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アメリカの今の生活とピューリタニズム
ピューリタンの信条などの要素(参考書にはelements of Puritanism)が今のアメリカの生活にもいくつか存在している。と参考書は語っているのですが・・。 実際にアメリカで生活をしていない私にはどんなところでそれが言えるのかがよくわからないのです。 できれば簡単な例や説明をしていただけるとうれしいです。今までアメリカの生活という点では考えたことが無い(実際に生活していないしね)ので、まったく見当が付きません。 どなたか力を貸していただけませんか?
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ピューリタニズム自体がかなり幅広い概念なので、その参考書にどのように定義されていたのかよくわからないのですが、とりあえず、 1. カルヴァン主義の流れを汲むもので、人間は罪深い存在であると考え、神が定めた「えらばれしもの」が救済される。人は自分がそうであるかどうか知ることはできないけれど、「救いのたしかさ」を自分のものにするために、ひたすら職業労働に励む。 2. 自己修養と内省を重視し、快楽を戒める。 3. 神に選ばれたものとなるよう、社会の悪と闘い、教会に忠誠を尽くし、新世界にキリスト教社会を実現するための困難を引き受けることをみずからの指命とする。 とまとめてみたいと思います。 1.はたとえば、こんなところに残っているといえないでしょうか。 アメリカの雑誌「フォーブス」は、毎年、アメリカ国内の長者番付を発表します。 その背景には、金持ちは努力家で優れた人間である、という思想がある。それに対して、貧しい者は怠惰で劣った人間だと考える。そのため金があるというだけで尊敬を集め、貧困者は冷遇され同情されない。 こういう考え方は普遍的ということもできるのですが、やはりアメリカではそれが極端だし、富と倫理がほかの国ではないような形で結びついているような気がします。 2.の快楽の戒めは、たとえばこんなところに残っています。 アメリカではアルコール類を買った時、かならず紙袋に入れてくれる。アルコール類を買うことは、罪深いことなんです。 もちろん、ピクニックなど、屋外の公共の場でアルコールを口にすることも違法です。 1920年代の禁酒法が有名ですが、それがなくなった後も、アルコール類に対する取り締まりは厳しいですし、人前で酔態を見せることに対しては、非常に疎んじられます。 映画でも、茶色い紙袋を口にあてて、飲んでいるような仕草をしている人がたまに出てきますが、あれはアルコールであることを暗に示しているわけです。 あるいはTVや映画などでも、放送コードは日本よりはるかに厳しいです。 映画「レオン」でも、レオンとマチルダが互いに引かれていくシーンが「性的に問題がある」と非難されてアメリカ公開時にカットされたことは「完全版」が出た時にずいぶん話題になっていましたね。 3.に関しては、イラクへの態度にも現れているのではないでしょうか。 ほかにも、妊娠中絶に対する、容認する医師さえも射殺するほどの激しい反対運動や、ホモセクシュアルに対する嫌悪感など、厳密にいうと、アメリカの保守主義、また福音主義運動とピューリタニズムは分ける必要があるのですが、やはり根本にはそうしたピューリタニズムがいまに生きていると考えてよいのではないでしょうか。