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回折してない光を見ることが出来るのでしょうか?
一本の直進する光を考えたとき、我々はその光の延直線状以外の方向からみることが出来ますか? 周りに障害物や、光が回折できる物質が無いとき、我々はそのような光を延直線状以外の方向からみることが出来るのでしょうか?
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No1です。 当初の質問は「素朴な疑問」と思えたのですが、回答が変な方向に行ってしまったように思えました。 締めのつもりで、追加回答いたします。 〔光について〕 光が波動性を持つのはご存知ですよね。 この波動性のため、光は空間的な広がりを持ちます。色々な条件があるのですが、大雑把に言って、広がりは光の波長程度になります。例えばある光路を伝播する光があると、その縁から光の波長程度の範囲内では、ちょうどボケたように光が広がっています。したがって、縁から光の波長程度の範囲内は、同じ光と見なします。 ある物体を、光学系を用いて結像させます。像を微視的に見ると、縁がぼやけてしまいます。縁がぼやけることなく鮮明に見える限界を「回折限界」と言います。理想的な点を結像させた像を微視的に見ると、広がりを持った円に見えます。この円のことを「エアリーディスク」とか、「錯乱円」と言います。円ができるそもそもの原因は上に述べた理由ですが、その円のサイズは光学系と光の波長によって決まります。光学系の口径が大きいほど、「Work Distance」(=光学系と対象の距離)が小さいほど、波長が短いほど、円の半径は小さくなります。でも、どんなに小さくしても、光の波長程度が限界です。また、例えば、口径を小さく(1cm)、Work Distanceを長く(10cm)とすると、円の半径は数μmぐらいにまでなってしまいます。 「光学系の分解能」とは近接する2点を識別できる最低の距離のことで、上に述べた円が重ならない状態、つまり錯乱円の直径になります。円のどこまでを直径とするかは、決まりがありますが、ここでは説明を省きます。 「量子電磁力学」とは、電磁場と荷電粒子の関係を扱う電磁気学を、微視的な領域でも使えるようにした理論です。どの程度微視的かというと、扱う対象によって異なってきますが、大雑把に言って1nmか、それ以下ぐらいかな?素粒子物理学や物性理論を行うのに必須の理論ですが、μmオーダー以上の現象で登場することはあまりありません。 ファイマン、シュウィンガー、朝永振一郎により完成され、この3名は1965年ノーベル賞を受賞しました。 〔光と物質の相互作用について〕 金属中には多くの「伝導電子」があります。光が金属に当たると、伝導電子の影響を受けます。 金属中の電子は、簡易にするため、「自由電子」として扱われます。自由電子では、金属を構成する各原子の影響を受けず、自由に運動する粒子の集団として扱われます。自由電子でなく、きちんと計算してやると、あるエネルギーの領域(=「伝導帯」)にある電子群が伝導に寄与することになり、各原子の影響を考慮した扱いができます。 伝導電子は、外からのちょっとした刺激がきっかけとなって、集団としてある特定の周期で常に密度分布ができるよう振動しています。これを「表面プラズマ振動」と言います。ここで、なぜ「プラズマ」(=「電離気体」)という名称がでてくるかというと、電子の集団運動を扱うのに電離気体として計算してやる必要があるからです。 光と金属の相互作用は、実は、光と表面プラズマ振動との相互作用なのです。光が金属に当たると、「量子」として伝導電子にエネルギーが渡され、また伝導電子から量子としてエネルギーが放出され光となります。この量子のことを「表面プラズモン」と言います。 表面プラズマ振動は、金属の性質を説明する理論に過ぎなかったのですが、最近、イニシアムという会社が表面プラズマ振動を応用した微量の質量検出のセンサーを開発し、バイオ応用に使われ始めています。 では、光と表面プラズマ振動の相互作用、すなわち伝導電子との相互作用によって、どのような現象が起きるのかというと、 ・表面プラズマ振動の波長より、長い波長の光が入射すると、100%近く反射し金属特有の光沢が現れる ・表面プラズマ振動の波長より、短い波長の光が入射すると、透過する(X線は金属を透過します) ・表面プラズマ振動の波長より、薄い膜厚の金属膜は、一部の光を透過する(金は数原子層の厚さぐらいまで箔にすることができますが、そのような金箔は向こう側が透けて見えます) です。 つまり、光と表面プラズマ振動の相互作用で、金属のさまざまな性質が説明できるのです。 次に、金属の伝導電子が金属表面近傍の空間に与える影響についてです。 1980年代に開発された「走査型プローブ顕微鏡」(原子間力顕微鏡=AFMもその一種です)により、表面近傍の空間にどの程度影響あるかが実測できるようになりました。実測により、金属の伝導電子は金属表面から、大きくても1nmの範囲でなんらかの作用をなすことが得られました。実は、理論的には以前から分かっていたことなのですが。 