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分子量が大きいものほど、引火点が高いのか?
危険物取扱者の問題で、「分子量が大きいものほど、引火点が低い。」というのがあり、誤りだとはわかったのですが、その理屈がわかりません。なぜ、分子量が大きいものほど、引火点が低いのでしょうか? また、逆に、「分子量が大きいものほど、引火点が高い。」と言い切れるのでしょうか? 化学に精通された方、アドバイスをよろしくお願いいたします。
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>分子量が大きい=蒸発しにくい、ということですね? 蒸発しにくいから引火するのに十分な蒸気が発生しにくい⇨引火しにくくなる、というわけですね。 という事に関して、念のために捕捉させて頂きます。 その考えでおおむね間違いでは無いのですが、それはあくまでも炭素と水素のみから成る炭化水素同士とか、炭素差の一端に水酸基が1個だけ付いたモノアルコール類同士などといった"同類の化学物質同士"を比較する場合において成り立つ話です。 ですから、異なる種類の物質同士の間では、その関係が必ずしも成り立たない場合もあります。 例えば、ヘキサンの分子量は86.18であるのに対し、エタノールの分子量は46.07ですから、ヘキサンの方が分子量が大きい事になりますが、ヘキサンは沸点が69℃、引火点が-23℃であるのに対し、 エタノールは沸点が78℃、引火点が+13℃なのですから、分子量が大きなヘキサンの方が蒸発しやすく、且つ引火点も低くなっています。 これはアルコールの場合、分子中に含まれている水酸基の働きで分子同士の間に水素結合が生じて、多数の分子が弱いながらも結合している事により、見かけの分子量が何倍にも増しているからです。 回答No.1様が >燃料油の中だけで成立する話です。 と仰っておられるのは、燃料油の場合、燃料油の成分は炭化水素という同類の化学物質の割合が多いため、同類の物質同士で比べた場合とほぼ同じと見做せるので、「分子量が大きなものほど、引火点が高い」という関係が成り立っているという事を仰っておられる訳です。 又、同じ炭化水素同士であっても、イソオクタン(2,2,4-トリメチルペンタン)は分子量が114.23、沸点が99℃、引火点が-12℃であるのに対し、分子量が100.12のノルマルヘプタンは沸点が98℃、引火点が-4℃です。 これは、ノルマルヘプタン分子の炭素鎖が直線状であるのに対し、イソオクタン分子の炭素鎖は枝分かれが多いため、その枝の部分が邪魔になって、枝の先が他の分子と接するほど近寄っても、分子の大半の部分は他の分子との間の距離があまり近くにはならず、距離が遠い分だけ分子間力が弱くなるため、分子量の小さなノルマルヘプタンと比べて余り沸点が高くはならない訳です。 これが回答No.2仰っておられる >直鎖上の炭化水素では直鎖上のほうが物質間の距離が近くファンデルワールス力がつよくなり、分子量が大きいほど表面積も増えるので結びつく力が強くなります。なので分子量が大きいほど表面積が増え、沸点融点が高くなります。 という事なのです。 尚、沸点が同程度であっても、-12℃とか-4℃といった沸点とは異なる温度においてまで、蒸発のしやすさ(蒸気圧)が同程度になるとは限りませんから、引火点が異なる事もあり得ます。 ですから、アルコール類と炭化水素の類と言った異なる類の物質同士で比べる場合にまで、分子量の大きなものほど蒸発し難く、引火点も高くなるとは考えない様にして下さい。
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- phosphole
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他の方のご回答をちゃんと理解されていないようです。 油が燃える際は、液体の油ではなくて、蒸発して液体の表面上に溜まった気体の油に最初に火がつきます。分子量が大きいということは、分子間力が強くなり(これが分子の表面積に関連する)、沸点が高くなり、蒸発しにくくなります。結果、着火の準備状態である、油が気化して酸素と混じった状態になりにくくなります。結果、火がつきにくくなります。
お礼
わかりました。分子量が大きい=蒸発しにくい、ということですね? 蒸発しにくいから引火するのに十分な蒸気が発生しにくい⇨引火しにくくなる、というわけですね。ようやく理解できました。ありがとうございました。
- itaitatk
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直鎖上の炭化水素では直鎖上のほうが物質間の距離が近くファンデルワールス力がつよくなり、分子量が大きいほど表面積も増えるので結びつく力が強くなります。なので分子量が大きいほど表面積が増え、沸点融点が高くなります。なので引火点も高くなります
お礼
そうですか。表面積も大きくなるからですか。なるほど、そういう関係から引火点も高くなるわけですね。ありがとうございました。
- trytobe
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危険物でも、乙4のような「ガソリン」「灯油」などの燃料油の中だけで成立する話です。 1つの分子が炭素と水素だけでできていて、その数が多い=分子量が大きいものほど、分子が空中に飛び出すのにエネルギーが要る=揮発しにくいので、温度も高くならないと引火する限界までたどりつかない、 という傾向が、「燃料油のような炭化水素のみの間では成り立つ」というだけです。
お礼
なるほど、炭化水素だけですか。危険物の第4類では、そのように考えていいわけですね。非常に明解なご回答をありがとうございました。
お礼
見かけの分子量が増す、というのは面白いですね。そういうことがあるんですね。申し訳ありませんが、内容が専門的すぎて大半は理解不足の可能性がありますが、この内容が理解できるよう、さらに学習を進めたいと思います。ありがとうございました。