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潜在株式調整後一株当たり当期純利益
1株当たり当期純利益に関する会計基準の 第23項では、次の場合には「その旨を開示し」、「潜在株式調整後一株当たり当期純利益」 を開示しないとしています。 1)潜在株式が存在しない場合 2)希薄化しない場合 3)1株当たり当期純損失の場合 潜在株式が存在しない場合に「その旨(存在しない旨)」を開示することは理解できるのですが、 1株当たり当期純損失の場合、その金額を別途(潜在株式調整前の一株当たり当期純利益として)、開示しているにもかかわらず、「潜在株式調整後一株当たり当期純利益は、1株当たり当期純損失であるため記載していません」と「その旨(1株当たり当期純損失である旨)」を記載する意味はなんでしょうか? 潜在株式が存在しない場合は、存在しない旨を記載すれば足りるのではないでしょうか?
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- shostame
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No.2です。 恐らく質問者様はDEPSの算定は業務上不要かと思いますが、それでも勉強されている辺り勤勉な方と推察します。 こちらも気合い入れて回答せねばと思って、ちょうど1Qが終わってある程度余裕があったので色々調べてみました。 以下の文章はほとんど私見ですので、その点ご了承の上お読みいただければと。 あと基本IASとASBJの比較での回答ですので、その点もご了承ください。 (IFRSは情勢からちょこちょこ勉強してますが、US/GAAPはほとんど触れたことがないので) 「当期純損失がマイナスの場合、DEPSを開示するか否か」というよりも、今回のご質問を回答するにあたってのIAS33とASBJの大きな違いは「希薄化効果を有しない場合、すなわちEPSとDEPSが同額の場合に開示するか否か」という点です。 そもそも継続事業等、計算上の相違はあるものの、IAS33でもASBJでも希薄化効果を有しない潜在株式はDEPSの計算上考慮しないことことになっていますが、当期純損失の場合、希薄化効果を有する潜在株式はなく、EPSとDEPSは同額になります。これは実際に電卓をたたけばご理解いただけるかと。 (事例としては「日本電波工業(株)」が参考になります。残念ながら損失の事例が前々期のため注記等はありませんが、経営指標推移を見ればEPSとDEPSが同額なのが確認できます) ご存知かと思いますが、ASBJではEPSとDEPSが同額の場合その旨の(正確には潜在株式がないor希薄化を有しない)開示のみです(ASBJ2号23項) そして、上述しましたが、当期純損失の場合、ASBJでは希薄化効果がないため開示しない(要は同額だから)という理屈づけになっております(同52項)。 対してIAS33号では潜在株式がないor希薄化効果を有しない場合、すなわちEPSとDEPSが同額でも原則としてその両方を開示することを求めております(IAS33号67項)。 そして、その流れからたとえEPSやDEPSがマイナスであっても、その両方の開示を求めています(同69項)。 しつこいですが、同額です。 では、両者が同額の場合にどうしてこのような開示の違いが起きるかですが、正直深い理由はないと思います(違いには触れているものの理由にまで触れている書籍等もありませんでした)。 「同額だからその旨だけ書いて割愛」か「同額だが数字まで開示」の2つは、実質的には記載していることは同じだと思いませんか? 「EPSがマイナスだからDPESはEPSと同額です」と暗に開示しているのですから。 ですので、質問者様がおっしゃる「企業比較・時系列比較のためのものであるにも関わらずEPSがマイナスの場合DEPSを開示しないのは矛盾している」というのは必ずしも当てはまらないかと思います。 「IASと比べて開示が不親切じゃないか」と言われれば、それはその通りかと思います。 もうひとつのご質問ですが、ASBJの基準はそもそも会社法や金商法で開示が求められているEPSについての算定方法を定めているという大前提があるので(2項、4項、39項)、ASBJでは「算定方法」についての規定だと謳っているのかと思います。 会社法計算規則98条1項5号、同113条と財務諸表規則(同ガイドライン)95条の5、連結財規(同ガイドライン)65条の2、65条の3等が開示の規定です。 金商法(財規)では、ASBJが規定してる開示が全て規定されているので、あくまでも「財規の規定に基づき」有報での開示が求めらています(開示項目はASBJと同じです)。 他方で会社法(会社計算規則)では、一株純資産と一株利益しか求めていないので、計算書類ではDEPSはもちろん、算定基礎も基本は開示しません(開示もさまたげないかとはおもいますが )。 ではなぜ、ASBJで開示についてまでわざわざ定めてはいるかというと、ASBJが金商法、会社法に限らず、それ以外でも開示が求められる場合も適用されることが想定されているからです(39項)。金商法でも、会社法でもないパターンはパッと思いつかないですが、将来的なことも見越しているのではないでしょうか。 例えば何かしらの法律等で「EPS等を開示しなければならない。開示方法や計算方法はASBJの基準による」と規定される可能性もあるでしょうし。 IFRSは多国に適用されるのが前提ですから、開示についても定めていることが明記されているのでしょう。IFRS適用国の法律がどういう規定なのかまではさすがにわかりませんが・・・。 こんな回答でいかがでしょうか。
- shostame
