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双子座のアルファ星カストルは2等星の筈
以前、同じ質問をした者です。出版社にも電話して誤りを指摘しましたが、天文年鑑2016年版も毎月の空のページでは、カストルを一等星として記載しています。訂正しないと、明らかに誤解を生みます。皆さんの御見解を賜りたく、よろしくお願いします。
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ご指摘の通り、カストルの光度(重星なので合成光度)は1.58等とされていますので、この数値によれば2等星です。手持ちの天文年鑑の「毎月の空」を調べて見たところ、持っている中で最も古い1956年版以来2008年版までは2等星の記号ですが、2009年版以降1等星の記号になっています。ただし、「主な恒星」の一覧表では実視等級1.58等となっていますし、巻末の「星図」では2等星の記号となっています。また「星座」の項目でも「ふたご座」の1等星の数は1個となっています。 一方で同じ出版社から出ている「藤井旭の天文年鑑」の「○月の星空ガイド」の星図でも2010・11年版では2等星の記号ですが、2013年版では1等星のポルックスと同様に光芒が伸びた記号になっています。(ポルックスより星の丸の大きさは小さく何とも微妙です。また2012年版がどちらかは不明) ところで、このカストルの光度について天文学者石田五郎氏の「星の歳時記」(ちくま文庫1991年10月)には以下の興味深い記述がありました。(以下引用) 「双子座」で猫の目のように二つ並んだ輝星のうち、兄「カストル」は弟「ポルックス」よりやや暗い。 普通に星を何等星とよぶには詳しく測った光度等級のコンマ以下を四捨五入し、1.20等のポルックスは1等星、1.58等のカストルは2等星と分類するのが常である。しかし近代の標準測光の結果ではカストルは1.47等で、兄弟とも1等星とする人情論の方が一応正しいようである。(引用終わり) 天文年鑑の「毎月の空」の変更の理由がこのことと関係があるのかどうかはわかりません。仮に関係があるのなら、そう明示してほしいと思います。(他の部分との記述の矛盾も解決する必要があるでしょう) ただ、こうした最近の光度測定とは別に、カストルとポルックスの明るさが長い年月の間に変化したのではないかということが昔から指摘されています。「新天文学講座 1 星座」(恒星社厚生閣 昭和32年5月初版)には以下のように書かれていました。(以下引用) さらに有名な例は、ふたご座のカストールとポルックスである。 アラビアの天文学者アブール・ハッサン・アリは622年に、カストールを3等、ポルックスを4等としている。同アル・ズーフィは10世紀に、両星とも2等としている。 バイエルは1603年、カストールをα、ポルックスをβと命名した。後のフラムスティードはαを1等、βを2等とし、またラカイユではαは1-2,βは2-3である。 W・ハーシェルは、βを増光する星として、大英百科全書第3版、第2巻の Alpha and Beta Geminorum の項に、"もしこれら2星が明るさを変えたとすれば、それは恐らくβであろう。即ち、1783、84、85を通じてβは明らかにαより明るかったからだ"と書いている。 ゴータのド・ツアッハ男爵は、1787-90の観察から、βを1-2、αは2-0と書いている。 J・ハーシェルは、βを2.35、αを2.0と記している。現在ではβは1.2、αは1.6である。(理科年表) こうしてβ(ポルックス)が少くもバイエル以来αをしのぐ明るさとなったことは疑いないと考えられている。(野尻抱影 歴史的に見た古星図 引用終わり) 星の光度を決定する方法は昔は目視によるものであり、現代の電子的な測光のような精度はないので、本当にカストルの方がポルックスより明るかったか否かについては何とも言えませんが、少なくともカストルが1等星とされた時代が昔にあったことは確かなようです。兄弟星の光度問題(?)は奥が深いと思います。
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- staratras
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No.4です。少し補足します。 石田五郎氏の「星の歳時記」は元々は昭和30年代初めに朝日新聞の学芸欄に連載されていたもので、引用した「カストル」は、縮刷版で確認したところ昭和32年2月28日(木曜日)の紙面に掲載されていました。今から60年近く昔の1957年には、現在と同じく1.58等→2等星だとする理解が広まっていた一方で、これとは別に1.47等→1等星という考え方もあったことがわかります。 なお「理科年表」の創刊号(大正14年=1925年版)の「主ナ恒星」でも、カストルは1.6等、ポルックスは1.2等となっていました。 さらに古いところではインターネットのアーカイブスサイトでプトレマイオスの星表の英語版を閲覧したところ、カストルもポルックスも2等星となっていました。(Ptolemy's cataloque of stars; a revision of the Almagest by Christian Heinrich Friedrich Peters and Edward Ball Knobel )
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ありがとうございます。即ち、カストルは、明らかに2等星ですね。天文年鑑の毎月の空の表記は誤りです。
- kyo-mogu
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http://www.city.himeji.hyogo.jp/hoshinoko/kansoku/houkoku/star/index_w.html このページを見ると、間違いでも無い感じですね。 数値的には一等星。でも、四捨五入すると2等星という感じです。 今は二等星という扱いですが、昔は両方とも一等星としていたときも有ったと記憶しております。
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ありがとうございます。1.50等級以下の明るさの星は少なくとも1等星ではありません。従って、1.58或いは1.59等級のカストルは、明らかに2等星です。
- nananotanu
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出版社はあくまで原稿を纏めるだけ、だから執筆者に意図を聞かないと、理由も解らないし、訂正もできないんじゃないですかね?恒星の担当は誰だっけ?今手元に無いけど。
お礼
ありがとうございます。以前は、キチンとカストルを2等星として記載していました。どうしてわざわざ誤った方向に訂正したのか、理解に苦しみます。
確かにα星カストルは2等星です・・ しかし 天文学を勉強する人で無いと それが1等星だろーと2等星だろーと 殆ど関係ない・・ そして 天文学を勉強してる人はα星カストルは2等星として勉強します・・ 間違いがあっても支障は無い・・
お礼
ありがとうございます。確かに基礎中の基礎なので、普通の人なら気付きます。但し、小学生も読むと思いますから、間違って記憶されない様にしないと。理科のテストで出題されるかもしれません。
お礼
ありがとうございます。素晴らしい御見解ですね。但し、何れにしてもカストルは、2等星ですから、明らかに天文年鑑の毎月の空の表記は誤りです。