社則とはなんぞやという定義が法律で為されているわけではありませんが、定款で決めてあるようなことは、常識的には「社則」とは言わないです。
社則というのは、会社の運営にかかわる規則です。
「何時に始業し、何時に終業とする」「遅刻2回で半日の欠勤とする」「○○部に△課と○課を置き、部長が両課長を指揮する」という程度の話です。
定款は、会社の、いわば基本的人権に関する規定です。
人間は生まれながらにして人間であって、基本的な権利を持ちますが、なんのために存在する「会社」なのか、どういう権利を持ちうる「会社」なのか、は、定款に書かれて初めて決まります。
どういう「会社」かが定まって、その後に社則を定めることができるのであって、社則で「会社」の権利を規定できません。
定款に「不動産の売買」と書かないと、不動産の売買はできません。不動産売買の権利がないのです。権利がないのにやれば、例えば詐欺罪に問われたりします。社則に違反しても、ふつうは始末書で済みます。
定款と社則では、決める分野が違う、手続きが違う、効力が違う。
「どっちの会社を縛る"規則"だろう。同じだ」などといえばその通りですが、それを言ったら会社法だって社則になってしまいますし、日本国憲法だって社則になってしまいます。
ふつう社則は経営者が決めるでしょうが、発起人や株主が総意をもって「我が社は、午前9時始業、午後5時終業とする」とか決めたらいけないのかというと、そんな法律はなかったと思います。つまり、発起人や株主が総意で決めたっていい。
でもそれは明らかに定款ではありませんから、発起人・株主が総意で決めても社則は社則でしょう。