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燃料電池について
基本的なところだと思うのですが、天然ガス、石油を水素にしてそれを燃料電池に使うとき、水素製造の段階で二酸化炭素が出ますよね? これは燃料電池の二酸化炭素を出さないという特性を帳消しにしてしまっているということですか? お願いします。
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- jamf0421
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No5、No.6の回答をしたものですが、うっかりあたかも燃料電池が発生した熱量を100%電気にできるように書いてしまいました。あとで以前の記憶に気付いたので、不適切な説明をそのまま放置するのも気になりまして補足します。発熱量ΔHに対して取り出せるのはΔGで、ΔG=ΔH-TΔSですから、これに25℃の酸素と水素から25℃の液体の水が出来る反応のΔH、ΔG、TΔS(Tは298K)の286 kJ/mol、49 kJ/mol、237 kJ/molを当てはめると効率(ΔG/ΔH)は83%が上限になります。実際の装置はまだまだこの数字に届きませんが...
- jamf0421
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蛇足ですが、No4さんの水素以外の水素化合物をつかう燃料電池についてですが、DMFC(ダイレクトメタノールFuel Cell)がその代表例です。 これはメタノールの水溶液が燃料に使われ、アノードで CH3OH+H2O→CO2+6H(+)+6e(-) カソードで (3/2)O2+6H(+)+6e(-)→3H2O となります。全体では CH3OH+(3/2)O2→CO2+2H2O です。メタノールを直接燃やして電気を得るよりは当然効率がよいです。実際の反応では微量のCOが出来、これが電極に負荷となり、起電力が水素燃料に比べておとります。またメタノールのアノードからカソードへの抜けるクロスオーバーがありこれも問題です。燃料から水素を取り出す必要がないのでモバイル用とかで鋭意開発されています。
- jamf0421
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燃料電池は燃料を燃やして電気にするというシステムです。しかし単純に燃料を燃焼して熱にしてしまうと熱力学の法則により、その効率はQ=(T2-T1)/T2(T2は高温の温度、T1は低温の温度)を超えられません。高温の熱を100%仕事や電気にできず、低温側に熱をすてないといけないのです。 一方、燃料電池でたとえば天然ガス(主成分メタン)を燃料にしたとします。 水素を取るプロセスを単純化して書くと CH4+H2O→3H2+CO(水蒸気改質) (i) CO+H2O→H2+CO2 (シフト反応)(ii) です。 燃料電池では水素と酸素の反応で電気ができますから 4H2+2O2→2H2O (燃料電池) (iii) です。(i)(ii)(iii)をあわせるならば、結局 CH4+2O2→CO2+2H2O (iv) となり、メタンを燃やしていることになります。しかし、この場合はメタンを単に燃やすことにより取り出すことができるエネルギーへの熱力学的制約がないのです。理屈では燃焼熱を100%電気にできることになります。 しかし、実際にはいろいろ制約あってシステムは複雑です。 改質触媒の温度をあげるために、たとえばオートサーマルシステムなら酸素をメタンに混ぜて、一部の燃焼を本当に燃やしてしまいます。その分効率はさがります。 シフト反応だけでは完全にCOが除けないので、しかもCOは電極触媒に対する触媒毒なので、 2CO+O2→CO2 (選択酸化)(v) を水素ガスの中でやらせる必要があります。燃料にある微量のイオウ化合物を除くため脱硫触媒が必要だったりします。そうした手間暇のため、装置の値段が高くなり、エネルギー効率も完全に理想的には行きません。しかしエネルギー効率については良くなっていることは家庭用燃料電池で実証されています。
- htms42
