関数空間が重要です。応用数学や物理数学には必須です。
R^n はn個の実数の組<r1,r2, ...., rn> を要素とする集合ですが、関数空間は (適当な制限を満たす)関数の集合です。
いい加減な考え方ですが、<f(r1),f(r2),.....,f(rn)>において、nを無限大にしたもの、と捉えるのでも取りあえず良いでしょう。だからR^nがn次元であるのに対して、関数空間は無限次元です。
R^nに於ける内積は p・q = Σ{i=1~n} (pi qi) ですが、関数空間では内積は(目的に応じて)いろいろ選べます。その内積に対応して様々な関数空間が作れる。最も簡単でよく使う内積は
p・q = ∫ p(t)q(t) dt (ただし積分は t=-∞~∞)
というものです。
R^nにおけるベクトルの足し算は
p+q = <p1+q1, p2+q2,.....,pn+qn>
です。同様に関数空間では
p+q = f (ただしfは任意のtについてf(t) = p(t)+q(t)となる関数)
です。
R^nにおけるベクトルのスカラー倍は
ap = <ap1, ap2,.....,apn>
です。同様に関数空間では
ap = f (ただしfは任意のtについてf(t) = ap(t)となる関数)
です。
R^nの正規直交基底、つまり直交座標系の軸を表す単位ベクトルはたとえば<1,0,....,0>, <0,1,....,0>,...,<0,0,....,1>のn個ですけど、これに限る訳ではなく適当に回転しても良い。2次元の場合<1,0>,<0,1>でなくても<√2/2,√2/2>, <√2/2,-√2/2> でも良い。
要するにn個のベクトル<a1, a2, ..., an>が正規直交基底であるためには、
ai・ai = 1 (i=1,2,...,n)
ai・aj = 0 (i≠jならいつでも)
ということを満たせば良い。
同様に、関数空間の場合の正規直交基底も関数の列<a1,a2,.....>が
ai・ai = 1 (i=1,2,...)
ai・aj = 0 (i≠jならいつでも)
を満たせばよい。でも無限次元ですから、n個(i=1,2,....,n)という訳には行かず、無限個の関数の列が基底になります。このような正規直交基底をなす関数の列を「正規直交関数系」と呼ぶ。チェビシェフの多項式はそのような関数系のひとつです。
また内積を
p・q = ∫ p(t)q(t) dt (ただし積分は t=0~2π)
とすると、これは周期2πの周期関数からなる関数空間で、
<1, sin θ, cos θ,sin 2θ, cos 2θ, .... >はその直交基底です。
直交関数系、関数解析などをキーワードにして教科書を探せばいっぱい見つかります。
お礼
おふたがたとも、詳細な説明ありがとうございました。