1nm程度というのは、光の波長の数100分の1です。したがって、金属近傍の空間を通過する光は、金属の伝導電子の影響を受けることはないと考えていいでしょう。 昔からの回折実験は、数μm~(0.3μm)の幅のスリットに光を照射することにより行われてきました。それに対し金属の伝導電子が金属表面近傍に影響を及ぼす範囲は1nm程度です。よって、スリットを通過しようとする光が、金属の伝導電子の影響を受けて通過できないということはありえないということが分かります。 スリットの幅が0.3μmより狭くなると、光の波長より狭くなって、光は通過できなくなります。ところが、そこを光を通過させる方法があります。光は光の波長程度の広がりがあることを思い出してください。 0.1μm(=100nm)の孔を明け、その孔を光の波長よりも短い距離まで物体に近づけます。すると孔から浸み出した光が物体に届いてしまいます。浸み出した光のことを、エバネッセント波、近接場光と呼んでいます。これを応用した操作型プローブ顕微鏡が開発されており、近接場光学顕微鏡(SNOM=Scanning Near field Optical Microscope)と呼ばれています。 「電子雲」というと、金属でなく、「誘電体」(≒絶縁体)を構成する原子の中の電子をイメージしてしまいます。電子雲という言い方は、最近、あまり聞かなくなってしまいましたが。 そのような原子の中の電子とも、光は相互作用します。金属で述べたような詳しい説明は省きますが、その相互作用から出てくる現象は、光の屈折、反射、吸収です。以前は現象を解明するためだけの理論だったのですが、最近10年間の計算機科学の発展で、材料組成から例えば屈折率が精度良く計算できるようになって来ました。 電子雲の中を光が通過する代表例が、大気中や海中を通過する太陽光です。そこでは、屈折、反射、吸収に加え、前々回に回答した散乱が起きています。空や海の色が青いのは、レイリー散乱によるものです。これを解明したのがラマンという人です。 〔回折の応用例〕 仮に疑問があっても、すでに回折の理論からさまざまな機器や部品が設計され、応用・実用化されてしまっています。理論に基づいた設計が所定の機能を発揮するということは、理論の正しさの証明と見なされます。 お使いのプリンターに「エンコーダー」という部品が搭載されていますが、エンコーダーは回折を利用してヘッド位置を検出しています。ビデオカメラのうち比較的低価格のものは、回折板を使って光をRGBに分けています。キヤノンから回折を利用したレンズが売り出されています。ホログラムも回折の一種ですが、クレジットカードや紙幣に貼られています。 〔最後に〕 以上、これまでに出てきた難解な言葉を中心に、解説したつもりです。 「難解」と書きましたが、実は「難解」ではありません。なぜかと言うと、これらの言葉は、人間が自然を理解したいという欲求から生まれてきた言葉だからです。順序立てて理解していけば、納得できるものばかりです。 一方で、基礎的な知識がないと理解できにくいのも事実です。専門外の方、これから学ぼうとする方には、できるだけ分かりやすく伝えなければなりません。残念なことに、相手のことはお構い無しに、「難解」な言葉をやたら出したがる人もいますが。 kamikitaさんは、これから学ぼうとする方でしょうか? 光に興味があるようですね。 メジャーな教科書もいいのですが、「光の鉛筆」(鶴田匡夫著)という本があります。この本は、光にまつわる話を、背景やエピソードを交えながら解説している本で、光技術に関わる人は皆読んでいます。著者の鶴田さんは、ニコンの専務まで勤めた人ですが、経営者というより研究者という雰囲気の方です。もしよろしかったら、手にとって見てください。
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- tetsumyi
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No.5です。 そのような手法で行う回折の実験と言うことではなくて 回折の実験は光の経路に物体(ほとんどの場合金属)でスリットを作りますが物体は全て電子雲で囲まれた構造をしています。 この隙間を光が通過する時に電子雲の影響を受けないで通過きるのかどうか疑問に思います。
お礼
問題提起いただき、ありがとうございます。 非常に面白いなと思いました。 そう言われてみれば、確かに…と僕も悩んでいましたが、angel_7さんが回答してくださいましたね。 ちなみに僕からは何も反駁はありません。
- sanori