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#3に書かれている CO2 を石灰水に吸収させて回収するという説明には疑問があります。得られた炭酸カルシウムにそれほどの価値はないからです。 水酸化カルシウムはどこから得られたものでしょうか。石灰石(主成分は炭酸カルシウム)を焼いて作っています。 CaCO3→CaO+CO2 CaO+H2O→Ca(OH)2 このときにCO2が出ているのですから元に戻しているだけです。 カルシウム化合物のカルシウム源は全て石灰石です。ナトリウム化合物のナトリウム源は全て食塩です。 一番の元に戻ります。 「天然ガスから水素を取った残りが二酸化炭素」というのは正しいのでしょうか。これだと水素を取って2H2+O2→2H2Oの反応を利用して燃料電池として働かせるではなくて天然ガス自体を燃やしている事になります。 天然ガスをメタンとします。 CH4+2O2→CO2+2H2O です。こんなことをやっているのでしょうか。 CH4から水素を抜き出して反応させるのであれば水素を抜き出すための装置が別に必要です。エネルギーも必要です。電極にそのままCH4を流して反応させるのでなければメリットはありません。反応副生物の炭素を含んだ化合物はその場に出来ます。 水素だけを反応させるとしたら水素が生じるような別の(水素を作るのが主目的ではない)工程がある様に思います。 水素以外の水素化合物を用いた場合の燃料電池の反応はどういうものでしょう。私にはこれについての知識がありませんので疑問だけになりました。
- chem_navi
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こんにちは.大変的を得た良いご質問かと存じます. 先にいただいた御回答にも出ておりますように,燃料電池を使う場合,使用場所で二酸化炭素ガスが出ない,という点が重要です. 化学工場の種類によっては,工場内の製造工程で副生した二酸化炭素ガスを化学品製造の原料ガスとして再利用しています. たとえば,プラスチックの強化材や紙の白色化に使われる炭酸カルシウムは,消石灰(Ca(OH)2)水溶液に二酸化炭素ガスを吹き込むことにより製造されますが,このときに用いられる二酸化炭素ガスは,他の工程で副生したもので済むわけです. しかも,二酸化炭素ガスは大気中に排出されず,炭酸カルシウムとして固定されるため,直接環境にダメージを与えることはありません. もし一般家庭レベルで二酸化炭素ガスが生成する場合,化学工場のようにうまく処理できるはずもないので,結局大気中へ排出されることになります. つまるところ,燃料電池を使っても二酸化炭素ガスは排出することなく,水素製造の段階で副生するものは大気中に出さず工場でうまく処理されるということになります. 最後までお読みいただき,ありがとうございます.
- spspsp00n
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まさにご指摘の通りです。 このことに気がつかず、FCは究極のエネルギー変換機と認識している人が技術者の中にもいます。 たしかにいろいろな良いところもありますが、FCはH2Oしか排出しないと諸手を上げて、環境問題が解決したと考えることは大間違いです。 もちろん天然ガスや化石燃料からでなく、CO2を排出しない方法で、H2を量産できればFCの利点がより発揮できることになります。 ただ、理想的方法でH2を量産できるとしても、H2はその貯蔵と、搬送などのインフラで解決すべき問題があります。これはインフラを整備するコストの問題以外に、インフラの製造過程で発生するCO2の問題など、トータルに見る必要があります。 最後に誤解無いように。 FCがもたらす利点はたくさんあり、価値ある技術です。 少なくとも、環境問題の他の重要問題である、エネルギー枯渇問題の一助となると思います。 天然ガスは化石燃料より埋蔵量が多く、もし化石燃料の枯渇前に再利用可能なエネルギー(自然エネルギーなど)が主流になっていない場合、FCが担う役割は少なくないと思われます。
- shintaro-2
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>これは燃料電池の二酸化炭素を出さないという特性を帳消しにしてしまっているということですか? そういうことになりますが、 使用場所でCO2が発生しないという利点は残ります。 従って潜水艦の中とか、用途が限定されますが特徴は生きます。 そのほかにも、トータルでエネルギー効率が良ければよいので、メリットもありますし、送電線を引くことができない場所で太陽電池等も使えない場所とか、他の特性が活かせるのであれば問題はありません。