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判例解説:上告棄却と上告費用の負担
- この判例は、上告が棄却され、上告費用は上告人の負担となることが判決されました。
- 上告代理人の上告理由について、原審の認定判断は正当であり、採用することができないとされました。
- また、被上告人の主観を重視して時効利益の放棄を否定することは誤りであり、原判決には事実誤認と法律適用の違法があると主張されました。
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本件は、Xが債権残額三〇七〇万円余についてYに対して連帯保証債務の履行を請求したところ、Yは、主債務の時効を援用した。これに対して、Xは、以下、三つの主張をした。(ワシの推測じゃが、本件は、主債務者は行方不明だと思われる) (1) Yは、連帯保証人として主債務の時効完成前に連帯保証債務を履行して主債務について承認したものであり、主債務について時効が中断している。 (2)主債務の時効中断効が生じないとしても、保証人の時効完成前の債務弁済による保証債務の承認の効果として、主債務についての時効援用権が制限される。 (3) 主債務について時効が完成した後に、連帯保証人である被控訴人が連帯保証債務を履行して、主債務および連帯保証債務について時効利益を放棄したものである。 二 本判決は、この三点について次のように判示して、Xの主張を認めなかった。 右の(1)について、主債務について権利・義務の当事者ではない保証人が主債務を承認しても、それだけで主債務が存在している蓋然性が生じるわけではないので、保証人による主債務の承認は、債権者と主債務者の間ではもちろん、債権者と保証人との関係でも主債務について時効中断の効力を生じない。 右(2)について、主債務の時効完成前に保証人が保証債務を履行しても、特段の事情のない限り、保証人が将来主債務の時効が完成した場合でも時効を援用せず保証債務を履行するという確定的な意思を表明したとはいえないので、時効援用権は制限されない。 右(3)について、主債務の時効完成後に保証人が保証債務を履行した場合でも、主債務が時効により消滅するか否かに関わりなく保証債務を履行するという趣旨に出たものであるときは格別、そうでなければ、保証人は、主債務の時効を援用する権利を失わない。 最高裁判決は、かかる次第の高裁判決を支持したものである。