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http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115339759874.pdf 判示事項  捜索差押許可状の呈示に先立ってホテル客室のドアをマスターキーで開けて入室した措置が適法とされた事例 裁判要旨  被疑者が宿泊しているホテル客室に対する捜索差押許可状の執行に当たり,捜索差押許可状の呈示に先立って警察官らがホテル客室のドアをマスターキーで開けて入室した措置は,差押対象物件である覚せい剤を短時間のうちに破棄隠匿されるおそれがあったことなど判示の事情の下では,適法である。

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回答No.1

本件は、捜索差押許可状の執行方法の適否が問題となった事案である。警察官らは、かねてより覚せい剤取締法違反の件で被疑者の所在を捜査していたが、被疑者の立ち回り先と目されていたホテルから、被疑者が投宿した旨の通報があった。そこで、そのホテル客室に対する捜索差押許可状の発付を得て、直ちに現場に赴き、捜索差押を実施した。施錠されている客室に立ち入るに際しては、ホテル支配人に対し、捜索差押許可状が発付されていること等の事情を説明して協力を求めた上、マスターキーを借り受け、これを用いてドアを開けている。警察官らは、室内に立ち入った後、直ちに警察官であることを告げ、捜索差押許可状を呈示しているが、ドアを開けるに先立って来意を告げるようなことは、全く行われていないという事案である。そして、本決定は、捜索差押許可状執行の動きを察知されれば、覚せい剤事犯の前科もある被疑者において、直ちに覚せい剤を洗面所に流すなど短時間のうちに差押対象物件を破棄隠匿するおそれがあったこと等の事情を摘示した上、本件における令状の執行手続が適法である旨判示した。 この判例の論点は2つ 222条1項、(1)111条1項の「必要な処分」と、(2)110条の「呈示」の時期である。 (1)について、「必要な処分」とは、強制執行を実効化ならしめる必要かつ相当な処分をいう。本件は、「捜索差押許可状の呈示に先立って警察官らがホテル客室のドアをマスターキーで開けて入室した措置は,捜索差押えの実効性を確保するために必要であり,社会通念上相当な態様で行われていると認められるから,刑訴法222条1項,111条1項に基づく処分として許容される。」とした。 (2)について、「呈示」の時期は、呈示の趣旨が、「同法222条1項,110条による捜索差押許可状の呈示は,手続の公正を担保するとともに,処分を受ける者の人権に配慮する趣旨に出たものであるから,令状の執行に着手する前の呈示を原則とすべきであるが」、「捜索差押えの実効性を確保するためにやむを得ない場合」は、「警察官らが令状の執行に着手して入室した上その直後に呈示を行うことは」許されるとした。覚せい剤は証拠隠滅が容易で、証拠隠滅される恐れがあった本件においては、実効直後に呈示があったから適法な捜査である。

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