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ボイル温度と圧縮因子

物質のボイル温度の違いにより圧力因子の圧力依存性がどのように異なると考えられるか説明しなさい。 お願いします。

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  • jamf0421
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回答No.1

圧力因子とは通常圧縮因子と呼ばれるものでしょうか。これはZ=PV/RTで Z=PV/RT=1+B'P+C'P^2+...(i) と展開されます。ここでVはモル体積です。(i)はPで展開していますが、1/Vで展開するときには係数はB、Cと書かれます。 このZの圧力依存性は、多くの気体では数十から二百気圧程度までは1から小さくなって行き、極小値を過ぎるとZは反転増大し、1にもどり、さらに高圧にすると、そのまま直線的に大きくなります。 はじめのZの減少は分子間の弱い引力により、圧縮しやすい状態であることの反映です。あとの直線的増大は加圧がさらに大きくなって分子間が近づいた時の反発力の効果です。 さてB'(T)=0であるときの温度TbがBoyle温度です。(i)であとに続くC以下の項は高次項で、B'(Tb)=0であると、気体は広範囲のPにわたってZ=PV/RT=1、即ち理想気体に類似のふるまいをしてくれます。 単にB'(T)と書いているだけではBoyle温度が違った時の差はわからないので、van der Waalsの状態方程式の場合について考えます。van der Waals式は (P+a/V^2)(V-b)=RT...(ii) P=RT/(V-b)-a/V^2...(iii) です。この状態方程式は、臨界温度以下ならVを変化させるとPに極大と極小を生じ、臨界温度で極大と極小が一致し、ここが変曲点になります。臨界点での条件は、dP/dV=0, d^2P/dV^2=0です。(iii)にこれらの条件をつかうと Vc=3b...(iv) Pc=a/27b^2...(v) Tc=8a/27Rb...(vi) となります。また臨界状態では Zc=PcVc/RTc=3/8=0.375...(vii) となります。 さてある状態(P, V, T)の気体について、その気体の(Pc, Vc, Tc)を使って換算変数を以下のように定めます。 Pr=P/Pc...(viii) Vr=V/Vc...(ix) Tr=T/Tc...(x) van der Waalsは、この換算変数についてはすべての気体は同じ状態方程式を持つ、と提案しました。換算変数をつかってPrに対してZ=PV/RTをプロットすると、同じTrについては気体の種類によらず同じZのPr圧依存性の線に乗ります。 ここでvan der Waals式の第二ビリアル係数Bを評価します。(ii)より P+a/V^2=RT/(V-b)=RT/(V(1-b/V))≒(RT/V)(1+b/V)...(xi) 即ち P≒RT/V+bRT/V^2-a/V^2 PV/RT≒1+(b-a/RT)/V...(xii) となります。これによりvan der Waals気体ではB=b-a/RTとわかります。一方、証明は省略しますがB'=B/RTでありますので、B'=0はB=0に対応します。即ちB=b-a/RT=0ですから Tb=a/bR...(xiii) となります。(xiii)と(vi)を比べるとTbは臨界温度Tcで表すことができて Tb=(27/8)Tc=3.375Tc...(xiv) となります。すなわち、ある気体のBoyle温度はその気体の臨界温度と(xiv)の形で結びつけられます。 選ばれた温度TがTcの3.375倍に近いならばBoyle温度に近く、ZのPr依存性は、一度下がって再びあがるのではなく、ZはPrを変化させても1に近い値を維持します。 ある温度Tで考えた場合、臨界温度が低いもの(Heとか水素とか)であれば、T/Tcが大きくBoyle温度に近くてZのPr依存性が1に近い線になります。臨界温度が高いもの(水とか炭化水素とか)であれば、同じ温度でもT/Tcが小さく、ZのPr依存性は一度1より下がって、再び上がるものなります。