村上春樹『風の歌を聴け』本文の英訳について
村上春樹さんの『風の歌を聴け』の英訳本があります。
訳者はAlfred Brinboumさんという方です。
この方の訳し方についての質問です。
まず、村上さんの原書には
「昼の光に、夜の闇の深さがわかるものか」
とあります。
この文は、普通に考えれば「昼の光(という明るいもの)に、夜の闇(絶望の比ゆ表現)の深さがわかるものか」くらいの意味かと思います。ニーチェの言葉を少しもじったものです。
それで、Brinboumさんの訳だとこれが、
"Are we to know the depth of nihgt by the light of day?"
となっています。
意味がまったく違うんじゃないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
これだと「夜の闇を、昼の光によってわれわれが理解することなどあるだろうか?」
という意味合いになるような気がします。
つまり理解する主語が「われわれ」になってしまっていて、「昼の光」は手段になってしまっています。
完全な誤訳かと。
本書を読んだことがあって英語に詳しい方がいらっしゃいましたら、教えていただければと思います。