この「わけ(訳/分け)」はれっきとした名詞ですが、かな書きにして「わけではない」といった否定文に用い、形式名詞のようなスタイルの会話文に仕立てる言い方があります。
それが昨今ではご指摘のように、否定だけでなく、肯定文や詰問調にして、まるで終助詞の「対相手ムード(ムード2)」のように用いるケースが多々見受けられます。
「平成7年7月8日の夜、某テレビ局の外国映画の吹き替えで、「どうして私たちがこんな目にあうわけ?」と言っていた。…「~のわけ」のような用法は日本語にはない。…このような物書きと言われる仕事をしている人が、勝手に間違った言葉を作って、日本語を乱していることは嘆かわしい。」(西谷元夫「よけいなお世話 日本語の乱れを衝く」有朋堂)
この指摘にもありますが、次のようにとらえてみてはいかがでしょう。
'What is the reason for your hating that thacher?'
「あんたがあのセンセを嫌うのはどういうわけ?」
(あなたがあの先生を嫌うのはどういう訳ですか。)
そういえば、一昔前には次のような邦訳も散見したものです。
「何があなたにあの先生を嫌わせるのか?」
ですから、あるべき日本語らしさを乱してでも、外国ドラマの“口パク”に合わせたセリフをどんどん作ってしまう。それに感化された若い世代の視聴者は“おニュー”な日本語として真似してしまう。それをやがて後追いで文法的に解き明かさなければならないとは何とも因業なことではないでしょうか。
お礼
ありがとうございました。形式名詞なんですね。 私も中学校の文法の時間に、このようなものも教わっていたのでしょうか。悲しいことに、全く記憶にありません。