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人間にはどうして交尾 (生殖) 時期が無いのですか?
タイトルどおりなんですが、ほとんどの動物には特定の交尾時期というものがありますよね? ある時期を過ぎると交尾もしないし、当然出産もない。 動物は春に迎えるケースが多いでしょうが、鮭などは秋に産卵や受精のため川を遡りますね。 このように季節は色々あると思いますが、どの動物も特定の時期に生殖活動をするはずです。 でも人間は365日OKですよね。 それも、その気になれば24時間態勢で。 なぜ人間だけ特定の交尾 (生殖) 時期というのが存在しないのですか? それはいつからそうなったのでしょうか? また人間以外に1年中OKという動物はいるでしょうか?
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獣医師です。一応大学では繁殖学の研究室にいて、野生動物の繁殖で卒論を書きました(もうずいぶん昔のことになりますが・・・)。 「ヒトには繁殖期がない」という事は、2つに分けて考える必要があります。 1つは文字通り「繁殖期がない」ことについてです。 多くの野生動物は季節繁殖なのですが、それはエサや気候などの条件により「この時期しか子供を育てられない」からです。 まあ、例えばクマを例に挙げると、 ・クマは数グラムという"超未熟児"の子供を産む →従って出産は冬眠中でないととても子供は環境に耐えられない →だったら秋に交尾すれば良いのだけど、秋は冬眠のためにエサを食いだめするので手一杯で、とても繁殖行動なんてやってられない →だったら春に交尾する →すると子供が大きくなりすぎるので、秋まで着床せずに子宮内で受精卵のままぶらぶら遊ばせておく というような、とりあえずこの順序で書いてみましたが実際のところ「鶏が先か卵が先か」今となってはよく判らない、みたいな話ばかりです。今私達が見ているのはあくまで進化の結果ですから、そのひとつひとつの事象に確固たる必然性は感じられない場合も多いです。 で、人間の場合、火を起こすところから始まって環境を自分でコントロールすることを覚えたので、季節繁殖は必要なくなったと思えます。 牛や豚などの家畜でも、野生の牛や猪などのベースになった動物は季節繁殖ですが、これらの家畜はもう季節繁殖ではなく、「1年中OK」です。犬や猫だって一応季節繁殖動物だと思われていますが、実際のところ1年中どこかで発情しています。うちのネコも今はもう閉経してしまいましたが、全盛期は1年に5回くらい発情してました。 もうひとつ考えなければならないのは、「ヒトは発情期(=排卵期)でなくても交尾する」ということです。 牛の性周期は21日ですが、発情期にならないと他の牛の乗駕を許しません。つまり「やらせない」のです。排卵期でもなく、まったく妊娠の可能性がないのに喜んで交尾する動物はヒトくらいなものです。 多くの動物で、オスは基本的に「常時臨戦態勢」です。オスにも周期があったりするとメスと合わなかったりして意味がないので、「やらせてくれるメスがいればいつでも喜んで」というのがオスの基本戦略です。 つまり「するかしないか」のイニシアティブはメスが持っているわけですね。まあヒトだって、女性がもし排卵期以外は"その気になる"可能性がまったくない動物だったら、男は手も足も出ませんものね。 なので「周期に関係なく交尾する」というヒトの特徴は、つまり「メス(女性)はいつでもやらせる」ということが核心というわけです。表現が下品で申し訳ないですが。 「やらせる」というより、「ヒトのメスは排卵期以外でも交尾可能な状態(排卵期と同じ状態)にある」ということです。下卑た話ですが、「濡れなければ」交尾は不可能で、普通の動物は排卵期でないとそういう状態にはなりません。 その理由はいろいろ考えられるのですが、 ・ヒトは子供を未熟児で産む(自立で立つまでに1年もかかるのはヒトだけ) →従って出産した後も子育てにたいへん労力が必要 →なので出産前後のメスは自力で食糧を確保するのが困難 →よって子育てにはオスの協力が必要不可欠 →オスを繋ぎ止めておくためには、「いつでもやらせる」のが一番 →そのために、排卵期以外でも交尾可能な生理状態を選択した ということなのではないかなぁ・・・と言われてもいますし私もそう思います。 No.1さんの意見とは逆になりますが、そういう生理があってその上に「文化」が形成されたのだと思います。
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Jagar39です。ちょっと補足と訂正を。 まずクマの赤ん坊の体重ですが、数グラムはいくらなんでも小さすぎでした。大きなネズミくらいの大きさで数百グラム(ツキノワグマの場合平均300gほど)はあります。 もうひとつは最後の方の、 >→そのために、排卵期以外でも交尾可能な生理状態を選択した という部分ですが、「選択した」よりは「獲得した」の方が適切かな、と思います。 それと、このような生態は別に不変のものではなく、環境等に応じてけっこう柔軟に変化するようです。 例えばニホンカモシカは、秋が繁殖期でそれ以外の季節は単独で生活しています。子供は2~3年母親と生活留するので、オスは「やりっぱなし」なのです。 それが韓国にもカモシカがいるのですが、外見はニホンカモシカとほぼ見分けが付きません。よほど詳しい人が見ないと区別できないほど同じ姿をしているのですが、韓国の38度線付近に生息するカモシカは「ファミリー」を形成するそうです。 ご存じかと思いますが、38度線は人為的に設けられた空白地帯となっているため、野生動物の王国のような場所になっているのですが、狭い地域に多数の野生動物が押し込められた結果、1種あるいは1頭あたりの生息面積が制限されたため、本来単独で生活するカモシカがファミリーを形成するようになったのか、と思っています。 ま、韓国のカモシカの生態が研究され始めたのはつい最近のことですし、なんとも言えないところはあるのですが。 私が韓国の学者からこの話を聞いたのは数年前ですが、その時は韓国にはカモシカは38度線付近にしか生息していないと聞きました。その後数年の間にあちらでもこちらでもカモシカの生息地域が見つかったようです。 まあ、ファミリーの形成と「いつでもやらせる」生理とは、また別物でしょう。なので韓国のカモシカがいつでも交尾するようになるとも思えません。 ただ、要は内分泌の問題なので、季節繁殖動物が多発情動物になるのはそれほど時間はかからないような気はします。クマが多発情動物になるのはちょっと大変そうですが・・・季節繁殖に特化してしまった生理を持ってますからね。 さらに、季節繁殖を捨てて多発情になったとしても、「排卵期以外にも交尾する」性質を獲得するためには、さらに特別な条件が必要じゃないかとも思います。
