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二体の波動関数から電荷密度を求めるには?
量子力学の波動関数から電荷密度を求めるには、一粒子であれば、 q・|φ(x)|^2 ですが、二体の波動関数の場合はφ(x_1,x_2)どうなのでしょうか? 考え出したらわけがわからなくなってしまい困っています。 ボソンとフェルミオンの場合で違うのか、単にスレータ行列式を 一方の粒子の座標だけで、 ∫q・|φ(x_1,x_2)|^2 dx_2 のように積分するのか、 混乱してしまい、はまってしまっております。よろしく お願いいたします。 具体的には、たとえば、調和ポテンシャルあるいは井戸型 ポテンシャルに相互作用の無い二つのフェルミオンあるいは ボソンを投げ入れたときの問題です。 平面波展開で数表示にしてフーリエ変換するのが正しい のでしょうか。
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2粒子の波動関数φ(x_1,x_2)がわかっているとして, 確率密度が |φ(x_1,x_2)|^2 です. 座標 x_1 の粒子のみに注目した存在確率は,x_2 の粒子がどこにいてもよいわけですから (1) ∫|φ(x_1,x_2)|^2 dx_2 でOKです. 粒子に注目しないのでしたら,x_2 の粒子がいる確率密度も加えないといけません. 相互作用のない2粒子系だというなら, 空間座標の直交規格化波動関数をψ1,ψ2 として(ψ1≠ψ2) (2) φ(x1,x2) = 1/√2 {ψ1(x1)ψ2(x2) ± ψ2(x1)ψ2(x1)} がパウリ原理を満たす波動関数です. ψ1(x1) は1番目の粒子が波動関数ψ1を持っていることを表しています. ボソンに対しては,複号は+. フェルミオンに対しては, スピン関数が |↑↑>,|↓↓>,(1/√2)(|↑↓> + |↓↑>) のとき (すなわち合成スピンが1のとき)は複号が-, スピン関数が (1/√2)(|↑↓> - |↓↑>) のとき(合成スピンが0)は 複号が+です. |φ|^2 を(2)から計算しますと,4つの項が出ます. |ψ1(x1)|^2 |ψ2(x2)|^2 のタイプの項2つと ψ1(x1) ψ2(x2) ψ2(x1)* ψ1(x2)* のタイプ(cross terms)の項2つです. (1)の積分をやるときに,cross terms は直交規格化波動関数の性質から ゼロになります. したがって,残るのは第1のタイプの項だけで (3) ∫|φ(x_1,x_2)|^2 dx_2 = (1/2) {|ψ1(x1)|^2 + |ψ2(x1)|^2} になります. 粒子2が今注目している場所にいる場合も考慮しないといけませんが, 計算は(3)を導くのと全く平行です. 結局,粒子密度は (4) {|ψ1(x)|^2 + |ψ2(x)|^2} で,これが motsuan さんの結果です. なお,ボソン2個,あるいは合成スピン0のフェルミオン2個が同じ状態ψ1なら, (2)が (2') φ(x1,x2) = ψ1(x1)ψ1(x2) となり,同様の計算で(4)で ψ2=ψ1 としたものになります. 直感的には,相互作用がない2粒子なのですから, 相手にお構いなくそれぞれの粒子が注目した場所にいる確率密度を考えればよいわけで, (4)はちょうどそれになっています. > ただ、非常に不思議なのは、お答えにスレータ行列式を代入すると、 > ボソンでもフェルミオンでも全く同じ空間分布となってしまいます。 > そういうものなのでしょうか? そういうものです. 疑問は,相互作用のないボソン系でもボーズ凝縮が起きる, あるいは理想フェルミ気体と理想ボーズ気体とでは圧力が異なる, などの点との関連でしょうか? これらはいずれも統計力学が関与した話で, 同じ状態(含スピン)に1個しか入れないか(フェルミオン),何個でも入れるか(ボソン), が分配関数に影響するために出てきます. 分配関数の計算には,あらゆる状態に関する和があることに注意してください. 今の話は,状態2つを決めた話です. なお,粒子間に相互作用があってそれを摂動で扱うなどの場合は cross terms が効いてきて複号がどちらかが重要な意味を持ってきます.
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- motsuan
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よくわからないでのすが、しかも、遅い反応ですが、なかなか回答がつかないので。 電荷をある場所に見出す確率という意味であれば 2つの座標で書かれているので 座標x1,x2(スピンも含む)に電子を見出す確率P(x1,x2)=|φ(x1,x2)|が決まって いるのであれば Σ{x2についての和}P(x,x2)+Σ{x1についての和}P(x1,x)-P(x,x) として重複を取り除けばよいような気がしますが粒子を入れ替えても 確率密度では区別できないので(それはφ(x1,x2)の対称性にすでに含まれているので) 最後の項-P(x,x)はいらないような気もします そこでフォック空間で考えて 座標x,x1,x2(スピンも含む)に対する基底をとって状態を |φ> = Σ{x1,x2の和}φ(x1,x2)a_{x1}^{+} a_{x2}^{+}|0> と表し(φ(x1,x2)は適当な規格化係数) <φ|a_x^{+} a_x|φ> を計算すれると予想したとおり Σ{x2についての和}P(x,x2)+Σ{x1についての和}P(x1,x) となってしまいました。本当でしょうか?
お礼
ありがとうございます。専門家の方から答が返ってきまして大変うれしいです。 今後ともよろしくお願いいたします。 一瞬、フォック空間という単語にたじろいでしまいましたが、数表示のような ものなのですね。 質問を投稿してから自分でも必死に考えまして、二つのスピン<1|, <2| の磁化 (あるいはS_z)の値を求めるときの話のアナロジーを考えてある程度納得できました。 ただ、非常に不思議なのは、お答えにスレータ行列式を代入すると、 ボソンでもフェルミオンでも全く同じ空間分布となってしまいます。 そういうものなのでしょうか? 自分としては、ボソンの方が、中心に片寄った電荷分布が出て来ることを 勝手に期待したのですが、、、、。
お礼
詳しいご説明を大変ありがとうございます。まず、特定の系(特定の外場) だけではなく、一般的にフェルミオンとボソンで同じになることがよく わかりました。 ただ、フェルミオンとボソンで差が出ないのが不思議、と私が申しま したのは、有限温度(=統計力学)の話からの類推ではありませんで、 具体的には、よく、入門の教科書にポンチ絵が載っている、水素分子イオン の結合軌道と反結合軌道の絵なのです。あの絵は、結合軌道の方が、 中心部分に集まって描かれています。 (ただし、H_2^+ですから一体問題ですが) これが頭にあったので、スレータ行列の符号が変われば、電荷密度分布 も変わるかなあ、と思ってしまったんですが、、変わらないのですね。 これからも何卒よろしくお願いいたします。