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パラジウムを使ったカップリング反応のアルゴン置換について
- パラジウムを使ったカップリング反応でアルゴン置換を行っているが、反応がうまく進まない
- アルゴン置換をする際の手順や注意点について調べたが、黒変色の問題が解決できていない
- アルゴン置換には超音波で撹拌しながら脱気する方法もあるが、勇気が必要である
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有機金属錯体は、溶液状態で酸素に接触すると酸化されることが多いです。 一方で固体状態なら、空気に触れても酸化は比較的遅いです(もちろん、例外もありますが)。 実験手順5のところで、錯体+溶液+空気が混ざっていますので、ここで酸化されていると思います。 これを回避するために、シリンジを用いて空気に触れないように溶液を扱う、というのはいかがでしょうか。 具体的には (1)三方コックをつけたフラスコAに、溶媒のみを入れる (2)フラスコAを液体窒素(またはドライアイス)で冷却したのちに、真空でひく(5~10分程度) (3)Ar充填で常圧に戻してから、フラスコAを常温に戻す(水につける、ドライアーであぶる、など) (4) (2)→(3)を数回繰り返す (5)フラスコBに触媒のみを入れ、三方コックを付ける (6)フラスコBをAr置換する(真空→Ar充填→真空→...、を数回繰り返す。触媒が舞わないよう、ゆっくりやる) (7)シリンジを用いて、フラスコAの脱気溶媒を、フラスコBに加えて触媒溶液にする(空気が混入しないように注意) (8)フラスコCに反応させたい試薬とスターラチップを入れ、Ar置換する (9)シリンジを用いて、フラスコAの脱気溶媒を、フラスコCに加えて溶液にする (10)シリンジを用いて、フラスコBの触媒溶液を、フラスコCに加えて反応開始 だらだらと書きましたが、このシリンジを用いた実験操作はAldrich社資料で図解されていますので、そちらもご参照ください。 Sigma-Aldrich Technical bulletin(AL-134) "Handling and Storage of Air-Sensitive Reagents" (「aldrich al-134」で検索するとPDFファイルが見つかります。新旧2種類ありますが、どっちでもいいです) なお、(2)で冷却するのは溶媒の気化を防ぐためです。 気化しても構わないようなら、常温でやってもかまいません(が、大抵の人は冷却してやっているようです)。 超音波による脱気に関しては、HPLC溶媒の脱気に使っている人は見たことがありますが、触媒反応用の溶媒に使っている人はまだ見たことが無いです。 なお、脱気処理に関してはChemStationに記事がありますので、そちらもご参照ください。 http://www.chem-station.com/blog/2009/12/post-132.html
お礼
おお、かなりわかりやすくて、助かります! ありがとうございます! 今度早速やってみます!