- ベストアンサー
パリ優先権の主張を伴う外国出願について
最近特許に関わるようになった者です。 基礎出願時にはなかった記載が追加された状態で外国に出願されているものを先日見かけました。今後、基礎出願に対して追加された記載がデメリットになることはないのでしょうか? 周囲の人からは、曖昧な回答しかもらえなかったので、ご意見等を頂けると助かります。
- みんなの回答 (3)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
追加した内容を権利にしようとした場合、追加した時期を基準として、新規性や進歩性が審査される(引用文献は、追加した時期より前に公開されたもの)というだけです。 基礎出願に書かれていた内容は、基礎出願の時期を基準として審査される(引用文献は、基礎出願より前に公開されたものしか使えない)ので影響はありません。 追加した内容に合わせて、基礎出願の内容まで、基準となる時期が繰り下がってしまうようなことはありません。
その他の回答 (2)
こういう問題をcontaminationといいますね。 基礎出願だけで問題ないのなら、わざわざ内容を追加する必要はないのです。 なぜ内容を追加したか、といえば、基礎出願だけでは"何か"が足りなかったから、ですよね。 権利行使の際に、権利行使した特許で優先権を主張していて、基礎出願と比べると内容が追加されていたことを相手方(権利行使を受けた側)が知ったら、追加部分に関しては基礎出願とその出願との間に出てきた文献等を用いて、無効主張を受けるかもしれません。少なくとも当事者間ではかなりもめるでしょうね。 ということで、安易な追加はしない方がいいと思いますよ。 変に記載を変えたり、追加したりすると、いちいち元の出願の開示の範囲にあるかどうかもめることになって、下手をすると特許性判断の基準日が現実の出願日に繰り下がることになりますから。
お礼
TheWhopperさん、ご回答ありがとうございました。 今後の業務上では、ご回答いただいた点注意しようと思います。
- trytobe
- ベストアンサー率36% (3457/9591)
まず国内での優先権主張出願をご理解いただいたほうが、わかりやすいかと思います。 自分の出願内容が公開されるのは1年6ヶ月後で、そうなると、その情報は「公知」になるので、それを含んだ内容の出願を改めて出願しても、「公知」と同一、ということで特許されない(拒絶査定)わけです。 しかし、その公開前に、自分の出願から1年以内に、「前の出願に関連するもので、より本命の水準や構成が見極められ、それを裏付けるデータも増えて、特許査定を受ける後押しになる情報が充実してきた」という場合には、 「前の出願」(原出願)を基礎出願とする「国内優先権主張出願」をいうのを出して、原出願を取り下げるかわりに、優先権出願された内容ですでに原出願に書かれていた事項は、「原出願の時点に出願されたとみなす」という差し替えのようなことができるのです。 この際に、パリ条約での優先権主張で他国での出願日も原出願にさかのぼらせた出願を準備できたり、PCTルートでの出願でもこの充実した状態でPCTに基づいた出願をして優先権主張をしておく、ということもできるのです。 外国出願するか、という判断と、充実させるデータや本命水準の変更がないか、という判断が、「もっとも先の出願から1年」の猶予があるため、まず基本コンセプトを抑えた原出願をだし、出願日を確保した上で、具体的な本命水準(ベストモード)を追試して絞り込んだり、論理を補強する情報を肉付けして、審査官が納得できるくらいの論証に備える、という流れで用いられるのです。
お礼
trytobeさん、ご回答ありがとうございました。 優先権に関する制度について、大変勉強になりました。
お礼
iwashi01さん、ご回答ありがとうございます。 基礎出願に新たな内容を追加した場合の扱いについて、大変勉強になりました。