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お弁当の売れ残り飼料に、狂牛病のようなリスクはないのでしょうか?
コンビニの弁当売れ残りのリサイクルとして 高温処理した後、養鶏や養豚の飼料とすることになった というニュースが、良いリサイクル例として、今日、 報道されていました。 (高温処理の温度とかは・・・不明だったのですが・・・) ちょっと考えると良い事のようにも思えるのですが、 弁当の残飯中には、ニワトリの肉も、ブタの肉も当然有る わけですから、ニワトリやブタが同類のたんぱく質を 食べることになるわけだと思います。 狂牛病の根本原因が、 「人間が理不尽にも、共食いさせた事」 にあったことを思いますと、 ニワトリがニワトリの肉を食べ ブタがブタの肉を食べることに 漠然とした不安感が芽生えます。 専門家の方のご意見をお聞きしたいのですが よろしくお願いいたします。
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獣医師です。 BSE(いわゆる狂牛病)の病原体は異常プリオンという蛋白質ですが、これは元々羊のスクレイピーというBSEと非常によく似た疾病の病原体です。 ヒトも含め、脳などの中枢神経系にはプリオンは数多く分布しているのですが、異常プリオンが蓄積すると隣り合ったプリオンを異常プリオンに換え、ドミノ倒しのように異常プリオンが増える結果が発病を引き起こすと言われています。 なで普通の感染とはちょっと違う(病原体そのものが増殖するわけではない)ので、「伝達性」という言葉を使い、BSEやスクレイピー等を「伝達性海綿状脳症」と総称しています。 それはさておき。 BSEがそもそも発生した原因は、スクレイピーに罹った羊の肉骨粉をウシに給与した結果、スクレイピーが牛に伝達してBSEとなったと言われています。そのBSEがヒトに伝達されるとvCJDとなるわけです。 ただし、不思議なことに羊のスクレイピーはヒトには伝達しません。また、BSEやスクレイピーは豚などの他の哺乳類にも"ほぼ"伝達しません。まあ全ての哺乳類や鳥類について調べたわけではないでしょうが。 つまり羊→牛→ヒトに伝達するプリオン病というのは、非常にクリティカルな、ほとんどあり得ないほどレアな経路だということです。他のいくつかの動物にもプリオン病は確認されていますが、スクレイピーやBSEのように他の動物に伝達するものはまだ見つかっていません(確認されていない、といった方が正確かも)。まあプリオンという物質の性質上、他の動物に伝達する方が不思議なのですが。 ま、スクレイピー由来ではどうもなさそうな孤発性のBSEもあるようなのですが、それが牛同士で伝達するかどうかはまだ未確認だったと記憶していますし(最近あまり熱心に追いかけていないのでもしかすると新しい報告が出ているかも)、プリオン蛋白質の型からいってもBSEの由来が羊のスクレイピーというのは間違いなさそうです。 つまり、そういう意味では「共食い」が原因ではなかった、ということです。もちろん牛の間に拡大したのは牛の肉骨粉を牛に食わせていたからですが、羊の介在がなければ未だにBSEは存在しなかったかもしれません。 少なくとも、「共食いさせていたから」というような一般論に帰結できるような問題ではない、ということです。 同様に豚や鶏のプリオン病がないとは限りませんが、牛と比較して豚や鶏はその飼育期間があまりにも短いので、長い潜伏期間を必要とするプリオン病は検出が不可能に近いでしょう。 鶏も豚も本来は10年以上は平気で生きる動物ですが、豚は約半年、鶏(ブロイラー)に至っては僅か2ヶ月で肉になってしまいます。採卵鶏でも2年生きるものはほとんどいません。 BSEでも2歳やそこらではどんな高感度の検査法を用いてもほとんど検出できないほど異常プリオンの蓄積は少ないです。すなわち伝達性も極めて低いか"ない"レベルでしょう。アメリカを始め多くの国が30ヶ月齢未満の牛は検査しなくても良い、としているのはそれが根拠です。 それがプリオン病の性質ですので、豚や鶏でプリオン病が問題となる可能性は極めて低いでしょう。個人的にはゼロだと思ってますが。 本来、蛋白質はどの動物由来であっても消化の過程でアミノ酸に分解されるので、体内に吸収される時点ではもはやどの動物由来でも同じです。プリオン病が伝達されてしまうのは、異常プリオンが熱にも蛋白質分解酵素にも非常に強い耐性を持っているという特殊な事情によるものです。余談ですが、そのような特性のため、異常プリオンを失活させるような処理を行うと、それはもはや「食品」ではなくなってしまいます。 そんなわけで、ご質問のケースでのプリオン病のリスクは限りなく低い、とは思います。まあBSEも、誰もこんなことが起きうるとは思ってなかったのではありますが。 むしろ同種動物のリサイクルによる危険は、通常の伝染病の伝搬の方が大きいでしょう。