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へいっ まいどっ ^^ #2の回答者です。 お礼をありがとうございました。 >>>ちなみに、このぼやける現象に、何か名前等はついていないのですか? どうなんでしょうね。 名称は聞いたことがないです。 >>>また、メジャーな光学の教科書などにも書かれていることでしょうか? ディスプレイ関係の仕事で光学を扱ったことがあるのですが、 たしか、分厚いハンドブックにも全く書かれていなかったと思います。 「光学」と名の付いた文献より、「量子電磁力学」と名の付いた文献を探すほうがよいと思います。 前回も書きましたが、経路積分について書かれているものがよいでしょう。 しかし、教科書より、こちらがおすすめ。 珠玉の名著です。 http://www.amazon.co.jp/dp/4006001770/ ところで、前回回答で、 「この効果は、光の波長が長いほど顕著になります。」 と書きましたけど、舌足らずだったかもしれません。 この効果は、光の波長が長いほど、そして、光源と観測者との距離が短いほど顕著になります。 波長と距離が同程度になってしまうと、 光源がどこの方向にあるかが、にわかにわからなくなるほど、激しくぼやけます。 たとえば、波長が1メートル弱のUHFの電波(地デジの電波です)を 人間が見ることができると仮定すると、 光源(電波減)の1~数メートル程度まで人間が近づけば、そういうことが起こります。 逆に、遠くの星を観測するときは、 星と地球との距離が、星から出ている光の波長に比べて極めて長いので、 ほぼ「直球」だけが見えて、「変化球」は無視できるレベルになります。 結果、ほとんどぼやけて見えず、 そんなことよりは、望遠鏡の分解能の心配をしなければいけない、という話になります。
お礼
>この効果は、光の波長が長いほど、そして、光源と観測者との距離が短いほど顕著になります。 なるほどなぁと思いました。 sanoriさんのおっしゃる事がより分かりました。 あと、本の紹介ありがとうございます! 重ねての回答、ありがとうございました!
- tetsumyi
- ベストアンサー率25% (1946/7535)
光を延直線状以外の方向からみることが出来るとすると50億光年も離れた場所の銀河はぼやけて見ることができないと考えられます。 個人的な見解ですが電磁波と考えられる光の経路にマイナス電荷の電子雲で隙間を作って回折が起きるとして光の性質を論じていることが不思議です。 回折の実験は重大な欠陥を含んだ間違い実験のように思います。
補足
なるほど。光が直進し、我々がその延直線状にいるからこそ、遠い星の光も見えるのですね。 後半の回折の実験については、すいませんが、不勉強で知りませんでした。 そのような手法で行う回折の実験もあるのですね。それは最近の実験ですか?それとも教科書に載っているような、メジャーな実験なのでしょうか?
- gyrch
- ベストアンサー率37% (3/8)
そもそも、回折してない光波など存在しないので、 回答のしようがない様に思います。 質問者は、光波を「一本の直進する光」と光子(粒子的なもの)扱い して置きながら、回折できるできない云々と波動的な性質を持ち込んで 悩んでいる。 突き詰めて考えると、一個の光子は直進し続けられるのか? それとも、ある確率に従って、軌道が曲がるものなのか? という疑問に辿り着くでしょう。 その答えは・・・知りません。(^^;)
補足
延直線状以外で見られる確率というのは、その方向に光が曲がってくるかどうか、という問題になるということでしょうか。 それと、回折していない光が存在しないとはどういった意味でしょうか? 不勉強ですいません。宇宙など、真空中には存在するような気がするのですが…
No1です。 No2さんの、「できる」という回答を見て、驚いております。 では、具体的にどうしたらできるのでしょうか? ------------- 10年ぐらい前、今の携帯電話網の基盤開発が官民共同で行われましたが、そのときの重要課題の1つが電波の暗闇をどう少なくするかでした。建物の影になったところでは、電波の回り込む範囲(質問文の中の回折に当たります)の外では、電波が届かなくなります。光の進路以外のところでも光が検知できるなら、光も電波も波長が違うだけですから、電波の暗闇を無くすのに応用できます。 また、宇宙応用が考えられている空間光通信にも利用できます。 ------------- この質問の回答で、ファイマンの経路積分がでてくるのは、全くの想定外で驚いております。 ファイマンの経路積分について勉強したのは、はるか昔のことですが、量子論と古典論を矛盾無くつなぐものとして理解した憶えがあります。 (私にとってファイマンは、「ファイマン物理学」でその名前を知ったのが最初で、歴史上の人物に近い存在です。とても、「先生」と言える存在ではないので) No2さんの回答をよく読むと、結局のところ、光路の周りに少しだけ広がりが出る、と理解できなくもないようです。その広がりが、光の波長程度なら(赤外光で数μm~30μm、可視光で380~780nm)、波動光学での知見とも矛盾しません。そうならば、経路積分を持ち出すまでもないことです。 また、光路の周り光の波長程度のところでしか検出できないなら、実際には光路上でしか検出できないと言っているのと同じになってしまいます。 結局、質問に対しての回答としては「できない」というのが適切のように思えるのですが? ポイントは、光路からある程度距離のあるところで、光路が存在することによる何らかの現象が起こりえるかです。No2さんの回答では「打ち消しあう」とありますが、打ち消しあう前の状態を原理的に検出できるかどうかです。 どうなんでしょうか?
