借地上の建物収去
借地上の建物収去について (文書がずいぶん長くなりましたがよろしくお願いします)
1.事案の概要
(1)昭和30年,私は,T氏に土地を賃貸し,建物所有を目的とする借地契約を締結した。
(2)T氏は,本件土地に建物(未登記)を建築し居住した。
(3)契約期間は当初7年間とし,その後賃料協議が調えば3年ごとに更新する内容で,それ以降,平成18年頃まで,私とT氏とで覚書を交換し契約を更新した。
(4)平成18年,T氏の死亡が判明し,同居の息子S氏と賃料協議を行い契約更新した。
(5)しかし,S氏の賃料が滞納しがちとなり,平成19年には連絡がつかなくなくなった。
(6)平成21年,私は,賃料滞納に伴い契約を解除する旨の内容証明郵便を送達した。
(7)その後,私は,定期的にS氏を訪問し,郵便箱に督促文書を置く対応を継続した。
(8)平成23年,私は本件建物を収去する必要があると判断し,まずは,S氏の親族を捜す必要があるため,故T氏の戸籍調査を司法書士に依頼したところ,故T氏には,配偶者(故T氏の妻)は亡くなっていたが,S氏(S氏に子供はない)の他にR氏(S氏の姉)が存命し,居住地が判明した。
この調査で,S氏の住民票は,平成23年3月に職権で消除されていた。
(9)今後,C社は,R氏に連絡をとり協議する予定である。
(10)本件建物は,相当老朽化し,利用されて気配は全くない。敷地内に大木があり,隣接道路にはみ出るような状況であり,以前警察から対応を求められ,S氏に連絡がとれないため,私の判断で必要最小限の枝打ちをしたことがある。また,錆びついた自動販売機などが置かれている。
2.相談事項
(1)権利関係について
●借地権(土地)
他社の質問箱等では,「借地権の相続が発生しているので,S氏とR氏との共有になっている。遺産分割協議が必要である。」等の回答でした。
私としては,借地契約はS氏との間で更新契約を締結したので,R氏は当事者ではないという認識でしたが,先の回答から推測すると「T氏の死亡により,S氏・R氏に借地権の相続が発生したが,借地契約はS氏と更新契約を締結したので,賃料の支払義務はあくまでS氏にあるが,借地契約の解除に伴う当事者は,S氏・R氏であることから,解除通知はあらためてS氏・R氏に行う必要がある。」という理解でよいでしょうか。
●建物(所有権)
建物は未登記であるが,他社の質問箱等では「建物所有権についても上と同様で遺産分割協議の有無により単独所有か共有かが異なり,居住実態は関係ない。」ということでした。
この遺産分割協議をするには,不在者財産管理人の選任が必要となるのでしょうか。
●土地所有者責任
本件建物は,相当老朽化しているなど,このまま放置するのは危険です。
このまま放置しておくと私は何か責任がでてきますか?
(2)建物収去手続について
●R氏から収去に係る協力を得られた場合
例えば,不在者財産管理人を選任(費用は別途相談)し,私,当該管理人およびR氏の協議で,私は建物を収去することができるでしょうか(取壊費用はR氏の協力と引換えに最終的には私の負担となるのはやむを得ないと思っています)。
●R氏から協力を得られなかった場合
例えば,私がS氏の不在者財産管理人の選任したうえで,R氏に建物所有権がないとする証明書「相続分がないことの証明書」を受領すれば,当該財産管理人のみ との協議で建物収去を行うことができるのか。
(3)訴訟(建物収去手続)
●被告
訴訟手続(建物収去・土地明渡し)を講じるときは,私は誰を訴えることになるのでしょうか。
上記の (2)(1)(2)で変わるのでしょうか。
また,そもそも,不在者財産管理人を選任する必要はなく,また,事前に遺産協議を調えさせるのも地主としてはばからしいので,S氏・R氏を訴えて,R氏がその訴訟から離脱したいのであればそれはR氏に任せるという考えもあると思いますがいかがでしょうか。
●訴訟手続以外による進め方
訴訟手続はドライですが,最終的な建物取壊しにあたっては,執行文をもらう必要がありますし,現地立会,相当発生する不要物等,さまざまな諸雑用が考えられますので,どっちみち私が取壊費用等負担せざるを得ないのでしょうから,何とか,任意協議で解決できる方がよいと思いますが,何かよい方法はないでしょうか。
それとも,将来問題が発生した際にメリットがあるなどの理由で,むしろ訴訟手続による方がよいのでしょうか。
(3)取壊し
建物を取壊す場合は,判決書とは別に,執行文が必要になると思いますがいかがでしょうか。
執行文というものはすぐ出てくるんでしょうか。
そうなると,最終的に判決が出て,建物取壊しが完了するのはどの程度の期間が必要になるのでしょうか。