豚の感染症の病原体は豚肉に含まれている可能性があるわけですから、それを食べた豚に感染するリスクは高いです。 古来より一般的だった残飯養豚が廃れたのは、豚コレラ等の重大な家畜伝染病の伝搬経路となっていたからです。鶏にしても鶏インフルエンザは、これほど世間で騒がれる何年も前から、某国からの輸入鶏肉から検出され、その度に輸入停止→査察→輸入再開を繰り返していましたし。当時はヒトへの伝搬より鶏に伝搬して国内で鶏インフルエンザが発生することを恐れていたわけですが(現在も基本的にはそうです)。 しかしそういったウイルスや細菌等の病原体は、加熱処理によって比較的容易に失活させることが可能です。今になって再び「残飯養豚」を始めるということは、当然そのことに対する対処はきちんとなされているのでしょう。 ヒトの命が単純に経済価値と天秤にかけることができるものとは思いませんが、あるかないか判らない(それも限りなく低いと思える)リスクに囚われて"リサイクル"という社会の維持に極めて大切なことを放棄するようなことがあれば、それはヒトが自分で自分の首を絞めているようなものだと思いますし。 最後に余談ですが、プリオン病は「肉」では伝達されません。プリオンが蓄積するのは中枢神経系の他には小腸の一部くらいしかありません。「肉骨粉」と言われるように、骨も重大視されがちですが、本当は骨そのものが問題なのではなく、骨に付着した脊髄などの神経組織が問題なわけです。つまり、「スペアリブ」では伝達されない、ということです。
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- otx
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>「同じたんぱく質の循環」が何かを助長し、先にニワトリに 異常がおき、それが、やがて人間にまで累を及ぼすようなこと がないでしょうか?というような意味合いです。 単純に、お答えすると、 同じタンパク質が循環しても、何も助長しません。 感染性のある病原菌、またはプリオンなどが 感染可能な動物間で循環すれば、病気の蔓延を助長します。 このとき、まず異常なブタやニワトリの存在がまず明るみになると思われるので、そのようなブタやニワトリからコンビニ弁当が作られないようにヒトがしっかりやると思うので、 質問者様のご心配は、杞憂であると思われます。
お礼
再度のご回答、本当にありがとうございます。 いたみいります。 人間が注意深く、食の安全と、家畜の状態をみつづけているかぎり、第二の狂牛病は絶対起きない!という主張、力強いかぎりに思えます。 どうもありがとうございました。 私は、今回のお礼の文章を書きながら、子供の頃、家の庭に飼っていたニワトリが、ケンタッキーフライドチキンの残飯をついばんでいるのを見たとき、グロテスクと、嫌悪感と、罪悪感と、哀れみと、畏怖とが入り混じったような驚きを持ってしまったことを思い出しました。 ずっと忘れていたんですけど、そんな記憶。この質問は、ひょっとすると、子供のころに芽生えた疑問は、ずっと尾を引く例だったのかもしれません(笑)。 脱線でした。どうもありがとうございます。また何かありましたらよろしくお願いいたします。
- taro1121
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共食いへの異常感が不安感を引き出しているのでしょう 動物のお肉のたんぱく質の構成に大きな差はありません (小さな差が味の差になり、各種臓器、神経細胞等は異なってきます) 疾病にはなんらかの原因があり、その原因となる「もの」を排除せず 飼料としてしまった飼料輸出業者が世界的な狂牛病問題となりました 食肉になるまで、健康であるかどうか検査します (病気が見られた場合、屠畜時、別扱いし、検査が厳しくなる) お肉になるときも、臓器に異常がないか検査し、異常が見つければ そのお肉は焼却処分されます そういう経路を経て、食肉となってゆきます これのリサイクルには何の問題も感じません それより、USAのチルド肉 こちらの方が私は気になります USAで屠畜後、輸出手続(陸路&船積み等、1週間) 船便20日。日本の輸入手続~スーパーの店先まで1週間 合計34日、日曜が入ったりすると40日近くかかる この間チルドの5℃(スーパーで買ったお肉冷凍せず1ヶ月以上置いておきますか?) これが腐らない技術があるのです その方法は「原子力百科事典 ATOMICA」に詳しくかかれてあったのですが 現在メンテナンス中とのこと 「原子力安全委員会 食品放射線専門部会」では なにかいてあるのかさっぱり不明 異常が起きないと動かないのは、どこの国の行政でも同じなのでしょうね ま、そのためにこういったネット情報網が利用されるのかもしれませんね
お礼
