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粒子の波動性について
ちょっと確認なんですが例えば電子は波の性質を持っていますがその波というのは 確率の波なんですよね。電子が波打って動いてるわけではないんですよね? それと井戸型ポテンシャルの問題ですがあれで求めた波動関数は ポテンシャルが0の領域に電子を置いた時の位置を確率で表したものなんですか? 今だにしっくりわかっていません。お願いします。
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物理屋の siegmund です. こういう話は直接の専門ではないんですが, 物理屋としての常識の範囲でお答えします. 深入りすると泥沼なんですよね(^^;) > 電子は波の性質を持っていますがその波というのは > 確率の波なんですよね。 brogie さんがコメントされているように, 正確には波動関数の絶対値の二乗が確率を表しています。 確率波か実在波かというのは, これも brogie さんが書かれておられるように昔から論争があります. 確率波だという,いわゆるコペンハーゲン解釈(ボーアやハイゼンベルクによる)が 正統的だとされていますが,完全に解決した問題ではないように思われます. シュレーディンガーやドブロイは実在波的解釈だったようです. > 電子が波打って動いてるわけではないんですよね? そういう解釈はないように思います. 「波打って動いている」という表現自体に位置と運動量を同時に決められるという 古典力学的概念が入っているようです. もう一つの方ですが, > ポテンシャルが0の領域に電子を置いた時 という表現がこれも古典力学から脱却していないように思われます. 時間を含まないシュレーディンガー方程式 (1) Hψ = Eψ を解くのは,定常状態を調べているということです(Umada さんの言われるとおり). 「電子を置く」にもっとも近い状況は,波束状態の電子 (位置と運動量がほぼ決まっているが,もちろん両者の不確定性にはハイゼンベルクの 関係がある) を初期状態として,時間を含むシュレーディンガー方程式 (2) i(h/2π) (∂Ψ/∂t) = HΨ を調べることでしょう. Umada さんが「敢えて言うならば...」と言っておられるのはこういうことに対応します. > t=t0のときにある場所x0に見つかり、 > t=t1の時にx1に見つかったとします。 > そのとき(x1-x0)/(t1-t0)が光速cを超えることってありますか? 「見つかる」は観測をおこなった(波束の収縮が起こる)ということですね. 実在波だとすると,観測の瞬間に波束が収縮するのは, 超光速で物質が移動するから具合が悪い, というのがアインシュタインの指摘でした. 確率波ですと,物質の移動にはなリませんから,光速を越えても大丈夫です. 光速を越えられないのは,物質の移動や,信号の伝達であって, たとえば光の位相速度は光速を超えます(群速度は光速を超えません). この話と深い関係を持っているのが, アインシュタイン‐ポドルスキー‐ローゼン (EPR) のパラドックスと言われるものです. 例えば,2つの電子A,Bが合成スピンゼロにあるとします. スピン関数は (1/√2) (↑↓-↓↑) です. この2電子を非常に遠く離してしまいます. スピン関数はそのままです. それで,Aの電子に対して磁気モーメントを測ってスピンを決定します. 例えばAのスピンが↑とわかったら, 遠く離れたもう1個のB電子のスピンは↓と決まります. Aに対する作用(測定)が超光速でBに影響した,ということになります. 近年,この種の実験がおこなわれて,上の通りであることが示されました. ただし,この超光速は情報の伝達はできないとされています.
