どちらも、これでなければならないという定まった訳はないのではないかと思います。
「本覚」のほうは、一般には「innate enlightenment」あるいは「original enlightenment」などと訳される場合が多いと思います(私は袴谷氏の本覚思想批判論文に対する批判論文でしか英訳を見たことがないのですが、このいずれかが使われていました)。
これに、こちらも一定したものがありませんが、doctorineやthought、teachingなどがつけられています。つまり、The Tendai Teaching of Innate Enlightenmentなどとして使用する、というのが定訳ではないにせよ、一般的だとは言えると思います。
一方の「山川草木~」ですが、これだけでは何とも訳し難いところです。というのは、この語に解釈の幅がありすぎて、立場や論点が明確にならないと翻訳のしようがないからです。
より一般的な表現の「非情成仏」という言葉に置き換えたとしても、「成仏」ということの中身が、非情に仏性というものの存在を認めたうえでの理解とするのか、人間の主観的な意識のありようとして捉えるか、という大きな違いがあります。
ただ仮に、「一色一香無非中道」の延長で天台的に仏性の非情内在を認めたうえでの「非情成仏」とするなら、やはり内容如何ですけれども、梵語を交えて、
「abhisambuddha of inanimate objects」などとするのが、とりあえず誤解を最小限にする訳ではないでしょうか。
お礼
回答いただき、厚く、感謝します。図書館などに聞いても、なかなか、調査中で、明確な回答が得られず、ジレンマに陥っていたので、私も、仏教の専門家でなく、仏教の概念を正確に英語訳することの難しさを痛感していましたので、どれだけ、英語圏の人間に、仏教の用語が伝わるのか、英語と仏教思想の両面に磨きをかけたいと思います。聖書などはきちんと、日本語でいくつもの訳が出ていて、いろいろと聖書について、勉強できるので、仏教思想なども、英訳がいろいろ、出ていると、うれしいです。柳澤桂子さんの生きて死ぬ知恵に般若心経の英訳が出ていましたが、リービ英雄さんの訳と思われますが、貴重なご意見ありがとうございます。