お礼
何度も読んでみましたが、angel_7のお話はとても筋が通っていて、凄いなぁと思いました。 おっしゃるとおりだと思います。 ありがとうございました。
- sanori
- ベストアンサー率48% (5664/11798)
こんにちは。 結論から言って、できます。 このことは、ノーベル物理学賞を受賞したファインマン先生の「経路積分」の考え方が適用できます。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E8%B7%AF%E7%A9%8D%E5%88%86 「考え方」というよりは、むしろ、「真理」です。 まず、「光は直進する」という前提がありません。 光源から出発し、観測者に到着する経路は、無限に存在します。 経路が長いほど、光の位相は余計に進みます。 それらの経路をたどった後の位相をベクトルとして考えますが、 観測者に見える光というのは、それらのベクトルの合算です。 直進経路に近い経路をたどってきた光の位相ベクトル同士は、 向きがほとんど同じなので強め合います。 しかし、直進経路から遠い位相ベクトルは、互いに打ち消し合います。 この結果、「見かけ上」、直進経路に近い光だけが生き残ります。 ここで、直進経路に「近い」光と言ったのは、 ぴったり直進の経路だけではなく、若干、変化球のように進んで届く経路もある、ということです。 よって、観測者にとっては、光源からまっすぐの光だけでなく、 若干、上下左右にぼんやりと広がった光が見えます。 この効果は、光の波長が長いほど顕著になります。 波長が長くなるにつれて、一点のようにに見えた光が、だんだんぼやけていきます。 以上、ご参考になりましたら。
補足
回答ありがとうございます。この説明も非常に分かりやすく、また面白く読めました。本当にありがとうございます。 ちなみに、このぼやける現象に、何か名前等はついていないのですか? また、メジャーな光学の教科書などにも書かれていることでしょうか?
ご質問の意図を察すると、「出来ない」というのが答えになるかと思います。 光の存在は、光そのものを受け取るか、光が当たった物質の応答を知るかの2通りしか、認識する手段はないと思います。 ご質問の、「周りに障害物や、光が回折できる物質が無いとき」というのは、真空中を伝播する光と理解すればいいのですよね? 「延直線状」というのは、光の伝播する経路上ですよね? ちなみに、光の進路中に1μm以上のサイズの物体があると光の散乱が起きて、光の存在が分かります。レーザービームなどが直線状に見えるのは、空気中の塵埃による散乱のためです。サブμmになると、ミー散乱という散乱が起きます。さらに小さなサイズになるとレイリー散乱が起きます。ミー散乱とレイリー散乱は、光の波動性に起因するもので、回折と同じと考えてもいいでしょう。タバコの煙による散乱は、ミー散乱、レイリー散乱によるものです。もちろん、タバコの煙による光の散乱でも、光の存在は分かります。 「光が当たった物質の応答を知る」の事例が、赤外線で熱を感じるとか、写真のフィルの感光などです。
お礼
いち早い回答ありがとうございます。 そして非常に分かりやすい説明で助かりました。 具体的な事例を挙げていただき、イメージもしやすかったです。
お礼
最新の光学についてまで紹介いただきありがとうございます。 非常に分かりやすかったです。 私は今、物理学科の四年生で、光学系について勉強しています。 しかし、就職活動で、ぜんぜん勉強しておらず、どっから勉強しようか悩んでいたところでした。 私は、望遠鏡などで光を観測したとき、理論的にどんな風に光が見えるのかを計算したいと思っています。 その上で、大変参考になる回答でした。 本当にありがとうございます。