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量子論と相対論はなぜ統一できないのか?
量子論と相対論の統一は難しいと言われますが、それはどのような点で難しいのでしょうか?問題点を教えていただければ幸いです。
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以下は「科学と技術の諸相」からの引用です。 http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/qa_a82.htm#q485 「量子重力理論の難しさは、そもそも、どのような形式の理論を考えれば良いのか明らかでない点に根ざしています。 1940年代の末に量子電磁気学が完成を見た後、重力場の量子化にチャレンジした物理学者は少なくありませんが、彼らの前に、さまざまな困難が立ちはだかりました。量子電磁気学の基本方程式は、外見上はマクスウェル理論と同じ形をしています。これは、マクスウェル理論を(ゲージ固定などの数学的テクニックを使って)そのまま量子化しても、量子効果が強く現れる短距離領域での振舞いが比較的穏やかで、いわゆる「くりこみの処方箋」によって対処できるからです。ところが、天文学的なスケールで重力場の振舞いを記述しているアインシュタイン方程式は、相互作用項に微分が含まれているため、短距離領域で場が激しく変動するようなケースでは、相互作用の大きさを求める積分が発散してしまい、「くりこみの処方箋」では何ともしがたくなります。くりこみとは、スケールを変えても基本方程式の形が変わらないことを前提とした手法ですから、これが使えないことは、量子重力理論の基本方程式が、アインシュタイン方程式とは全く違うものであることを意味します。「古典的な場の方程式をそのままにして量子化する」という従来のやり方が通用しないことが、量子重力理論を構築する際の最初のハードルでした。 初期の研究者の中には、古典的な重力理論の枠組みを大きく変えずに、くりこみに代わる別の処方箋を開発して、この問題に対処しようとする人もいました。しかし、しだいに、そうした小手先の技法ではなく、より根本的な解決策が必要だと考えられるようになります。その背景には、重力場が他の場と異なった根源的なものだという認識があります。電磁場やクォーク場など通常の量子場は、固定された時間・空間の“内部”にあります。これに対して、重力場は、時空構造そのものを決定する役割を果たしており、それだけ、他の場よりも根源的なものだと言えるでしょう。くりこみの処方は、「短距離極限ではどうなるかわからないが、ある程度以上のスケールならば、理論的予測が可能な実効的理論を作れる」というものであり、これに代わる処方箋も、短距離極限には目をつぶることが多かったのですが、量子重力理論は、そうした暫定的なものではなく、短距離極限でも成り立つ“完全な”理論であることが要求されました。従来の場の理論は、その域にまで達していなかったのですから、理論に対する要求水準は、きわめて高いと言えます。 さらに、理論の構築に当たって、実験データをもとに改良していくという方法が使えません。重力場に関する実験は、等価原理に関するものなど、実験室レベルでもいくつか行われていますが、量子重力理論の候補を選別していくだけのデータを提供してはくれません。将来、加速器でミニ・ブラックホールが造れるようになれば話は別ですが、現時点では、実験・観測データの手がかりのないまま、盲目的に突き進むしかありません。 量子重力理論に関しては、具体的な理論の形もよくわからず、実験データも手助けにならないまま、長距離極限ではアインシュタインの重力理論と一致し、短距離極限でも理論が破綻しないという異様に厳しい要求だけが突きつけられているといった状況です。研究者は、とりあえず思いついた理論をいくつか試しています(例えば、ひもを量子化したときの式が重力場と似ていることをきっかけとして、超ひも理論という量子重力理論の一つの候補が作り上げられました)。しかし、長距離極限の近似であるアインシュタイン理論が数学的にかなり難解な理論であったわけですから、完全な理論であるべき量子重力理論は、それに輪をかけて難解になっています。実験データとすぐに比較できないので、研究者は、こうした理論を数学的にあれこれひねりまわしながら、ブラックホールや初期宇宙に適用し、理論の良し悪しを決定しようとしています。通常の科学研究ならば、半ダース以上の候補理論についてこうした研究を行い、その中から実験・観測のふるいにかけて残るものを選び出すはずですが、量子重力理論は数学的にあまりに難しく、優秀な研究者を消耗するだけなので、それもままなりません。研究がなかなか進まない--順調に進んでいると主張する人も一部にいますが--のは、ある意味で、当然のことなのです。 」
