こんにちは。この文章の意味は2つにとることも可能です。
先ずは文章の骨格をみてみましょう。「主語=私」「述語=知らない」であり、その間にサンドイッチのように挟まれている「彼の」から「ものか」までは英語の目的語にあたる「修飾語(修飾部)」になります。そしてその「修飾語」は文節の形で文章の本体に組み込まれている形です。
ではこの「修飾部」の状態を取り出して見てみましょう。「彼の望みの対象が、どの様なものか」となっていて「彼が望んでいる」という事実そのものと「その内容」の2つの話題が提示されています(望みは望むの連用形です)。
こうしたことから、この文章は「私は彼が望んでいるという“行為そのもの”を知っている」と「私は彼が望んでいる“その中身”を知っている」の両方を表しているともいえます。
質問者様の仰る、もしこの「対象=もの」たった場合とそうではない場合の違いを考えてみます。
(1)「対象=もの」と限定した場合…英語のthingには文字どおり「物・物体」そして「無生物」の訳語があります。ですからここには、人が関与した「行為」や関与することによって生じる「結果」は含まれないことになります。
(2)「もの以外を含める」とした場合…英語ではこうした場合にthatやthisあるいは関係代名詞などで「代用する」ケースがあります。“It is that~.”のthat以下文末までの名詞節は「~すること」「~ということ」として主語の扱いになります。こうした理解は日本語と似ていると考えることもできます。日本語では「名詞的用法」と呼ばれる現象です。書店で見かける「読者対象は中学生以上です」などの表記が付されている本はその実例です。
(3)逆に「もの=者」だった場合…例えばこの文章が「社員募集」で使われたいた場合、採用者である「彼」が「年齢や経験そして通勤条件などどの様な人物」を応募者として想定しているのか、との「対象の具体的な内容」を示していることとなります。
この時には「望みの内容」がこうしたことから「対象=物」とは必ずしも限定できない可能性があることも判り、対象が「もの」であるとしたらならば、そこに行為や人も含まれるとの解釈も成り立ちます。
こうしたポイントを踏まえて本題に戻ります。「彼の望みの対象」となっている文章には前記のとおり「彼が望んでいる行為そのもの」と「その具体的な内容」の2種類の意味に分けることも可能でした。
「その内容」に関しても更に「自らが主体的に行動したいのか」と「他の誰かに指示したり働きかけて行動させたいのか」の2つの可能性もあります。
こうしたことから日本語に限らず文章を読み書きする時には「前後の文脈を踏まえて接する」ことが肝要であると存じます。「正しい日本語」というより「的確な、解りやすい表現」と呼ぶ方が適切です。
従って質問者様からの御題に関して
・「どの様なものか」と書いてあるので「対象=もの」ということになりますよね?→必ずしもならない
・全く知らないにも関わらず、「対象=もの」とするのは間違いですか?」→ケース・バイ・ケースとしか言いようがありません。
・「もの」じゃなかった場合、この文は やはりおかしいということなりますかね?→おかしくはありません
・対象が人や事だとしたら、それらを「もの」と言えるのか?→可能です
・「私は 彼の望みの対象を 全く知らない」とするのが正しい日本語ですか?→「正しい」の定義が人によって異なりますので、僕にはお応えできかねます。