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好みの進化について

なんとなく疑問に思ったことです。動物学でいう嗜好性というのは、それを選んだことでその個体に何らかの利益があるというのが前提になっていると思うのですが、(そうじゃなかったらその好みを示す形質が淘汰されないと思うから)人間はどうなんでしょうか?たとえば、人には食べ物に対しての好みがあります。中には、必ずしも人間の生存に適していない(と思われる)食べ物に好みを示す人がいますが、そもそも自然淘汰によって好みが生まれているのであれば、好きなもの=それを選んだら適応度が上がるもののよーな気がするんですが、どうなんでしょうか?人間の好みってどうやって進化してきたんでしょうか?

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  • ruehas
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回答No.5

こんにちは。 「生物学的嗜好性」といいますのは遺伝的・生得的に定められた「本能行動」ですが、「個人の好み・食べ物の好き嫌い」の方は生後学習によって獲得された「学習行動」です。このふたつを一緒にしてしまってはなりません、きっちりと分けて考えて下さい。「学習行動」というのは、進化とは一切関係ありません。 生物学的な嗜好性といいますのは、その動物が与えられた環境の中から必要な栄養を摂取したり、毒物を噛み分けたりするために生得的に定められた「遺伝形質」です。これに対しまして、「偏食」といった「個人の好み」は生後学習によって作られた行動様式であり、後天的な「獲得形質」であります。 このため、生得的な嗜好性といいますのは「全人類に共通」ですが、食べ物の好き嫌いとなりますと、それは生後の個人体験に基づいて作られたものでありますから、こちらにはあれこれと明らかな「個人差」があります。ですから、しばしば生得的な欲求から外れ、食べられるはずの物を食べなかったり、わざわざ苦いものや辛い物を摂ったりといった、場合によっては生物学的な利益に反するような行動が選択されても何の不思議もないわけです。そして、このような生後環境によって後天的に形成された反応や行動は「遺伝形質」ではなく、「獲得形質」でありますので、基本的には進化・淘汰とは一切関係がありません。 我々現代人の食性といいますのはたいへん複雑ですが、これが進化によって獲得されたものであるという形跡はありません。 本能行動と学習行動を識別するためには、あまり正確ではありませんが、その反応や行動の結果に「個人差・個体差」があるかどうかというのがひとつの規準として利用できます。例えば、個人によって好みが違うとか、国や時代によって食事が変わるといったものは全て学習行動です。採れる作物が異なるならばメニューが違いますし、気候が違えば料理の仕方も変わってくるでしょう。何処どこ国の料理は日本人の口に合わないといったようなこともありますが、アレルギーなどを除くならば、同じ人類として食べられないということはあり得ません。 現代人の食性といいますのはたいへん豊かですが、言い換えれば贅沢であり、好き嫌いといいますのはこのような環境によって生み出されたものです。我々のご先祖様が狩猟生活を行なっている頃は、いつ食べ物が口に入るのかは分かりませんから、食べられるものは何でも食べなければならなかったはずです。そして、農耕による定住生活が始まることによって現在に至っているわけですが、その期間は精々一万年です。こんな短い間に進化が起こるなんてことはありませんよね。人類が獲得したのは遺伝的形質ではなく、ご飯を煮炊きするという学習行動様式です。 では、生物学的嗜好性というものが、我々が動物として生命活動を全うするため、生物学的利益に無条件で順ずるものであるならば、食べ物の好き嫌いといった学習行動とはいったい何のためにあるのでしょうか。 生得的な嗜好性といいますのは、その動物が必要とする栄養素と対応し、その機構は進化の過程に遺伝子単位で淘汰されたものです。そして、ここではそれを実現するために、我々の感覚器官はたいへん重要な役割を果たしています。 「味覚」は必要素と毒物を選別するための基本的な器官です。ですが、味覚といいますのは「近感覚」であり、実際に口に入れてみなければ判断を下すことができません。これに対しまして、「臭覚」や「視覚」といいますのは「遠感覚」ですから、環境から餌を見付け出すのに絶大な威力を発揮します。ところが今度は、これでは実際に美味いか不味いか、安全か危険かを判定することはできません。 では、一度「味覚で味わった結果」が学習されるならば、次からは口に入れてみなくても臭覚や視覚によって美味い不味い、安全・危険を事前に判定することができるようになります。もちろん、臭覚や視覚にも生得的に定められた安全・危険といった反応基準はありますが、ここに学習が加わりますならば、餌を獲得するのが俄然と有利になりますよね。これが生物学的利益であり、学習行動といいますのは、生後環境の目まぐるしい変化に柔軟に対応し、本能行動だけでは実現することのできないより価値の高い結果を獲得するためにあります。 では、これは明らかに生後体験から獲得された学習行動ですので、その結果には必ず「個体差」というものが反映します。そして、より多くの学習が積み重ねられ、この個体差がはっきりと現れたものが食べ物の好き嫌いですね。果たして、食事という我々人間の摂食行動は、学習行動の比率が極めて高くなっています。 コアラはユウカリの葉しか食べないと言われていますが、草食類であります以上、それ以外のものが食べられないという理由はないそうです。このような強烈な偏食があるのは、母親が離乳食として自分の子供に未消化の糞を食べさせるからだそうですね。この辺りは古い知識なのでちょっと自信ありませんが、確かそんな話を聞いたことがあります。 では、もしこれが本能行動であるとしますならば、コアラはユウカリの葉に対する嗜好性ではなく、子供に未消化の糞を食べさせるという行動様式を遺伝形質として獲得していることになります。この場合、何でも食べて逞しく生きるということよりも、我が子を確実に成長させる方を生物学的な利益として選択したことになると思います。そして、これが許されたのは、コアラが天敵のいない広大な土地に安定した餌場を提供するオーストラリア大陸の豊かな環境に適応したからです。ですから、コアラというのはのんきで可愛い動物なんでしょうね。

