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絵画の修復に和紙が使われる理由は?
以前テレビで絵画の修復に和紙を使っていました。 和紙の薄さと強さが修復に向いているということをうっすらと覚えていますが、その理由を詳しく、また他の理由もあれば教えてください。 また、和紙以外の紙よりも優れている点などありましたら教えてください。
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1)薄い(今では薄いものは0.02mm) 2)中性~ごく弱いアルカリ性で、 ・絵画や木像など元の材質を侵すことがない ・数百年単位の長期間、強度を残している 3)比較的長い繊維を含む構成で、西洋紙に比べると構造的隙間が大きい ・重ねても下の絵や字が透けて見える ・接着剤など液の馴染みが良い ・若干の伸縮性があり、曲面に沿わせることもできる ・曲げても破れにくい といったところです。 和紙は昔から書物や仏像などの修復に用いられてきました。 今でこそ西洋紙も中性のものが増えていますが、西洋の書物や絵画が一気にボロボロになってきた時期の西洋紙は弱酸性で(まさにそれが理由で経年によって強度が一気に低下するのですが)、補修しても「次の数百年」には耐えられない事が明らかでした。そこで、中性で薄さや強さを兼ね備えていた和紙を用いる事がスタンダードとなってきた経緯があります。 さらに、「和紙が最上」とする修復業界の期待に応えるべく、更に薄くて使い勝手の良い物を作り出す事に挑戦し続けきたという職人のこだわりも忘れてはいけません。和紙も要望に応じて進化を続けてきたのです。 そういえば日本のお札も「和紙」ですね。濡れたりしても、海外の札よりもボロボロになりにくいです。
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- Postizos
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詳しくないので検索して調べてみました。以下はほぼ受け売りと思ってください。(出所はリンクしておきます)。 日本の絵とか書に使われているのは昔から中国画仙紙か和紙(又は絹本)で、それを和紙で直すのは当たり前と思いますが。その場合たいていは一度剥がして(軸、巻物、屏風、額どれも剥がせます。和本は袋とじなので裏打ちが可能です。)裏から修復するのがまあ常套手段です。 http://www.wahon-nakamura.com/technique/ しかし表から貼る場合もある、特に西洋の本の場合はそうするしかないわけです。その場合にものすごく薄くて透けて見える紙となると和紙が最適らしいですね。 http://www.tesukiwashi.jp/p/arekore11.htm http://www.hidakawashi.com/ 和紙は木(こうぞ、みつまた、がんぴ)をほぐして繊維が長いまま漉いて紙にします。ですから折り曲げても切れにくいのです。その反面繊維同士をくっつけているのは水溶性の糊のような成分ですから濡れると簡単に破れてしまいます。和紙を手で破ると破れ目の所は繊維が出てぼそぼそした感じになっているのがわかります。 洋紙にももちろん手すきの時代はありましたが、洋紙は麻や木綿を使い、薄い紙を作るのが難しいようです。 http://www.npobook.join-us.jp/report/vol_25/index.html http://www.hm2.aitai.ne.jp/~row/aboutwashi/youshi.html 洋紙は古くは木綿や麻、近代では木材パルプという木材を機械で粉にした物で作りますから繊維が短い。洋紙は元々は酸性だったわけではないのですが、機械生産に移ってからは酸性紙が主流だった時代があります。洋紙が宿命的に酸性というわけではなく、今画材屋で売っているような紙は中性紙と考えて良いです。(トレーシングペーパーは酸性ですが)。 もうひとつ近代の洋紙は黄ばみの原因であるリグニンが多いというのもマイナス面です。 しかし和紙と称している商品にもパルプが使われた物があるそうなので注意が必要です。特に今の障子紙は「和紙」と称していても別物と考えた方が良いです。 http://www.shiroki.com/paper/chuseishi/ http://www.tesukiwashi.jp/p/chigai.htm http://www.shojigami.jp/tisiki/q_4.html なお本につく虫として紙魚(シミ)が有名ですが、シミは紙そのものではなくて糊料を好むのだそうです。本を食害する虫としては他にシバンムシもあります。 http://www1.kcn.ne.jp/~kosho/koshoken/ourai/81_wahon.html ネットに資料はたくさんありましたので自分で調べてみてください。 http://webshop.sekaido.co.jp/product/list.php?parameter=cat&cat=140703&index= http://www.muse-paper.co.jp/page1/muse1-3_2.html https://www.google.co.jp/?gws_rd=ssl#q=%E5%92%8C%E7%B4%99%E3%80%80%E4%BF%AE%E5%BE%A9 https://www.google.co.jp/?gws_rd=ssl#q=%E4%B8%AD%E6%80%A7%E7%B4%99 https://www.google.co.jp/?gws_rd=ssl#q=%E5%92%8C%E7%B4%99%E3%80%80%E7%B9%8A%E7%B6%AD%E3%80%80%E6%B4%8B%E7%B4%99
お礼
回答ありがとうございます。 いろいろ調べていただいたものをまとめていただいて、とてもわかりやすかったです。 和紙がユネスコの無形文化遺産に登録されたのも納得です。
- trytobe
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すでに挙げられている和紙のメリットに加え、 「修復には、もともと使われていた素材を用いる」という大原則があります。 つまり、見た目を同じにするために、現在の化学物質を使うのではなく、作品が作成された時代の技術でも得られる=また修復が必要になった時代にも調達できる技術と素材で修復する、 というのが、美術品修復の大原則なのです。 法隆寺の五重塔を維持するのに、中心の木の柱をコンクリートにしてしまえ!、とすると、コンクリートの劣化だったりしなりの無さによって、ちょっとした地震でも全体が破損しかねない、のと同じで、元の素材のままで新品に置き換える、というのが重要なのです。
お礼
回答ありがとうございます。 元々の素材に近くするという意味でも和紙は重宝されているのですね。
お礼
回答ありがとうございます。 和紙がもともと持っている要素が修復に向いていて、更に職人さんたちの努力があり、世界で活躍しているんですね。