「稲成(いねなり)」が「稲荷」に変化は前出の方の通りです。
稲が成育することを意味し、五穀をつかさどる農業の神さまでした。
それがいつしか商工業や漁業や鍛冶屋など、幅広い信仰を集める神さまにもなって
現在の商売繁盛となったのでしょう。
一帯を納める大名にとっては領地の繁栄が必要不可欠です。
年貢が少なければ勢力も衰えてしまうでしょう。
そこで自分の城にも稲荷を祀って信仰したのも頷けます。
お稲荷さんには神道系稲荷神社と仏教系稲荷神社がありますが
狐との関係は色々説があるようです。
神道系(京都伏見稲荷大社)
稲荷神社の御祭神は宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)(倉稲魂神)ですが
別名である御饌津神(みけつかみ)の文字に、狐(ケツネ=キツネの古語)を使い
三狐神(みけつかみ)と記したことから
狐=稲荷神社(神)の使い という形になったといわれています。
仏教系(豊川稲荷など)
お稲荷の本当の姿(本地)は茶吉尼天(だきにてん)
別名は荼枳尼天であり、お稲荷自身は仮の姿であるという考えです。
茶吉尼天はカーリー女神(インド系の神)の侍女で
インドでは地母神としての豊饒の女神の役割と、神格化したジャッカルの性質から
ジャッカルに似ている狐が化身として日本では理解されたようです。
そのほかにも狐は稲を食い荒らすネズミを食べてくれるからだとか
水害が起きないようにする堰き止め=咳止め=咳(コンコン)=狐とか
本当に多くの説があるようです。
お礼
眼からうろこの説明、どうもありがとうございました。治世は農政でもあったのですね! それにしても、その後のご説明で祭神そのものに狐の属性があったことにまたびっくりです。というのも、以前お稲荷さんは狐をまつってるんだと思っていたところ、まつられているのは別の神で、狐はお使いにすぎない、というのをどこかで読んで考えをあらためたところでしたので。主神の化身が狐ともみなされているなら、主神もみ使いも信仰のなかでは渾然一体となっていると思った方がよいと思えてきました。 咳止めコンコン、おまけに堰止めには笑いました。こうなってくると、なんでもこじつける庶民のいじらしさが彷彿といたします。どうもありがとうございました。