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noname#25799
noname#25799
回答No.6

おそらくですが、苦み受容体の数を減らすことによって食に幅を持たせある種の自然淘汰を乗り切ってきた可能性があります。 人の苦み受容体は他の哺乳類より少なめです。結果、コーヒーやタバコを常用することのできる唯一の動物として進化(?)してきました。苦み=毒というのは概して正しいですが、良薬も口に苦しです。苦みに鈍感になることによって苦みのある物の摂取が容易になり、無用な感染症や抗がん作用の恩恵を知らずに受け生き残ってきたかもしれないのです。人間は他の動物と比べて複雑なことを伝達することができますから、毒味能力の激減はそのあたりでカバーできたと推測されます。苦みに強い子供の方が重たいというデータもあったはずです。 確かに、甘い菓子類ばかり食べる人種がいますね(ここにも?)。木の上のフルーツを食べていた人の祖先には甘味の感知はならないものであったのでしょう。ネズミの実験でも生まれて始めてもらう砂糖水をごくごく飲むそうです。乳児はミルクの甘味に反応しているでしょうから、甘味への感受性がなくなると乳児期をのりきれなくなりそうです。

回答No.4

有胎盤動物では胎児のときに羊水中に母親が食べた物の成分がとけ込み、このことが子供の嗜好に影響を与えるそうです。親が食べて平気な物は食べ物として認識してオーケー、という仕組みです。これがすべてではもちろんありませんが、生まれる前から学習は始まっているということです。

  • Willyt
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回答No.3

人は社会的動物だと言われます。集団の中で生きていますから、その集団には必ずトレンドが生じます。従って好みはそのトレンドに強く影響を受けるのは当然だと言えます。  例えば江戸時代の人達が呑んでいた酒は今では吐き出してしまうほどの超辛口だったそうです。四川省へ行って火鍋をつっつくとこんな辛いものが食えるかというほどの超激辛ですよね。  また、平安時代のお多福、江戸時代の歌磨美人、これ等は私達が美人と認められますかね。

  • ga111
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回答No.2

たとえば、きのこ類はカロリーゼロで、カロリー的にはまったく利益がありません。でも、マツタケなんか、非常に高級な食品です。 ある程度十分に食物が確保できれば、自然淘汰によって好みが生まれているとはいえないのです。これは、進化の中立説(淘汰に関係しないどうでもいいものがメジャーになることもある)で説明できることでしょう。 ただ、あるきのこが、致死的だったりするとそれは危ないという情報が人々のあいだに伝えられ、好みから排除されるでしょう。また、あるきのこが(そういった情報なしに)不妊をもたらすものだったら、そのきのこを好きなヒトの家系は確実に淘汰されます。

  • apachiro
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回答No.1

どこかに書いてあったのですが それぞれの味には 意味があるようです つまり、好き嫌いで考えれば (1)甘い=炭水化物、糖類   これは、人間が常に飢餓状態にあったことから好まれるこtpになります。ですから甘いものをとりたがりますよね (2)しょっぱい=塩分   汗をかくと、塩が外にでますから、それを補うために塩がおいしく感じられます (3)辛い;ショッパーと同じですよね (4)苦い:毒になりますよね (5)すっぱい:中には、腐食したものもあります  このように考えると、味覚によってからだにいいものをとっていますよね。但し、この前提は 食物が無くて、その中で捕食する環境において有効な形質です。(進化は100万年スパン) ですから、今の食過剰の状況ではかえってとりすぎはからだにわるいですよね。