>このページを見ると1/2πR_FC_Fと書かれてあるのですが
これは理想オペアンプの場合ですが、オペアンプのGB積が fp = 1/( 2*π*Cf*Rf ) より充分大きければ、変換ゲイン Vout/I の周波数特性が落ち始める周波数が fp になります。
ゲイン(対数)
↑
│_____
│ \ ← IV変換ゲイン(Vout/I)
| \
|
|____/ ̄ ̄ ̄ ← ノイズゲイン
|
└───-┼┼───→ 周波数(対数)
fz fp
理想オペアンプでなく、現実のオペアンプを使った場合、下のようなIV変換器の変換ゲインの周波数依存は次式で表わされます。
┌── Cf ──┐
├── Rf ──┤
I → │ ┏━┓ │
──┼──┨- ┠─┴─ Vout
│ ┌┨+ ┃
Cs │┗━┛
┷ ┷ GND
Vout = -Rf*I/( A + j*B )
| Vout/I | = Rf/√( a^2 + b^2 ) ---- (3)
a = 1 + 1/A0 - 2*π*f^2*( Cs + Cf )*Rf*√( 1 + 1/A0^2 )/GB
b = f*[ √( 1 + 1/A0^2 )/GB + 2*π*{ Cs/A0 + ( 1 + 1/A0 )*Cf }*Rf ]
I は入力電流 [A]、Vout は出力電圧 [V] 、A0 はオペアンプのDCゲイン [倍]、GBは利得帯域幅積 [Hz] です。
理想オペアンプでは A0 → ∞、GB → ∞ ですから、a = 1、b = 2*π*f*Cf*Rf となります。このときのIV変換ゲインの大きさは
| Vout/I | = Rf/√{ 1 + ( 2*π*f*Cf*Rf )^2 }
となります。このIV変換ゲインのカットオフ周波数(DCでのIV変換ゲインが3dB落ちる周波数)は、f = 1/( 2*π*Cf*Rf ) です。この周波数は、ANo.3 で計算した fp と同じです。GB積 >> 1/( 2*π*Cf*Rf ) とはいえない場合には、IV変換ゲインの周波数特性は式(1)を使わなければなりません。
式(3)を計算するのは大変でしょうから、これをExcelのマクロで計算する方法を以下に書いておきます。周辺素子の値やオペアンプの特性によって、IV変換ゲインの周波数特性がどのようになるかグラフを描いてみてください。式(1)の変換ゲインの他に、理想オペアンプでのIV変換ゲイン、ANo.3のノイズゲイン(理想オペアンプでない場合)、オペアンプのオープンループゲインのユーザ関数も作っておきました。
【付録】 Excel VBA によるIV変換ゲインの計算法(Excel2002の場合)
Excel のメニューバーの [ツール] → [マクロ] → [Visual Basic Editor] → [挿入] → [標準モジュール] で出た空白のコード画面に以下のプログラムをコピー&ペーストで貼り付け、Excelシートに戻って、セルに = IVgain( Cs, Rf, Cf, A0, GB, f ) と書けば、式(1)のIVゲインが計算できます( カッコの中はその値が書かれているセルの位置を表わしています)。Cs と Cf の単位はF、Rf の単位はΩ、A0 はdB単位でなく 10^5などの倍数、GB と f の単位は Hz としてください。 IVgain( ) に入力電流 I [A] をかけたのが出力電圧 Vout [V] になります。
↓ここから
Const pi As Double = 3.14159265358979
' ------------ 実際のオペアンプのIVゲイン
Function IVgain(Cs, Rf, Cf, A0, GB, f)
Dim A, B
A = 1 + 1 / A0 - 2 * pi * f ^ 2 * Sqr(1 - 1 / A0 ^ 2) * (Cs + Cf) * Rf / GB
B = f * (Sqr(1 - 1 / A0 ^ 2) / GB + 2 * pi * (Cs / A0 + (1 + 1 / A0) * Cf) * Rf)
IVgain = Rf / Sqr(A ^ 2 + B ^ 2)
End Function
' ------------ 理想オペアンプのIVゲイン
Function IVgain0(Rf, Cf, f)
IVgain0 = Rf / Sqr(1 + (2 * pi * f * Cf * Rf) ^ 2)
End Function
' ------------ 実際のオペアンプのノイズゲイン
Function Ngain(Cs, Rf, Cf, A0, GB, f)
Dim A, B, C, D
A = 1: B = 2 * pi * f * (Cs + Cf) * Rf
C = 1 + 1 / A0 - 2 * pi * Sqr(1 - 1 / A0 ^ 2) * f ^ 2 * (Cs + Cf) * Rf / GB
D = f * (Sqr(1 - 1 / A0 ^ 2) / GB + 2 * pi * ((Cs + Cf) / A0 + Cf) * Rf)
Ngain = Sqr((A * C + B * D) ^ 2 + (B * C - A * D) ^ 2) / (C ^ 2 + D ^ 2)
End Function
' ------------ オペアンプのオープンループゲイン
Function OpenLoop(A0, GB, f)
OpenLoop = 1 / Sqr(1 / A0 ^ 2 + (1 - 1 / A0 ^ 2) * (f / GB) ^ 2)
End Function
↑ここまで
(Excelのセキュリティーレベルの設定)
Excelのセキュリティーレベルが「高」になっていると、マクロを含むファイルを開いたときに、マクロを使っているという警告が出てマクロを使うことができません。その場合、警告ダイアログでOKをクリックした後、以下の手順でセキュリティーレベルを「中」に変更してください(Excel2002の場合)。
メニューバーの [ツール] → [オプション] → [セキュリティー]タブ → [マクロセキュリティー] → [中] を選択 → OK → OK
セキュリティーレベルを「中」に変更した後にファイルを開くと、マクロを使っているという注意が出ますが、「マクロを有効にする」を選択すればマクロを使うことができます。
お礼
ありがとうございます。 まだ分からないことなのですが、 http://www.national.com/JPN/nationaledge/files/national_analogedge_AN-1803.pdf このページにあるように、トランスインピーダンスアンプでできるノイズピークのピークトップの周波数を表す式の中にはアンプの固有の値であるオープンループゲインは出てこないのですが、これはどういうことなのでしょうか? それと、このように高周波側でノイズゲインが大きくなるのはなぜなのでしょうか?この立ち上がりもオープンループには関係ないと考えて良いのでしょうか? お願い致します。