お礼
再度のご解説、有難うございました。 カモシカのお話、とても勉強になりました。今までこのようなお話にはなかなか接する機会がなかったです。 やはり繁殖=セックスという一面的なイメージで捉えられがちなので、何となく一般人にはタブーというか積極的にこういったお話に触れる機会がなかったです。 特に学校など教育の現場でこのような授業が行なわれる事は無いですね。 でも人間が今のように「排卵期以外にも交尾する」ようになったのは、どうなんでしょう、数万年、あるいは数十万年の時が必要だったのでしょうか。 あるいは何かのきっかけでアッと言う間に変化したのでしょうか。 とても興味深いです。
- chie65536
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人類が「年がら年中」なのは「環境による制限が無くなったから」「理性により発情のサインが出されなくなったから」と考えられます。 「家」や「衣服」や「暖房」を持たない野生動物は「出産直後の子供や卵は非常に脆弱で、出産に適さない時期に出産しないよう、交尾出来る時期が本能的に制限されている」のでしょう。 しかし「家」や「衣服」や「暖房」を持ち、武器さえ持つ事が可能な人類は「どの時期に出産しても問題が無くなったので、年がら年中発情時期って状態に進化した」と言う説があります。 また「理性が芽生え、女性がみだりに発情のサインを男性に示さなくなったので、いつ発情すれば良いか判らなくなった男性が、年がら年中発情するようになった」って言う説もあります。 なお、ネズミやウサギも発情周期が無く、年がら年中発情時期です。これらの場合は、生物的に脆弱なので、年がら年中発情して子孫を増やし続けないと、強者に捕食され絶滅してしまうから、と言われています。
お礼
有難うございました。 ネズミやウサギには発情周期が無いんですねえ。 人類とは違った理由で、これもやはり1年中OKになっているわけですね。 興味深いお話です。
- kouji_124
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もしかすると、元々決まった繁殖時期が存在しないのかも知れません。 人間にもっとも近いチンパンジーにも決まった繁殖時期は無いそうです。
お礼
有難うございました。 へー、チンパンジーには決まった繁殖時期って無いんですねえ。 やはり人間に一番近いという事ですね。
- uskt
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動物に繁殖期があるのは、子を産んだり育てたりするのに好適な環境が必要だからでしょう。たとえば、水が豊富とか、気温が安定しているとか、餌になる動植物が得やすいとかいったことです。 最も子どもが無事に産まれやすい、あるいは育ちやすい時期に合わせて、繁殖行動を行うことができる動物が、生き残ってこられたとも言えると思います。 人間の場合も、過去にはそういう時期があったのでしょうが、文明化するとともに、出産や子育てのための環境を、自分の手で整えることができるようになったために、いつでも繁殖行動に入るようになったのでしょう。 動植物は、基本的には自らの子孫を増やすように行動するものなので、もし子どもを産み育てられるなら、自分の都合で繁殖行動できるほうがいいわけです。 具体的にいつからというのは、私の知る範囲では、今後の研究を待たなくてはいけないように思います。また他の同様の動物も、知りません。 中途半端な回答で、申し訳ありません。
お礼
有難うございました。 なるほど、最も無事に出産できる動物だけが生き残ってきたという事なんですね。 それで特定の季節に繁殖活動が行なわれるわけですね。 でも人類がいつから今のように「いつでもOK」になったのか、興味あるところですね。 今後の研究結果を待ちたいと思います。
- assault852
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「人間」の社会には「文化」が存在するから。 本能に従って生きているわけではないので、生態上にそういう周期が必要ではないのです。
お礼
早速のお答え、有難うございました。 人間はたしかに本能に従って生きているわけではないですが、と言っても、本能を喪失したわけでもないと思いますが ・・ 原始人の時代は多分繁殖の時期というものがあったように想像します。 いくら文化があっても、人間が動物である以上は、その肉体的根本は他の動物と同じだと思います。 勿論、尊厳とかの精神的な問題は別として。
お礼
専門家の方からお答えを頂き、感謝します。 有難うございました。 学術的に解説して頂いて納得しました。 動物のオスも基本的には人間と同じように1年中OKだというのは、初めて知りました。 驚きです。 要はメスが受け入れ態勢になるのかどうかという事で、今のように季節繁殖になっているわけですね。 ウチはペットを飼った事が無かったので何となく犬や猫も春先にさかりがつくように思っていたのですが、実際にはこれらも1年中OKだったんですねえ。 とても興味深く拝読しました。 有難うございました。