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- tenro
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ご質問の意味がやや不正確であると思いますので補足させていただきます。 相対論は特殊相対性理論と一般相対性理論があり、後者は重力の理論です。 特殊相対論のフレームワークでの量子力学(相対論的量子力学)は1928年にDiracがDirac方程式を考案しそれによって完成されています。その意味で特殊相対性理論と量子力学は統一されているといえます。 量子論的な重力の理論はまだできていませんのでその意味では統一されていません。 さらに詳しく述べると次のようになります。 素粒子の基本的相互作用は、重力相互作用、電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用の4つが知られており、重力以外の3つの相互作用は、相対論的場の量子論のフレームワークでゲージ理論という形で記述されます。これは標準理論といわれます。標準理論では電磁相互作用と弱い相互作用が電弱相互作用として統一されており(ワインバーグ・サラム理論)、実験結果と高い精度で合っています。強い相互作用はカラーSU(3)ゲージ理論で記述されこれも正しいと考えられています。ですので、相互作用の理論としては、重力を記述する一般相対性理論、電弱相互作用を記述するワインバーグ・サラム理論、強い相互作用を記述するカラーSU(3)ゲージ理論の3つがあるわけです。統一されていないのはこの3つの相互作用の理論です。電弱相互作用と強い相互作用の統一理論は大統一理論と呼ばれ、さらに大統一理論と重力が統一されたものを万物の理論と呼んでいます。大統一理論はグラショーなどによって提案されていますが、実験的な確証は得られていません。万物の理論の候補としては、超弦理論やそれを発展させたM理論がありますが、これもまた実験的な確証はありません。 宇宙がビッグバンによって超高温高密度の状態から始まり、膨張して冷えて行き、その過程で自発的な対称性の破れというメカニズムで万物の理論が持つ高い対称性が破れて、より低い対称性を持つ相互作用に分かれていったと考えられています。宇宙の初期は万物の理論の対称性が成り立っており、1つの相互作用で全ての素粒子が相互作用をしており、宇宙誕生後約10^(-44)秒後、宇宙の温度が10^(19)GeVくらいのときに、万物の理論から重力相互作用と大統一理論の相互作用が分かれたと考えられています。ですので、万物の理論を実験的に検証しようとするとこのエネルギースケールでの実験を行わなければなりません。人類が行う最も高いエネルギーの実験は、今年度運転が開始されるCERNのLHCという陽子・陽子加速器での衝突実験で、重心系のエネルギーが7TeV=7×10^(3)GeVです。これは先の10^(19)GeVと比べて約10^(15)倍の差があります。そういう意味で、万物の理論(全ての相互作用の統一理論)を実験的に検証することは困難といえます。物理の理論は実験で検証できなければならないので、これが万物の理論を考える上での最大の困難となっていると思います。 ご質問の回答とはなっていないと思いますが、ご参考まで。
お礼
詳しいご説明をありがとうございます。万物の理論が証明されれば重力理論と量子論もひとつの形式に収まるということでしょうか? いくつか本を読んでいて、ビッグバンのような高エネルギー、高圧縮の状況では、重力理論が破綻し、量子論のみが有効となるというような説明があったように記憶します。それが重力論と量子論が統一されないという内容として記憶に残ったのだと思います。多分私の問いは「ビッグバンではなぜ重力論が破綻するのか?」ということなのだと思います。
- NAZ0001
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簡単に言えば。 量子論はミクロの領域、相対性理論はマクロの領域だからです。
- N64
- ベストアンサー率25% (160/622)
お礼
参考資料をご紹介いただきありがとうございます。 しかし、いささか専門的でした。初心者なもので、十分に理解できず残念です。
お礼
問題点が非常によく分かりました。求めていた答えはこれでした。 ありがとうございます!