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差押物が捜索差押許可状の目的に含まれるとされた事例
- 恐喝被疑事件で発付された捜索差押許可状に基づき、事件に関係のある「暴力団を標章する状、バツチ、メモ等」の目的物にあたるとして、暴力団員らによる常習的な賭博場開帳の模様を記録したメモを差し押えたことは、暴力団に関連のある被疑者らによつてその事実を背景として行われた事件であること、右メモにより被疑者と暴力団との関連を知りうること、暴力団の組織内容・性格を知りうることなどの事情のもとにおいては、これを適法というべきである。
- この判例は、恐喝被疑事件において、捜索差押許可状に基づき、暴力団に関連のある被疑者らによる常習的な賭博場開帳の模様を記録したメモが差し押えられた事例である。
- 判示事項としては、差押物が捜索差押許可状の目的に含まれるとされた事例が取り上げられており、被疑者と暴力団との関連を知ることや、暴力団の組織内容・性格を知ることが重要視されている。
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本件差押えの対象となったメモは、「賭博の状況ないし寺銭等の計算関係を記録した賭博特有のメモであることが一見して明らかであり、前記許可状請求書記載の被疑事実から窺われるような恐喝被疑事件に関係があるものとはとうてい認められず、また「暴力団を標章する状、バッチ、メモ等」に該当するものとも考えられないから、その差押は、許可状に差押の目的物として記載されていない物に対してされた違法」ではないかと問題になった事件である。「憲法三五条一項及びこれを受けた刑訴法二一八条一項、二一九条一項は、差押は差し押えるべき物を明示した令状によらなけれぱすることができない旨を定めているが、その趣旨からすると、令状に明示されていない物の差押」(別件差押)や、「捜査機関が専ら別罪の証拠に利用する目的で差押許可状に明示された物を差し押えること」(探索的捜索)は、禁止されるものというべきである。」とした。 しかし、被疑事件と合理的関連性がある証拠は、探索的捜索でも、別件差押さえでもないから許されるとしているものである。 本件は、「右捜索差押許可状には、前記恐喝被害事件に関係のある「暴力団を標章する状、バッチ、メモ等」が、差し押えるべき物のひとつとして記載されている。この記載物件は、右恐喝被害事件が暴力団である奥島連合奥島組に所属し又はこれと親交のある被疑者らによりその事実を背景として行われたというものであることを考慮するときは、奥島組の性格、被疑者らと同組との関係、事件の組織的背景などを解明するために必要な証拠として掲げられたものであることが、十分に認められる。そして、本件メモ写しの原物であるメモには、奥島組の組員らによる常習的な賭博場開張の模様が克明に記録されており、これにより被疑者である朴鐘石と同組との関係を知りうるばかりでなく、奥島組の組織内容と暴力団的性格を知ることができ、右被疑事件の証拠となるものであると認められる。してみれば、右メモは前記許可状記載の差押の目的物にあたると解するのが、相当である。」とした。 また、令状の記載も「暴力団を標章する状、バッチ、メモ等」とあるところ、「別罪である賭博被疑事件の直接の証拠となるものではあるが、前記のとおり、同時に恐喝被疑事件の証拠となりうるものであり、奥島連合名入りの腕章・ハッピ、組員名簿等とともに差し押えられているから、同被疑事件に関係のある「暴力団を標章する状、バッチ、メモ等」の一部として差し押えられたものと推認することができ」、令状の記載に反するところはないとした。