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会計士やってます。 基準に明記されてるわけではないですが、おそらくこんな感じかと思います。 ひとことで言えば、見る人にわかりやすくするためです。 質問者様のように上記基準をご存知であれば、当期純損失であれば潜在(略)の開示が不要なのはわかると思います。 しかしながら実際にその注記を見る方々(投資家)の多くは、言い方悪いですが会計については素人です。 同基準の知識がない方がほとんどです。 潜在(略)の記載がない場合、極端な話記載不備と誤解される恐れや投資家の方々に十分に情報が伝わらない可能性があります。 ですので、当期純損失の場合「当期純損失の場合潜在(略)を記載しておりません」の注記が求められるかと思います。 蛇足ですが、一株基準は簿記2級ですら範囲ですらないですし、1級の受験者も場合によっては捨てる範囲ですので、実務で使っていない方だと意外と知らないです。重要な情報なんですけどね。
お礼
ありがとうございます。 久しぶりに上場会社に戻ってきました。しかも、潜在株式のない会社です。 改めて基準を読み返してみると、なんとも理解しがたい基準なので、質問させていただきました。 ASBJの基準は、一株当たり当期純損失の場合、潜在株式調整後は開示しないという特殊な基準のため、警告の意味をこめて、「その旨」を開示することとしているのだと自分を納得させようかと思っています。 FASB128,IAS33ともに、EPSがマイナスでも希薄化後EPS(DEPS)を開示させますね。 それは、「DEPSはEPSに対する将来の潜在的な変動性を示す警告指標ではない」かつ「企業比較・時系列比較のため」のものであるからだと思います。ASJBの基準も「結論の背景」でそのことを肯定しています。なのに、EPSがマイナスならDEPSは開示しないという矛盾がある基準がASBJの基準だと思います。 そもそも、ASBJの基準は「EPS,DEPSの算定方法」を定めたものだと、基準の冒頭で宣言していることに疑問を感じます。USGAAP/IFRSともに「算定方法・表示」について定めるとしています。 ASBJの基準は「算定方法」を定めるものといいながら、開示(表示)についても規定している点で、なんとも理解しがたいものではないでしょうか?(少なくとも会計のアマチュアにはそのような基準になっています) 会計のプロから、ご意見をいただければ幸いです。
- minosennin
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以下、欠損2社の有価証券報告書の記載例です。 1.潜在株式が存在する会社の場合 「(注)潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載していない。」 2.潜在株式が存在しない会社の場合 「 なお、潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また潜在株式が存在しないため記載しておりません。」 上記例から判断すると、潜在株式の有無についても開示する必要があるようです。「3)1株当たり当期純損失の場合」の規定はこのためではないでしょうか。
お礼
真摯なご対応を戴き、ありがとうございます。 上場企業に勤めてるなら会計監査人にきけば…と思われるでしょうが… ご察しください。 なるほど、EPSがマイナスならそれ以上、希薄化することはないのですね。 「マイナスのEPS > マイナスのDEPS」となるケースとはどのような場合なのだろう? そんなことはあるのかな? でも、基準に「「(マイナスのEPS)の絶対値 > (マイナスのDEPS)の絶対値」の場合は希薄化といわない」とわざわざ注意書きされているということは、EPSがマイナスでも、希薄化効果がある場合があるのだろう、~ と悶々と考えているところでした。 あらためて、SFAS128を読み返してみました。パラ95にも、「EPSがマイナスなら、それ以上希薄化しない」旨の記載がありました。 また、財規も読み返してみました。開示要件が書かれてるのを確認しました。(実質ASBJの基準と同様のですが) 冒頭の監査人に記載の根拠をきいたところ、監査人「記載例をみてください」(例の、独占2社の印刷会社が編集したものです)→会社「それは根拠にならない」→監査人「ASBJの基準2号23項です」→会社「…(財規じゃないのか?、ん~、もうあなたにはききません)…」という状況だったのですが、回答者様から、やっと根拠を教えていただき感謝しています。 ASBJの基準は「算定方法」を定めたもの についてですが、ひらたく言ってしまうと、表示については財規・連結財規等に遠慮しているということと理解しました。 それでも表示についての規定があるのは、回答者様がおっしゃるように、法令に基づかない財務諸表を作成する場合のために設けてあるのですね。確かに、昔、アニュアルレポート(いわゆる勝手開示)を作成して監査報告書をお願いしたときに、「注記も財務諸表の一部として財務諸表を作成しますから、その点よろしくおねがいしますね。有報の監査報告みたいに、証取法に基づいて、財務諸表から注記を外さないでくださいね」と依頼したことがありました。 さて、「EPS=DEPSのときは、金額は開示しない」という点についてです。 確かに、回答者様がおっしゃるように、「同額だからその旨だけ書いて割愛」か「同額だが数字まで開示」の2つは、実質的には記載している点で極めて近似していますね。個人的には、「数字も開示、なぜ同額なのかも開示」するのが、財務諸表の目的適合性があると思います。 一般論でいいのですが、CPAがクライアント先に「当社はEPSがマイナスで、潜在株式がない(希薄化を有するもの、有しないもの、全くない)のです。潜在株式がない場合はEPSがマイナスでもプラスでもDEPSを開示しないのがASBJの基準だから、有報には「潜在株式が存在しないので、DEPSは開示していません」とだけ書きます。「EPSがマイナスで、潜在株式が存在しないので…」と記載すると「EPSがプラスで、潜在株式が存在しない のなら記載するのか?と投資家に誤解を与えかねないからです。」といわれたら、どのような回答が考えられますか? (1)会社の部屋で、そう言われた場合(CPAとしてONの場合)、(2)夜、クライアントと食事をしている時に言われた場合(CPAとしてOFFの場合)、それぞれのケースで、どのような回答が考えられるのか興味があります。