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心理学をやられている方に質問です
この質問を見ていただいて有難うございます。 YG性格判断というものをやったのですが、 ネガティブな内容の質問ばかりですし、被験者が嘘を簡単につけますよね? 私にはYG性格判断は信憑性に欠けるようにしか思えないのですが… それなのに会社の入社試験などで使われているのはなぜなのでしょうか? 心理学に詳しい方教えてください。
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vzb04330です。 早速の御礼、恐縮です。 以下、補足まで。 信頼性(reliability)は、おっしゃるように、時間間隔をおいて測定した場合に、測定結果が安定しているかを本来示す指標です。 ただし、標準化の過程では、異なる方法で求めることが多くなっています。 妥当性(validity)は、性格を正しく測定しているかを示す指標で、ほかの性格検査との比較や、統計的分析(因子分析法など)によって「性格」を1まとまりの概念(YGでは、全体と、さらに、12の因子それぞれについて)としてとらえているかを算出します。 参考になる文献としては、 村上宣寛・村上千恵子(2008):改訂 臨床心理アセスメントハンドブック,北大路書房(¥2,625). 村上宣寛(2008):心理テストはウソでした,講談社+アルファ文庫 F 49-1(\680). などがあります。 なお、前者については、2004年に発行された本に掲載された心理検査の一部を新しいバージョンに修正してあるようです。 後者は、次のものを文庫本にしたのではないかと思います。 村上宣寛(2008):「心理テスト」はウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た,日経BP社(\1,575). ただし、私は,いずれも両者を見比べたわけではありませんので。 また、タイトルからおわかりのように、講談社や日経BP社のものは、一般向けですが、北大路書房のものは専門書です。
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- vzb04330
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受検された検査は、正しくは、YG性格検査と呼びます。矢田部-ギルフォードという、検査の理論的根拠を与えた学者と、作成した学者の頭文字をとって名付けられています。 最終的には、辻岡によって、1957年に確立された形で、現在も使われているものです。 hipotama様が書いていらっしゃるように、こうした性格検査のほとんど(ロールシャッハ法のような投影法を除いて)および知能検査では、検査を作成する際に、標準化を行っています。 この標準化は、検査を作成するプロセスの一部として必ず実施されるもので、検査手順の確立などの目的のほかに、評価の規準を作成するということもあります。 この点のhipotama様の説明でほぼ正しいのですが、測定値が正規分布するという性質を利用して、ある得点であれば、知能指数がいくつという対応表を作る、とご理解ください。 YG性格検査では、パーセンタイル(ある得点以下に、理論上何%の人がいるかという数値)という測定値のほかに、標準点(1~5)で示します。 この両者は関連しており、標準点3の範囲に入るパーセンタイル得点が平均的(人並み)ということです。 この標準点は、記憶では25~75パーセンタイルの範囲で、理論上、受験者の半分がここに含まれます。 標準点は、1、2では、検査用紙の左に書かれた項目の特徴が強く、一方、4、5では、右に書かれた項目の特徴が強いことを示します。 項目は、因子と呼ばれ、YG検査では性格特性を表しています。 ネガティブな項目が多いという印象をお持ちになったようですが、採点に当たっては、ネガティブ項目は、得点を逆転して採点します。 最初に書きましたように古い検査ですので、心理検査に必要とされる条件のうち、最も重要な信頼性(測定結果の安定性)や、妥当性(性格をきちんと測定しているかという確実性)とも低く、私の考えでは、すでに役割を終えた検査と思います。 質問者の方が信憑性が低いと感じられたことは、研究結果でも裏付けられているといえます。 これも、hipotama様が説明してくださっていますが、検査によっては、虚偽尺度(Lie尺度)などのように、きちんとまじめに回答しているかをチェックする項目を含んでいるものもありますが、YGではそういった項目は含まれていません。 YG性格検査のような質問紙法の性格検査では、最近は、5つの大きな性格特性(外向性、協調性、勤勉性、情緒安定性、知性など<などというのは、研究結果により、若干異なる特性となるためです>)で説明されるという説がほぼ確立しています。 いずれにしても古い、信頼性、妥当性の低い検査であり、私見では、使わない方がよい検査です。 ただ、ずっと用いられ続けてきたという経過があるために、今でも使われることが結構ある、ということです。 また、私自身は、こういう性格検査は、人事採用に用いるに当たっては、あくまでも参考資料という位置づけにとどめるべきものとも考えます。
お礼
vzb04330様 分かりやすい回答ありがとうございます。 >信頼性(測定結果の安定性)や、妥当性(性格をきちんと測定しているかという確実性)とも低く、 時間をあけて測定をしたら結果が変わってしまうということでしょうか?YG性格検査の信頼性に疑問をもって、反対の立場をとっている研究者の方はいらっしゃるのでしょうか?ぜひ論文を読んでみたくなりました。
- hipotama
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信憑性という問題ですが、心理テストで有名なものや出版会社から出されているテストは、標準化されています。標準化というのは正規分布曲線になるようにするものです。正規分布曲線というのは、偏差値50が真ん中に来る曲線です。 これでは何のことか分からないので、もう少し詳しく書きます。心理テストを作るときには、質問項目を作成したならば予備テストをします。この時に、正規分布になっているか、質問項目の統合性があるかなどを 統計処理します。それで、本テストを実施します。本テストをしても、 他のテストの相関などを検討します。 標準化されたテストというものは、その手順を間違えなければ、いつ、どこで、誰が、実施しても同じ値が出てくるというものです。YG性格検査はその標準化されたテストです。 その中で、被験者が嘘をつく場合がありますが、それをチェックする虚偽尺度というものがあります。その質問項目によって、回答されたものを修正していきます。 また、「ネガティブな内容の質問ばかりですし・・・」とありましたが、YG性格検査の下位尺度は12個あります。その中には、抑鬱生、劣等感、神経質、客観性がないこと、協調性がないこと、愛想のないこととなどの項目があります。それらの質問項目を見てそう感じたのでしょう。 心理テストは、何が測れるか決まっています。長さは定規、角度は分度器という具合です。同じ性格検査でも、その測れるものはそれぞれ決まっています。YGの場合は、下位尺度が12個というものです。ですから、検査者はその用途に合った心理テストを選択します。会社で使われているというのは、前述の下位尺度の他に、回帰性傾向、一般的活動性、のんきさ、思考的外向性、支配性、社会的外向があります。それらが採用の条件に合っているので使用しているのかなと思います。 蛇足ですが、自分の姿は自分で見られないと思います。鏡に映して初めて見られます。それと、同じように性格は自分では分からないと思います。対人関係や性格テストが、鏡の働きをしていると思います。最近、私は知人に「○○さんは、○○ですね。」と言われました。自分では思ってませんでしたが、よく考えると思い当たる節があります。また、心理テストを行って、意外と自分に当てはまらないところが出てきます。 それほど、人間の心は複雑だと思います。ですから、完璧な心理テストは存在しないと思います。それで、様々な心理テストが存在すると思います。心理テストは、人間の心のほんの一部分しか測定出来ないと思った方が良いと思います。
お礼
hipotama様 ご丁寧な回答ありがとうございます。 虚偽尺度というものがちゃんとあるんですね! 私の結果があまりにも腑に落ちなかったので質問させていただいたのですが、友人に結果をみせたところ「当たってるんじゃない?」と言われました。 >完璧な心理テストは存在しないと思います 本当にその通りだと感じました。 参考にさせていただきます!!
お礼
vzb04330様 >異なる方法で求めることが多くなっています なるほど!慣れの効果がでてしまいますものね。 参考文献、早速探してみます。 助かりました。本当にありがとうございました!!