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- siegmund
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siegmund です. 波動関数から得られる確率分布を描いた雲のような図がよくあります. 何らかの手段で原子の内部を覗いたとき, 1回の測定でぼやっと見えるというのが実在波解釈で, 1回の測定では粒子的に見えるが何回も測定すると位置がバラバラに見えて 重ね合わせてプロットすれば雲のように見えるというのが確率波解釈です. 位置を特定する測定をするとして, 実在波解釈だと広がっていた粒子が瞬時にその測定された位置に収束してしまう というのが本質的にアインシュタインの指摘です. その場所の電子密度が観測されればいいんですが, 電子の「かけら」は観測されていませんから. 確率波の方でも,無限に小さい時間間隔で観測して場所が有限だけ違うところに 電子が観測されれば,いくらでも速い速度で電子が移動しそうに思えます. ただし,測定には有限の時間Δt が必要で,そのためには測定装置と電子の間に Δt・ΔE ~ (h/2π) という関係をもつ相互作用のエネルギーΔEが必要です. 測定時間を短くしようとすると,大きなエネルギーが必要で電子の状態を乱して 何をみているかわからなくなります. 小さなエネルギーだと測定時間が長くなって, 位置の不確定さが大きくなってしまいます. そういうあたりをちゃんと考えると内部矛盾はないとされています. 量子力学の基礎論はなかなか難しいようです. そういえば,量子力学基礎論の国際会議のシンボルマークに, 半身黒,半身白の猫が使われていました. もちろん,シュレーディンガーの猫です.
お礼
何回もお答えいただきどうもありがとうございました。 不確定性原理のことを忘れていました。量子論の基礎論はやっぱり難しそうですね。しかし基礎論の話をしているといつまでもネタがつきない気もしますね。 どうもお世話になりました。
- Umada
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sotobayasiさん、こんにちは。 まず最初のご質問ですが、おっしゃる通りに波動関数(の自乗)はその場所その場所での粒子の存在確率を表すものです。電子自体が波打っているわけではありません。(少なくとも現在の物理学ではそう考えられています) 次のご質問ですが、井戸型ポテンシャルの問題で求めたのは「定常状態で電子の存在確率はどうなるか」ということです。(固有関数やエネルギー固有値を求めるというのはそういうことです) 井戸型ポテンシャルの問題に限らず「最初にどこに電子を置くか」ということは関係しません。敢えて言うならば、最初に井戸の外に適当に置いたとしても、最終的に井戸の中に電子がはまり込んだ分布に至る、ということです。 「極微の世界では粒子の運動を時々刻々追うことはもはやできなくなる。そこでそれは諦めて、代わりに存在確率で議論する」というのが量子力学の基本的な考え方です。ここが古典力学とのギャップが大きくて面喰らうところですが、「そう解釈すると世の中をうまく説明できる」と割り切るのみです。 (あまり明解な答えでなくてすみません、専門の方からの忌憚ない指摘をお待ちしております)
お礼
どうもありがとうございます。 >井戸型ポテンシャルの問題に限らず「最初にどこに電子を置くか」ということは関係しません。 t=t0のときにある場所x0に見つかり、t=t1の時にx1に見つかったとします。そのとき (x1-x0)/(t1-t0)が光速cを超えることってありますか?
- brogie
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私もそうだと思います。 実験による結果として、テキストなどには次の様に書かれています。 電子波のような物質波はドゥブロイにより、予言され(1924,5年)、ダヴィソン&ジャーマによりニッケルの単結晶で電子線を反射させ干渉縞を得ました(1927年)。その後何人かの人が確認されています。日本人では、菊池正士が雲母の実験をされています。 これによると、電子線は波動と同じような現象が観測されたということで、それが即、水面波のように想像するのは早計かと思われます。 井戸型ポテンシャルの問題ですが、 正確には波動関数の絶対値の二乗が確率を表しています。 歴史的には、波動関数の解釈について、今のような解釈をされるまでにはいろいろ議論されたのではないでしょうか? sotobayasiさんは学生さんでしょうか?物理を専攻されているのでしょうか? では、、、
お礼
どうもありがとうございます。 たまに教科書で本当に波打っているかのように書いてあるので疑問でした。 現在物理学科に在籍しております。
お礼
大変詳しいご説明どうもありがとうございます。 まだ僕は古典的な考えから抜け出せてないんですね(涙)。。 コペンハーゲン解釈は知ってましたが実在波解釈というのは知りませんでした。 >確率波ですと,物質の移動にはなリませんから すいません、これはどういう意味なんでしょうか?実際には移動しているような 気がするんですが。なんか僕勘違いしてます?最後にどうかこれだけお願いします。