フーリエ級数収束定理とリーマン・ルベーグの定理
フーリエ級数収束定理の証明を考えているのですが、ある疑問が出て、証明にたどり着けません。
問題の根本はリーマンルベーグの定理から来るものです。
フーリエ級数収束定理の証明を考えると、、最終的に、以下の式の証明を考えなければならないと分かりました。
lim[n→∞]{∫[-T/2→T/2]{(f(u+t)-f(t))/sin(ωu/2)*sin((n+1/2)ωu}du}=0 (ω=2π/T) …(1)
この証明にリーマンルベーグの定理を用いるのですが、困った事がおきました。
フーリエ級数収束定理とは次のような定理です。
周期Tの周期関数f(t)が「区分的に滑らか」であるとき、f(t)のフーリエ級数代n部分和S[n](t)に関して、次の極限式が成り立つ。
lim[n→∞]{S[n](t)}=f(t) …(2)
(ただし、不連続点では、[右辺]={f(t-0)+f(t+0)}/2)
「区分的に滑らか」と「区分的に連続」の定義は次のようになります。
(※)「区分的に滑らか」…有限個の微分不可点(傾きが急変する点や不連続点)t[k](k=1,2,3,…,n)が存在するもののそれ以外の点では連続かつ有界。また、
tkの近傍(t[k]±0)において、t[k]-0 における左側微分係数(f'-(t[k]-0))及び、t[k]+0 における右側微分係数(f'+(t[k]+0))が存在する。
(微分不可点を除いて、関数とその導関数が有界であれば区分的に滑らかであるといえる。)
(※)「区分的に連続」…有限個の不連続点tkを除いて連続かつ有界。また、tkにおける左側極限値 f(t[k]-0) 及び、右側極限値 f(t[k]+0) が存在する。
lim[n→∞]{∫[-T/2→T/2]{(f(u+t)-f(t))/sin(ωu/2)*sin((n+1/2)ωu}du}=0 ((1)式)
が成り立つことを示すには、リーマン・ルベーグの定理(補題)を使うと思います。このリーマン・ルベーグの定理とは、
関数f(x)が区間[a,b]で、「ある性質」を持つとき、次の極限式が成立する。
・lim[n→∞]{∫[a→b]{f(x)sin(nx)}=0 …(3)
・lim[n→∞]{∫[a→b]{f(x)cos(nx)}=0
という定理です。最終的には、このリーマン・ルベーグの定理(補題)が証明でき、(1)式に応用することができれば良いのではないかという結論に至りました。
リーマン・ルベーグの定理の証明について、いくつかのサイトを参考にしたのですが、f(x)が持つ「ある性質」の部分が統一されておらず、
・区分的に滑らか
・区分的に連続
の2通りの流儀があるようでした。
リーマン・ルベーグの定理の成立条件として「f(x)が区分的に滑らか」を採用した場合、
∫[a→b]{f(x)sin(nx)}=[a→b](1/n)[-f(x)cos(nx)]+∫[a→b](1/n){f'(x)cos(nx)}
から、f(x)及びf'(x)が[a,b]で有界ならば、n→∞としたとき零になり、リーマン・ルベーグの定理が成立することが分かります。
これを(1)式に対して適用します。(3)式のf(x)は、(1)式では、(f(u+t)-f(t))/sin(ωu/2)です。
(f(u+t)-f(t))/sin(ωu/2)=g(u)
とおくと、g(u)およびg'(u)が有界であることを言うことが必要になります。
g(u)=(f(u+t)-f(t))/u*u/sin(ωu/2) , lim[u→0]g(u)=2/ω*f'(t)
より、
[-T/2≦u≦T/2]において、f(t)及びf'(t)が発散しなければ、つまりf(t)が周期T内で「区分的に滑らか」ならば、g(u)は有界であることが言えそうなのです
が、g'(u)が[-T/2≦u≦T/2]で有界になることが自分には証明できませんでした。もし証明できるならば教えてください。
一方で、リーマン・ルベーグの定理の成立条件として「f(x)が区分的に連続」を採用した場合ですが、この定理の証明に
http://tmlaboratory.at-ninja.jp/doc/Riemann-Lebesgue_lemma/node3.html
http://homepage3.nifty.com/rikei-index01/ouyoukaiseki/riemanrubeg.html
を参考にしながら次のように検討しました。
区分的に連続の関数f(x)が閉区間[a,b]で有限個(M個)の不連続点(x=t[k](k=1,2,…,M))を持つとする。
[a,b]内で連続となる区間はM+1個できる。この連続区間を、取りうるxの小さいほうから順にT[k](k=1,2,…,M,M+1)と書く。
各区間T[k]の範囲は、
