方」などで、その人物がどういう位置付けかということを暗示できます。 >「私が、そういうことをしたと言われるのですか?」とわたしは尋ねた。 >「ぼくには責任はない」思わず僕は言っていた。 ここで、同一人物の一人称代名詞なのですが、こういう風に使い分けると、わかりやすいというか、ある効果が出てきます。 >「わたしは知らない」と太郎は言った。 >「私も知らないわ」と花子は言った。 >「私は知らない」と太郎は言った。 >「わたしも知らないわ」と花子は言った。 この二つの例だと、二番目が自然に見えますが、自然に見える人がいるということは、最初の太郎が「わたし」、花子が「私」にした場合、特殊な効果が出るということを意味します。 漢字かひらがなか、どちらかに決め、一貫させるというのもありますが、場合場合で、効果に応じて使い分けるということをするのも、文章技巧の一つになります。 漢字の多い文章のなかで、「わたし」を使うと、ある効果が出ますし、ひらがなが多い文章のなかで、「私」を使うと、これもある効果が出ます。 「私」だと客観的に感じるのは、漢字が「表意文字」で、見ただけで意味が明白に分かるからです。「わたし」が主観的に感じるのは、ひらがなは「表音文字」で、頭のなかか、口のなかで「読んでみて」はじめて意味が分かるのです。 ひらがなだと、「わたしはしらない」は、「私は知らない」なのか、「私走らない」なのか、よく分からないというようなことも起こります。 色々な文章をみて、どうなっているか、またどういう効果が感じられるか、試されることです。反省的に眺めてみると、色々な工夫や、効果の表現があることが分かります。
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- greetinggreentea
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「私」は、文脈によって「わたくし」「わたし」と読み分けるので特別の印象はありません。 ただ、「わたし」だと「わたし・は」「わたし・が」「わたし・に」等々、 平仮名が連続することになるので、何となく間延びした感じがします。 あと、少し違う話になりますけど、 堀口大學訳のルパンは一人称が「わし」なので、 老練な泥棒といった印象を持ちました……。
お礼
>堀口大學訳のルパンは一人称が「わし」なの って、そうなんですか(笑)。 わたしは石川湧訳の「リュパン」を読みましたが。 確かに、間延びした感じにはなるかもなぁ、と思いました。 ありがとうございました。
- alchera
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わたしは「わたし」の表記を使っている者です。 使い始めたのはここ一年くらいでしょうか。ネット上で書き込みをする時、最初は特に意識をせずに「私」と書いていたのですが、だんだん違和感を覚えて来て。「私」だと自分という感じがしなかったというのが理由です。 「私」という漢字をみなさんは「わたし」と読みますか?「わたくし」と読みますか?わたしは前者なのですが、こちらが一般的でしょうかね? 「わたし」と読んで欲しい時に「わたくし」と読まれるかもしれないことが、なんとなくイヤだったということもあります。 やわらかい印象というのも人によってはそうかもしれないと思いますが、自分の場合はどちらかというと自己を主張するために使っている部分が多いと思います。 というわけでございました。m(__)m。余談ですが、#1の方の「俺」から「私」への移行はスゴイですね。つい笑ってしまいました。翻訳者の方には自分なりの基準があったことでしょうが……いや、日本語は難しい。
お礼
ネット上の書き込み・・・・。 ネット上だと気にならなかった・・・(笑)。なんだか口語に近いものと言う認識が勝手にありましたので。 ひとそれぞれなんですね。 それにしても、「わたくし」ってなんか久しぶりに聞いた言葉で新鮮。
- miu-45
- ベストアンサー率12% (8/66)
こんにちは。 「わたし」はそもそも口語であって、 「私」は「わたくし」ですから、書いた人が「わたし」 と読んで欲しい、と思うときにわざわざ平仮名にするのではないかと 思うのですが…。 自分の意見や自分について公の場で語るときは「私」、 やわらかい印象を相手に与えようと思うときは「わたし」 とするのでは? あくまで私の個人的な考えかたです。
お礼
そうなんだ・・・。 ありがとうございました。
こんにちは。 私も以前から同じように感じてました。 「わたし」だとやわらかい感じで、「わたし」で1人称で書かれてると女性だと思い込んで読んでいます。 「私」だと男性の場合もあるし・・・ あと、ある翻訳ものの探偵小説で、シリーズ途中で翻訳者が変わり、主人公が今まで「俺」と言っていたのに、「私」にかわってビックリ! 私の中の主人公のイメージが大きく変わりました。
お礼
「わたし」は確かに男性の一人称ではあまり見ないかも、そういわれると。 それにしてもその翻訳者すごいですね(笑)。 ありがとうございました。
お礼
>>「私が、そういうことをしたと言われるのですか?」とわたしは尋ねた。 >>「ぼくには責任はない」思わず僕は言っていた。 >漢字かひらがなか、どちらかに決め、一貫させるというのもありますが、場合 >場合で、効果に応じて使い分けるということをするのも、文章技巧の一つになり>ます。 と言う説明を読んで、「私」だと客観的に感じる理由を理解しました。 面白い説明ありがとうございました。 こーゆーこと学校で教えてくれたら面白いのに~と思いました(笑)。 質問したかいがありました、ありがとうございました。