明確なお答えがいただけました、どうもありがとうございます。 そうですね! 食物行政には、第二の狂牛病のような、杞憂よりも、心配しなくてはいけない事がたくさんありますネ! 脱線になりますが 昔、原子力の授業で、 「『放射能』という言葉の定義はあやふやですから『壊変(活性)率』という用語を使いましょう」 という講義をされたとき、多少の胡散臭さを感じたんですが 「『狂牛病』という言葉はあやふや(でショッキング)ですから『BSE』という用語を使いましょう」 というセリフを聞いた時に、全く同じ感覚をいだいたことを付け足させていただきます(苦笑)。
- grumpy_the_dwarf
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> 狂牛病の根本原因が、 > 「人間が理不尽にも、共食いさせた事」 完全に間違っています。異常プリオンを含む死体を飼料に使ったの が原因であって、共食いの嫌悪感は無関係です。ヒトの食料に異常 プリオンが含まれていない限り、その残飯を食べても狂牛病のリス クは上がりません。そもそも残飯って古代から養豚では普通です。
補足
ご回答ありがとうございます。 「根本原因」と称しましたのは象徴的な 意味で申しただけで、もちろん因果応報で 病気が起きるとは微塵も思っておりません(苦笑)。 で、賜りましたお答えは、 牛が同種のたんぱく質を循環的に食べつづけたことは プリオン異常が広く伝播したこととは関係なく 豚が飼料として牛を食べ続けていたら、たぶん 「狂豚病」と呼ばれたことになっていた! というご趣旨なわけですね。 私は、プリオン異常という、元々昔から?少しあった 「牛の風土病」が、人間が飼料として牛肉を 循環させたことによって広く伝播してしまったんだ! と、思っておりました。 もしそうゆ~異常なたんぱく質などが、ニワトリや 豚に今、少しでもあったら、飼料循環によって、ニワトリや豚の ローカルな病気や、劣勢な体質が広く波及しないかな? なんて思ったもんですから、このような質問をして みました。 どうもありがとうございました。
- otx
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コンビニ弁当の売れ残りリサイクル餌を与えることで、 ニワトリがニワトリの肉を食べ ブタがブタの肉を食べること で、ニワトリやブタがおかしくなる以前に そのコンビニ弁当を食べているヒトが危険ですね。 心配する焦点がちょっとずれているのは気のせいでしょうか? 狂牛病の牛が発生した時ですら、ヒトが食べないようにあれだけ騒いだのですから。 また、狂牛病の根本原因は質問者様はどうも、なんと言いますか、 共食いをさせた倫理的問題が原因であるように(ヒトが共食いさせたから、そのバチが当たったみたいに)、おっしゃっているようですが、 狂牛病の根本原因は、狂牛病の牛を他の牛に感染させたことが原因です。 感染させた手段は「食べさせた」ですけど。 どうもそこも焦点がずれているような気がします。 別に私は共食い推進派ではありませんよ。 答えになっていませんが。
補足
さっそくのご回答ありがとうございます。 もちろん私メも、観念的な因果応報が狂牛病の直接因だとは 微塵も思っているわけではありません。 また、もちろん、ニワトリがニワトリの肉を食べて 狂牛病になると思っているという質問の趣旨でもないのです。 「同種の動物のたんぱく質を循環的に飼料にすること」 が、にわとりやブタにも、牛でいう狂牛病のプリオンのような 異常なことが、将来起きるリスクを上げないのでしょうか? というご質問の趣旨とご理解いただければ幸いです。 いかがでしょうか? ご説明いただいたように、ニワトリに新たな病気が発生したら それを食べる人間に、先に害が及ぶだろう、と仰られるのは 確かに、そのように思えるのですが、 「同じたんぱく質の循環」が何かを助長し、先にニワトリに 異常がおき、それが、やがて人間にまで累を及ぼすようなこと がないでしょうか?というような意味合いです。 よろしくお願いいたします。
お礼
ご回答、詳細で解りやすく、本当にありがとうございます。 そして、つたない駄文質問の趣旨を正確に推測していただきまして、ありがたくand恐縮です。 羊 → 牛・牛・牛・牛 → 牛・牛・牛・牛 →人間 という、神がかり的な細い糸を伝わった「奇跡の病」が狂牛病だという感じなんですね(半可通ですが)。 そして、そんな状況は、専門的には、牛と人間という年単位の長時間で密な関わりの家畜の中でしか生まれてこないということで、プロの目からみれば、もう2度と起きないだろう偶然だったわけですネ!。 私も狂牛病が出た時、そのあまりに、異質で、強力な伝達経路に驚いてしまい、 「これからは、このタイプの病気が、多くなるのか!」 という恐怖感に苛まれたものでした。 でも、それほどでもないという専門家の意見をいただきまして、スッキリいたしました。 そして、将来、万一、第二の同様の病が、他の家畜から出たとしても 「当時の科学的常識では、予見不可能だった」 という証拠にもなる文章だとも、感じております。 本当にどうもありがとうございました。