T[k]:[t[k-1]≦x≦t[k]] (k=1,2,…,M+1) (ただし、t[0]=a,t[M+1]=b)
各連続区間T[k]上の連続関数をf[k](x)(k=1,2,…,M+1)とする。
f(x)は[a,b]で有界だから
|f(x)|≦F , |f[k](x)|≦F …(4)
を満たす実数Fが存在する。
区間T[k]上でf[k](x)に対するリーマン・ルベーグの定理が成り立つことが言えれば、
[a,b]上のf(x)に対するリーマン・ルベーグの定理が成り立つことが言える。
f(x)の任意の連続区間T[k]=[t[k-1],t[k]]をN等分し、T[k]上の分割点を小さい方より、
t[k-1]=x[0]<x[1]<x[2]<…<x[l-1]<x[l]<…<x[N-1]<x[N]=t[k]
とおく。
分割した小区間の長さを⊿xすると
⊿x=x[l]-x[l-1] (l=1,2,…,N)
=(t[k]-t[k-1])/N
すると求める積分は、
∫[t[k-1]→t[k]]{f[k](x)sin(nx)}dx=Σ[l=1,N]{∫[x[l-1]→x[l]]{f[k](x)sin(nx)}dx} …(5)
となる。このときxの範囲は、(x[l-1]≦x≦x[l])である。
(5)式に対し、その大小関係を考えていく。
|∫[t[k-1]→t[k]]{f[k](x)sin(nx)}dx|
≦Σ[l=1,N]{∫[x[l-1]→x[l]]|f[k](x)-f[k](x[l])|・|sin(nx)|dx+|f[k](x[l])|・|∫[x[l-1]→x[l]]{sin(nx)}dx|} …(6)
|sin(nx)|≦1
|f[k](x)|≦F
より
(6式)≦Σ[l=1,N]{∫[x[l-1]→x[l]]|f[k](x)-f[k](x[l])|・1・dx+F|∫[x[l-1]→x[l]]{sin(nx)}dx|}
≦Σ[l=1,N]{∫[x[l-1]→x[l]]|f[k](x)-f[k](x[l])|dx+F/n*(|cos(nx[l-1])|+|cos(nx[l])|)} …(7)
|cos(nx[l-1])|≦1
|cos(nx[l])|≦1
より
(7式)≦Σ[l=1,N]{∫[x[l-1]→x[l]]|f[k](x)-f[k](x[l])|dx+2F/n}
=Σ[l=1,N]{∫[x[l-1]→x[l]]|f[k](x)-f[k](x[l])|dx}+Σ[l=1,N]{2F/n} …(8)
f[k](x)の連続性から
(x[l-1]≦x≦x[l])の範囲のx、及び任意の正の実数εに対して、
|x-x[l]|≦⊿x=x[l]-x[l-1]=(t[k]-t[k-1])/N
ならば
|f[k](x)-f[k](x[l])|≦ε
を満たす⊿xがただ一つ定まる。このとき分割数Nも適切に取る。
(8)式に対し
(8式)≦Σ[l=1,N]{∫[x[l-1]→x[l]]{ε}dx}+2NF/n
=Σ[l=1,N]{ε(x[l]-x[l-1])}+2NF/n
=Nε(x[l]-x[l-1])+2NF/n
=ε(t[k]-t[k-1])+2NF/n
よって
|∫[t[k-1]→t[k]]{f[k](x)sin(nx)}dx|≦ε(t[k]-t[k-1])+2NF/n …(9)
(9)式について
2NF/n≦ε
となるようにnを大きく取れば
|∫[t[k-1]→t[k]]{f[k](x)sin(nx)}dx|≦ε(t[k]-t[k-1])+2NF/n
≦ε(t[k]-t[k-1])+ε
=ε(t[k]-t[k-1]+1)
最終的に
|∫[t[k-1]→t[k]]{f[k](x)sin(nx)}dx|≦ε(t[k]-t[k-1]+1) …(10)
の関係が言える。
参照したサイトでは、εは任意に取ることができるから、n→∞とすればε→0より
lim[n→∞]|∫[t[k-1]→t[k]]{f[k](x)sin(nx)}dx|=0
となり、リーマン・ルベーグの定理が成り立つと結論付けていますがε→0とするとき、
∀ε>0,∀x[l]>0∈T[k],∃⊿x>0 s.t.∀x∈⊿x=x[l]-x[l-1], |x-x[l]|≦⊿x⇒|f[k](x)-f[k](x[l])|≦ε
となるように⊿xを決めているから、ε→0 とするとき同時に ⊿x→0 になり、分割数Nを∞にする必要がでてきます。
結局はn→∞,ε→0としても、⊿x→0,N→∞としなければならず、
2NF/n≦εの関係からlim[n→∞]{2NF/n} (≦ε) は零に収束しないような気がします。
どうすれば答えが導けるでしょうか。
お礼
ごていねいな解説どうもありがとうございました。 おかげでわかりました。 どうも分離的という意味がよく理解できてなかったのが原因でした。