この意図重視論者(以下意図派)と機能重視論者(以下機能派)は主にナチズムやヒトラーをめぐる論争のなかで登場してきました。
そのため、ヒトラーの例を使って説明します。
意図派とは、「第三帝国の政治が何よりもまずヒトラー自身の計画的な意図によって説明しうる」という考え方です。
つまり意図派は、ナチが権力を掌握した1933年以降の歴史を、ヒトラーが『我が闘争』で描いたプログラムを実行に移す過程と捉えます。
それに対して、機能派とは、「第一にナチ支配体制におけるこの独裁者の位置・役割から第三帝国の政治を規定する」考え方です。
つまり機能派は、ヒトラーのプログラムが首尾一貫して実行されたとは考えず、ヒトラーの行動も、ナチの支配機構のなかで様々な制約を受け、条件付けられていたとみなします。
簡単に言えば、意図派はヒトラーを「強い独裁者」、機能派は「弱い独裁者」と解釈します。
もっとも最近は、意図派と機能派という二項対立的な見方を乗り越えて、両者を総合化する研究が進んでいます。
詳しくは、次に挙げる本をご覧ください。
イアン・カーショー著、石田勇治訳『ヒトラー:権力の本質』白水社、1999年。
意図派と機能派については特に19-20頁を参照。
お礼
ありがとうございました。今度プレゼンテーションで説明しなければらなかったので助かりました。