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「記憶は消えても、この気持ちは残る」はあり得るか?

映画「時をかける少女」などで、標記のセリフが出て来ますが、脳生理学的にいって、あり得ることでしょうか。物語を書くときの参考にしたいのです。 記憶は大脳新皮質、情動・性欲などは他の部位(小脳や延髄など)とすれば、あり得るような気もしますが、科学的にはどうなのでしょうか。

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  • ruehas
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回答No.1

こんにちは。 脳内で学習機能を有するのは大脳皮質だけではありません。「大脳辺縁系」には「好き嫌い」「危険安全」といった生後体験の結果を基に情動反応を発生させる機能が備わっています。 どうしてそれが嫌いなのかといった論理的な体験記憶は大脳皮質に保持されていますが、好き嫌いなどの判定結果は辺縁系の方に別に記録されています。これを「情動記憶」と言い、いわゆる「トラウマ」と言いますのは全てこれによる心理現象です。 これいい! やだ、嫌い! このとき、大脳皮質の記憶はまだ再現されていません。見た瞬間に、我々は辺縁系の情動記憶に基づいて判断を下しているのです。そして、この反応は無意識の領域であるため、、極端な話、自分の意志で記憶を書き変えるということが生涯に渡って極めて困難です。 典型的な例を述べますと「幼児虐待」ですね。大脳皮質ではその忌まわしい記憶を封印しています。ところが、辺縁系では大人になってもその不安や恐怖を忘れることができないのです。 従いまして、未来人ケン・ソゴルが吉川和子の大脳記憶を消去したとしましても、辺縁系の情動記憶を消去していなければ和子はケンと再会したとき、その理由も分からずに胸をときめかせることになります。 但し、原作者である筒井康孝がこの作品を世に出したとき(かれこれ40年前)、このような大脳辺縁系の機能はまだ解明されていませんでした。ですから、作中に用いられる「記憶消去」や「集団催眠効果」といいますのは、飽くまで作者のオリジナル・アイディアです。SF作家の想像力って、ほんとに凄いですよね。

gesui3
質問者

お礼

科学的な説明を、たいへんありがとうございました。 ケン・ソゴルは、芳山和子の辺縁系の情動記憶の方は、残したままにしたのかもしれませんね。悪い男です。(笑) また、米国映画「ある日どこかで」(原題:somewhere in time)で、ヒーローがヒロインの写真を一目見て強烈に引き寄せられたのも、同じ理由ということになりそうです。 また、現代に戻った人間が過度のストレスから統合失調症になり死に至ることもあり得るとのこと。 SF作家の想像力がこんなに凄いなら、タイム・リープも可能なことなのかもしれません…。

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